高齢の親がガラケー(らくらくホン)を使っている読者から質問が届いた。ガラケーは、物理的なボタンがあり使いやすい、スマホに比べ小型で軽く、手に収まりやすいのもメリットのようだ。今後、電話だけを使う高齢者(70~80歳代)でも使いやすい端末は存続するのか専門家に聞いてみた。
高齢の親でも使いやすい端末は今後も存続する?
読者からの質問
高齢の親がガラケー(らくらくホン)を使っています。物理的なボタンがあるので使いやすいようです。また、スマホに比べ小型で軽く、手に収まりやすいのもメリットです。このような、電話だけを使う高齢者(70~80歳代)でも使いやすい端末は、今後も存続するでしょうか?(I.Yさん 岡山県 60歳)
編集部:
これは、ITライターの村元正剛さんに聞きましょう。
専門家の回答
専門家:
「結論を先にいうと、まだしばらくは『ガラケー』と呼ばれる従来型ケータイの販売は続けられます。2021年7月現在、各キャリアが複数のケータイを販売しており、auは2021年の3月にも『かんたんケータイ KYF41』という新機種を発売しています。ドコモは2019年11月に『らくらくホン F-01M』を発売して以降、新機種は出していませんが、今後ケータイを出さないとはいっていません。ニーズがあり続ける限り、現行機種の販売は続くと考えていいでしょう。
ただし、現在ケータイを使っている人は、その機種が使えなくなる場合があるので、その点には注意が必要です。携帯電話の通信に使われる技術は、およそ10年おきに進化しています。現在は4G(第4世代)が主流で、5G(第5世代)への移行が進んでいます。ケータイの全盛期だった2000年代は3G(第3世代)が主流でした。その3G通信は、近い将来サービスを停止することが決まっています。ドコモは2026年3月末、auは2022年3月末、ソフトバンクとワイモバイルは2024年1月下旬の停波を予定しています。使っているケータイが3G用の場合は、4G用の機種に変更する必要があります。3Gケータイは2015年ごろに販売が終了しているので、今も使い続けている人は少ないでしょうが、お手持ちの機種を確認してみてください」
編集部:
従来型ケータイの形の新製品は、今後もずっと作られていくのでしょうか?
専門家:
「そこなんですが、通信事業者や携帯電話メーカーは、すでにスマホの製造・販売に力を入れているため、ケータイの進化は止まっているといってもいいでしょう。需要が減っているため、ケータイの端末価格はさほど安くはなっておらず、むしろ一部のスマホのほうが安かったりします。
また、ケータイで利用できるサービスは減少し続けていますが、逆に、スマホで利用できる便利なサービスはどんどん増えています。さらに、政府のテコ入れもあって、スマホの利用料はかなり安くなりましたが、ケータイ向けの料金プランはさほど変更されていません。これらを考え併せると、3Gから4Gに移行する際、ケータイではなくスマホに乗り替えることを検討してみてもいいのではないでしょうか。数字キーがなくなるので、タッチ操作を覚える必要はありますが、スマホには画面が大きくて見やすいというメリットもありますよ」
編集部:
ケータイ向けのiモードのサービスも2026年3月に終了するので、高齢者の方にとっても、スマホに乗り替えるのが現実的かなと、私も思います。
◆イラスト/はやし・ひろ