【電動インパクトドライバー】アイリスオーヤマを選んだ理由とは セット内容や使い勝手、手動との差を徹底レビュー

レビュー

なにかと自粛圧力もあり、自宅時間の長くなるこの頃です。そして、自宅にいる時間が長くなると、気になるのが家のさまざまな不備や故障。業者を呼ぶほどではないことも多いので、「自分でなんとかしたい」と思いがちです。筆者もそう考えて、クローゼットの折戸を修理してみましたが、思った以上に重労働だったのが、ネジを締めたり緩めたりする単純な作業。そこで、アイリスオーヤマの「充電式インパクトドライバ JID80」を購入しました。この商品を選んだ理由と使い勝手を紹介したいと思います。

執筆者のプロフィール

齋藤千歳(さいとう・ちとせ)

元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在は昨年8月に生まれた息子と妻の3人、キャンピングカー生活にハマっており、約1カ月かけて北海道を一周するなどしている。

電動ドライバーはどう選んだらいい?

プロに聞いても「素人用はわからない」と言う

先日、特選街webで紹介した「【扉の修理DIY】経年劣化で外れてしまった折戸を直す」という記事で、内装や建具のプロフェッショナルである道産木の松岡さんに、折戸の修理を教えていただきました。

この際に、普通のドライバーを手で回していたところ、「そんなものでは日が暮れる」とばかりに松岡さんが貸してくれたのが、「日立工機(現ハイコーキ)」のインパクトドライバーでした。

すると、嘘のように作業がはかどり、電動ドライバーの必要性を痛感したわけです。

そこで松岡さんに、おすすめの電動ドライバーを聞いたところ、「数万円という価格の業務用しか使ったことがないうえに、一度購入すると最低でも数年は使うので、素人用の新しい物は全くわからない」という答え。

HiKOKI(ハイコーキ) 18Vコードレスインパクトドライバ トルク172N・m アグレッシブグリーン 蓄電池・充電器・ケース付き WH18DB(2JC)
締付能力:[小ねじ]4~8mm・[普通ボルト]M5~M16・[高力ボルト]M5~M12
六角軸二面幅:6.35mm
最大締付トルク:172N・m
無負荷回転数:0~3,100min-1
打撃数:0~3,400min-1
蓄電池:リチウムイオン電池:[形名]BSL1850C・[電圧]18V・[容量]5.0Ah・[充電時間]約20分(UC18YSL3使用時)・
充電器:[形名]UC18YSL3(冷却機能付)
標準付属品:急速充電器(冷却機能付)・ケース・蓄電池・予備電池・電池カバー・取扱説明書
¥36,215
2021-08-04 17:42

これが、松岡さんが使っていたハイコーキの業務用インパクトドライバー。さすがに素人の筆者にはオーバースペックですし、手の出る価格ではありません。

1万円以下でなんとかしたい

仕事用ではありませんし、毎日使うわけでもないので、素人の道具としては、がんばっても1万円以下でなんとかしたいと考えました。そこで最初に候補に上がったのは、筆者の自宅の付近にも複数の店舗がある、DCMホーマックの「DCM 10.8V充電式インパクトドライバースターターキット」。

DCMオリジナルの「DCM 10.8V充電式インパクトドライバー スターターキット」。

「DCM ONLINE」では、税込9,278円と限界予算の1万円をわずかに切る価格です。

しかも実店舗が近くにあり、現物を見てから購入できます。さらに、店舗のオリジナル商品なので質問もしやすく、豊富なオプションも店舗に在庫があるというメリットもあります。

思い切って購入しようと考え、実際に店舗に出向き、商品を買い物カゴにまで入れたのですが、結局やめました。

理由は、ビット(電動ドライバーの先に取り付けてプラス・マイナスや六角、ドリルなどの機能を変更するパーツ)が別売だったのです。このビットセットを別途購入すると、予算をオーバーします。

そこで再度冷静に、自宅でネットを検索することにしたのです。

わからないことだらけの電動工具

「10.8Vバッテリー」を基準に商品を選択

アマゾンを「電動ドライバー」で検索した結果。

とりあえず、アマゾンを「電動ドライバー」で検索してみるが、なにを選んでいいのか、全くわかりません。

仕方ないので、プロ用の電動工具で有名な「マキタ」や「ハイコーキ」のWEBなどを見てみました。すると、使っているバッテリーのボルト数でシリーズが分かれており、基本的に、より電圧(V:ボルト)の高いバッテリーを採用したシリーズほど、高性能で高価であることを気づきました。

逆に、各メーカーのなかでも、電圧が低めながらエントリーシリーズとしてラインアップされているのが10.8Vということにも気づいたわけです。そこで、「1万円以下」という予算に加え、「エントリーシリーズの10.8Vバッテリーのタイプ」を基準にして、商品を探しました。

10.8Vでも非常に安いアイリスオーヤマ

つまり、10.8V以上のバッテリーを採用しており、電動ドライバー本体、バッテリー、充電器、ビットの合計で1万円以下というのが筆者の希望です。

すると、電動ドライバーのカテゴリーでAmazon’s Choiceになっている「充電式ドリルドライバ JCD28」を発見。筆者が確認したときは税込4,463円となっており、1万円どころか5,000円を切る価格設定でした。

アイリスオーヤマ 電動ドライバー ドリルドライバー 10.8V 充電式 軽量 LEDライト 正逆転切替 JCD28 ビット10種・充電器・バッテリー付き 【共通バッテリーシリーズ】
充電池:リチウムイオン二次電池
充電時間:約1時間
商品サイズ:7×21×20(cm)/本体質量:830g/バッテリー質量:220g
付属品:10種類ビット・ACアダプター・充電器・10.8Vバッテリー
定格電圧:DC 10.8V 充電池容量:1500mAh
最大トルク:28N・m
最大チャック把握径:10mm
クラッチ段階数:13段階
無負荷回転数(min-1 回/分):低速:0-350min-1、高速:0-1300min-1
ACアダプター仕様:入力 AC100-240V、50/60Hz 出力 DC13.5V、1.5A
¥4,463
2021-08-04 17:47

アイリスオーヤマなら、安くてもそれなりの働きをしてくれるだろうと、購入しようとしました。

ところが、Amazonの「よくいっしょに購入されている商品」のところに、「充電式インパクトドライバ JID80」が表示されているのです。

同じ10.8Vバッテリーを使うシリーズの商品として、インパクトドライバーがあるということでしょう。

インパクトドライバーとドリルドライバーの違いとは?

インパクトドライバーとドリルドライバー。当初、筆者には2つの違いが全くわかりませんでした。

アイリスオーヤマ 電動ドライバー インパクトドライバー 10.8V 充電式 軽量 LEDライト 正逆転切替 JID80 ビット10種・バッテリー・充電器付き 【共通バッテリーシリーズ】
充電池:リチウムイオン二次電池
充電時間:約1時間
商品サイズ:7×21×18(cm)/本体質量:800g/バッテリー質量:220g
付属品:10種類ビット・ACアダプター・充電器・10.8Vバッテリー
定格電圧:DC 10.8V
充電池容量:1500mAh
ビットチャック:6角軸(2面幅6.35mm)
無負荷回転数:0-2000min-1 ●打撃数(min-1[回/分]):0-3500
最大トルク:80N・m
ACアダプター仕様:入力 AC100-240V、50/60Hz 出力 DC13.5V、1.5A
¥5,400
2021-08-04 17:49

いろいろ調べると、インパクトドライバーは回転方向に回るだけでなく打撃を与えることで、より強い力でネジなどを締めることができるのが特徴。これに対してドリルドライバーは、回転のみで打撃は与えないので締める力などは弱いが、回転速度やトルクの調整ができ、細かな作業に向いているといいます。

そう言われても、初めて電動ドライバーを購入する筆者は、どちらを買うべきなのかわかりません。

いくつかのサイトを見て回りましたが、「力の弱いドリルドライバーのほうが初心者向け」という説もあれば、「最初に買うなら絶対インパクトドライバーと」いう説もあり、さらには、「結局どちらも欲しくなるので、どちらから買ってもいい」という説までありました。

ちなみに「充電式インパクトドライバ JID80」の最大トルクは80N・m(ニュートンメートル:力のモーメントを表す単位で、数値が大きいほど力が強い)、「充電式ドリルドライバー JCD28」の最大トルクは28N・m。先日の作業の際に松岡さんから借りたようなプロ用のインパクトドライバーは、180〜200 N・mといったトルクがあるようです。

ということは、10.8Vバッテリー採用の「充電式インパクトドライバ JID80」は、元々プロ用の半分以下のトルクしかないので、力が強すぎて困るという心配はないと判断。そして、ドリルで穴を開けるのではなく、ネジを締めたり緩めたりするなら、ドリルドライバーではなくインパクトドライバーと考え、「充電式インパクトドライバ JID80」を購入しました。

価格は5,400円。こちらも電動ドライバー本体、バッテリー、充電器、ビットセット付きです。「充電式ドリルドライバ JCD28」より1,000円ほど高いですが、十分にコストパフォーマンスの高い価格だと思います。

インパクトドライバーJID80の同梱物と各部詳細

やや華奢だが基本はプロ用とよく似た出来

届いた箱の中には、「充電式インパクトドライバ JID80」本体、ビット10種類、10.8Vバッテリー、充電器、ACアダプター、そして取扱説明書が同梱されていました。

必要にして十分、といったラインナップ。

ビットセットもそろっています。プラスビット4本(PH1、PH2×2、PH3)、マイナスビット3本(4mm、5mm、6mm)、六角ビット3本(H4、H5、H6)の10本セットです。

自宅の修繕に対応するには十分でしょう。

バッテリーを充電器に繋いだところです。

充電時間は約1時間となっています。

実際に手に持ったところです。筆者の手は、軽く開いて親指から小指までの距離が約17cmなので、成人男性にしては大きくありませんが、しっかりフィットします。このサイズなら、女性や手の小さな方でも取り回しやすいでしょう。

手元には「回転方向切り替えスイッチ」が装備されています。これで回転方向を切り替えて、ネジを締めたり緩めたりします。

中央で止めると回転が停止します。

さらに、暗がりで使用することに配慮して、グリップの下部にLEDライトが配置されています。

室内でも影になる場所で使うときに便利です。

ビットの交換は、ビットチャック(先端部)を手前に引きながら脱着するだけ。

市販の6.35mm六角軸インパクトドライバー用ビットが使用できます。

筆者が「充電式インパクトドライバ JID80」のもっとも気に入っている点は、安いのにプロ用のインパクトドライバーとほぼ同じ形状をしていることです。価格の安い電動ドライバーでは、初心者の向けということで、プロ用とは大きく形状の異なるものも見かけます。

しかし、バッテリーの位置や、回転方向の切り替えスイッチは、それなりの理由があって進化した結果、いまのプロ用に形になっていると思われます。スタンダードな形とデザイン、操作性を踏襲した「充電式インパクトドライバ JID80」は、かなり合理的だといえると思うのです。

実際、プロ用を借りて使っていたときの印象に比べると少し軽く、華奢に感じること以外、ほぼ違和感なく作業できるのは予想以上といえます。

また、動作スイッチ(トリガー)を強く握るほど回転速度が上がる仕組みなので、はじめはゆっくりネジを打ち込み、その後速度を上げることでネジをまっすぐに打ち込むことできます。ただし、このあたりには、かなり慣れが必要に感じました。

実際の作業時間の違い

作業時間は半分以下に短縮

記事の冒頭でも紹介しましたが、以前、クローゼットの折戸を修理する方法をプロに習い、そのコツを紹介しました。

以前の記事でも紹介した折戸の修理。写真の扉1枚で26本のネジが使われています。

このとき実際に、クローゼットの折戸を1枚修理したのですが、我が家には壊れたクローゼットの折戸が、まだ数セット残っているのです。

修理のためには、一度すべて分解、再度組み立てを行います。折戸1枚で、開閉金具のネジ24本と取っ手のネジ2本、合計26本を外して、また締める必要があります。

「ネジを外して再度締めるだけなら簡単」と思うかもしれません。ところが実際にやってみると、手回しのドライバーでの作業は、はっきりいって嫌になるほどの重労働、かつ時間がかかります。手回しのドライバーと電動ドライバーの違いは、本当に大きいのです。

そのことを科学的に実証するために、ネジを外す作業と再度締める作業を、手回しのドライバーと「充電式インパクトドライバ JID80」でそれぞれ行い、作業時間を計測してみました。

▼26本のネジを外す作業時間
手回しのドライバー
→11分15秒
「充電式インパクトドライバ JID80」
→3分45秒

体感では倍以上速度差があるように感じていましたが、実際に時間を測ると3倍の速度差がありました。予想以上です。

「ネジを外す」という作業は単純に見えますが、再度組み立てる際に同じネジを使うため、ネジの頭をなめて(溝をつぶして)しまわないように、しっかりと力を入れてドライバーを回す必要があります。かなり力のいる作業になるのです。

筆者は手が疲れてしまい、右手と左手を交互に使いながら、(真夏ということもありますが)汗だくになってネジ外しをしました。

今回は計測のために手回しのドライバーを使いましたが、「充電式インパクトドライバ ーJID80」を購入したからには、もう二度と手回しでネジを外したくありません。

折戸の折り曲げ部分の金具。1カ所で8本のネジがあります。修繕DIYには、想像以上に大量のネジを緩めたり締めたりしなくてはいけません。

クローゼットの扉を分解し、木工用ボンドなどで再度組み立てたあと、今度は26本のネジを締めて扉を組み立てました。こちらも手回しのドライバーと「充電式インパクトドライバ JID80」での作業時間を計測しました。

▼26本のネジを締める作業時間
手回しのドライバー
→15分5秒
「充電式インパクトドライバ JID80」
→6分45秒

ネジをしめ直す作業では、作業時間の差は2倍ちょっとになりました。

ネジを外す作業よりも時間の差が少なくなった理由は、おそらく電動インパクトドライバーの操作に慣れていないためでしょう。ネジがまっすぐに入るように、回し始めゆっくり、そして速度を上げて締める、という操作を、じっくり慎重に行っていたのです。この点は、筆者が電動インパクトドライバ ーの操作に慣れることで、作業時間はもっと短くなると思います。

まとめ

5400円分以上の労力と時間を節約できる

「充電式インパクトドライバ JID80」を購入して思ったことは「2度と手回しでネジを緩めたり締めたりしない!」ということです。

電動ドライバーを持っていない頃は、家具の組み立てなども、「ちょっとがんばれば大丈夫」と考え、手回しのドライバーで組み立てていました。しかし、「充電式インパクトドライバ JID80」を購入した今、2度と手回しのドライバーに戻ることはないでしょう。驚くほど楽なのです。また、今後の人生で5,400円分以上の時間を節約してくれると確信できます。

現状ではアイリスオーヤマの「充電式インパクトドライバ JID80」に満足しており、多くの方におすすめできます。でも、DCMホーマックの「DCM 10.8V充電式インパクトドライバースターターキット」とは、最後まで悩みました。

コストパフォーマンス抜群の「充電式インパクトドライバ JID80」。不満はなにもありません。

今回は価格を重視して、「充電式インパクトドライバ JID80」を購入しました。しかし、近所の実店舗に、アクセサリーを含めたDCMオリジナルの10.8Vバッテリーを共有パーツとしたシリーズの在庫が豊富にあることを考えると、今後自分がどう感じるか、興味深く思っています。

例えば「バッテリーをもう1つ欲しい」といったシーンで、近所の実店舗に行けばすぐ手に入る「DCM 10.8V充電式インパクトドライバー」は、気になる存在です。インターネットショッピングが当たり前だからこそ、実店舗でサービスが受けられることのアドバンテージといえるでしょう。この点のみが気になっています。

レビューハンドメイド・DIY
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齋藤千歳(フォトグラファーライター)

元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在はキャンピングカーを「方丈号」と名付け、約9㎡の仕事部屋として、車内で撮影や執筆・レビューなどを行っている。北海道の美しい風景や魅力を発信できればと活動中。

齋藤千歳(フォトグラファーライター)をフォローする
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