【2つの進化】ダイソンの最新掃除機「Dyson V12 Detect Slim」 が目指したものとは?

掃除機

ダイソンのスティック型掃除機のV10、V11の完成度は高く、一つの完成形と言えます。今回発売した「Dyson V12 Detect Slim Fluffy」はその完成形からさらに進化した2つのポイントがあります。それが、微細ゴミの可視化と髪の毛が絡まない構造をしたサブクリーナーヘッドです。本記事ではこの2つの進化がどのようなものなのかご説明します。

Dyson V12 Detect Slimと従来モデルとの違いは?

ダイソンのスティック型掃除機には、「V+追い番」と言う型番が取られます。そしてこれまで
何度も書いてきましたが、V10、V11の完成度は高く、一つの完成形と言えます。(ただしワールドモデルなので、日本人には重く感じるかも知れません。軽く設計された Dyson Digital Slimをお勧めします。)その後、上市したのが「Dyson V12 Detect Slim Fluffy」。ダイソンが、新モデルでどこを新しくしたかこの記事でご説明します。

Dyson V12 Detect Slim

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浮遊粒子状物質と掃除機の関係

ここ50年で変わったモノの中に、大気の状態があります。昔からのハウスダスト(ホコリダニのフン、脱皮カス、死骸。生きているダニ自体はアレルゲンにならないが、ダニが生きている限り、アレルゲンは出続ける。)以外に、多くの花粉、PM2.5他の浮遊粒状物質などなど。あれこれ考えるともう窓を開ける気がしないほどです。

ところが閉め切っていても問題ないのかと言うと、問題はすごくあります。もともと、室内の空気の汚れの原因は人です。衣類に付いて外から持ち込んだり、ドアを開けた時に進入されたり、また、衣服からも綿ほこりが、本からは紙粉が出ます。料理をすると、二酸化炭素、浮遊粒子状物質、揮発性化学物質が出てきます。

そして、掃除機です。昔の掃除機は大きなゴミを「濾しとる」イメージでしたので、微細なゴミは排気として舞い散ります。窓を開けて換気しながら掃除機をかけるのが当たり前ですが、今は開けたくない時が多い。例えば、花粉飛散中に「窓を開けて生活してね」と花粉症の人(国民の3人に1人!)にいうのは無理な話です。このため、今では「濾し切る」感じです。大きなサイズはもちろん現在は0.1μmまでのゴミ、ホコリに対応します。

しかしゴミが小さくなると別の問題が出てきます。ゴミが小さいと軽いので吸いこみやすそうに思えますが、それは半分正解、半分不正解です。フローリングの床には、人には感じられない凹凸があります。ハウスダスト はダニの体、フンからできていますから、コロコロしたフンは吸い込まれやすいのですが、体にはトゲが付いております。これが引っかかるのです。

ハウスダストはアレルゲンであり、アレルギー性喘息の原因の一つです。このため予防するにはハウスダストを吸い込み切ること。そのためガイドラインでは、20秒/平方メートルを目安に、ゆっくり掃除機をかけることが推奨されています。

微細ゴミの可視化が必要に

なぜ、時間推奨かと言うと、対象のゴミが肉眼で見えないからです。肉眼で見えるのは、人にもよりますが、100μmまで。髪の毛の太さ程度です。花粉、ハウスダスト、黄砂、カビ胞子、PM2.5、細菌、ウイルス、これらは、全部100μmより一桁以上小さいのです。

見えないモノへ対応するには「可視化」で対応します。この命題に一番最初に対応したのは、パナソニック。「クリーンセンサー」がそれです。吸引したゴミを吸い込む時、サイズを計測し20μm以上のゴミの有無を判定します。20μmだと、花粉、ハウスダスト、黄砂が引っかかります。重いし、床に落ちやすいゴミです。それ以外は軽いので、なかなか床に落ちません。空気清浄機の出番となります。

さて、パナソニックのクリーンセンサーは、吸い込み始めは「赤」、そのまま吸い続けますと「緑」に変わります。ゆっくりですが、それを繰り返して掃除します。時間を測ってみると、目安時間とほぼ同じ、20秒/平方メートルになっているのです。

Dyson V12 Detect Slimは「可視化」が進化

レーザーが微細なホコリを可視化

そして、新しいDyson V12 Detect Slimでは、それをより進化させています。

パナソニックの方法での問題は、細かいゴミが溜まっているところが見えないことです。隅々までかけるとわかるのですが、時間がない時は、「動線+汚れているところ」が一般的です。ところが、見えないとどうしようもありません。

それに対して、ダイソンは、「レーザーでのゴミの可視化」を開発しました。

ヘッドにLEDを付けて、暗い部屋の隅でもゴミが見える様にしたモデルをお持ちの人は多いと思いますが、ダイソンはそれを緑色の単色レーザーに換え、細かいゴミを可視化できる様にしました。

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特徴的なのは、右からレーザー照射していることです。ダイソンのFluffyヘッドのフロントは大きく開いているので、普通のヘッドの様に、LEDをヘッド中央上部に装着することはできません。また、細かいゴミの可視化のポイントの1つは「影」が挙げられます。よく見える様にするためには、なるべく影が長く出る様にします。本体と影で、判断することができますので、よりわかりやすくなります。そのためには低い位置からの照射がベターなわけです。

ダイソンのヘッドはパワーヘッドです。ヘッド右側にモーターを回すためのケーブルが仕込まれています。このため、右側から照射し、細かいゴミを可視化するLaser Slim Fluffyクリーナーヘッドが出来上がったわけです。

吸い込んだゴミも可視化

このヘッドに加え、パナソニックと同じ考えの機能も持っています。こちらは、吸気口に設置されたピエゾセンサーで、ゴミの量、サイズを分析表示します。

500μm以上(砂糖やノミの大きさ。肉眼で判別可能)、180μm以上(黄砂、ハウスダストレベル。極めて見えにくい)、60μm以上(微細なホコリ、剥がれ落ちた人の皮膚など)、10μm以上(花粉など)の4グループに分け、モーター後ろの液晶ディスプレイに表示されます。自分の部屋が何によって汚れているかが分かります。

当然、このデーターは順次に、フィードバックされます。オートモードで掃除している時、見えないゴミがあると吸引力が上がるわけです。最近のスティック型掃除機、特にダイソンは、オートモードがよくできています。「もう強モードはいらない」。そう言える日が来るかも知れません。

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髪の毛が絡まないサブクリーナーヘッド

ここまでの話は「レーザースリムフラフィクリーナーヘッド」。いわゆる標準ヘッドの話です。しかし、布団、ペットが寝起きするカーペットなど、毛が多いところには不利です。特に問題なのは女性の長い髪です。男性の腕に絡めてと言うなら、大層色っぽい話になるのですが、掃除機のヘッドに絡むと大変。ひどい時にはヘッドローラーを止めてしまいます。

このヘッド毛絡みは、掃除機の大きな問題です。例えば昔、エレクトロラックスは、足で踏むと内蔵されたカッターが、ヘッドローラーに絡んだ毛に触れ、絡んだ毛を引き千切るヘッドを作ったことがあります。カッターですよ。家電は安全サイドに寄せて設計されます。そして掃除機は、フードプロセッサーなどと違い、刃は必需品でもなんでもありません。それでもなんとかしたい。それが毛絡みというトラブルです。

私も色々なヘッドを見てきましたが、きちんと対応していると思ったのは、2例です。
一つは、アイロボットがルンバに採用した「ゴム製のデュアルアクションブラシ」。これは見事なくらい絡みません。素材の勝利・・・なのですが、素材ですから、探し出すのにすごーく時間がかかっています。1、2年では効きません。それほどすごいモノなのです。

もう一つは、パナソニックの「からまないブラシ」。こちらのポイントは形状。ヘッドローラーが円柱ではなく、円錐をなのです。ローラーに巻き付いた毛は、ローラー回転につれ、径の太い方から細い方へ移動します。端までくるとローラーから落ちてしまうのです。パナソニックの「からまないブラシ」の円錐ブラシを2つ組み合わせたモノ。外に太い径、内に細い径で対象にセットされ、中央はヘットがない部分があります。私もテストさせてもらいましたが、実に見事です。

ダイソンがカーペット用、布団用に採用したのも、この円錐ローラーヘッドです。こちらは、シングルローラーですね。ハンディ掃除機時をメインに考えたサブクリーナーヘッドです。

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最後に

【5/26新発売】ダイソン Dyson V12 Detect Slim Fluffy サイクロン式 コードレス掃除機 dyson SV20FF 2021年モデル
¥ 86,900
2021-06-14 12:45

ダイソンのコードレス掃除機は、テコの原理をもとに、ハンドル部分に重心を配置し、安定感のある構造を採用し、継続開発されてきたモデル。その理由として、初期導入時、ダイソンは、ハンドル部分に配置した本体とパイプの適切なバランスを実現するたことで、優れた汎用性を上げています。これは、床掃除用だけではなく、高い場所の掃除など、付属品までも活用することで一台で様々な場所を掃除できるという意味ですが、これはほぼ実現されています。

そして今、コードレス掃除機のベースが整った今、「ヘッド」などで多様性を追いかけています。良いベースに、良いパーツがプラスされ、より良くなったというのが、Dyson V12 Detect Slim。おすすめの一品です。

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。

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多賀一晃(生活家電.com主宰)

企画とユーザーを繋ぐ商品企画コンサルティング「ポップアップ・プランニング・オフィス」代表。米・食味鑑定士の資格を所有。大手メーカーでオーディオ・ビデオ関連の開発に携わる。趣味は東京散歩とラーメンの食べ歩き。

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