2021年9月16日、GoProから「HERO10 Black」が発売された。昨年発売された「HERO9 Black」が発売されたときも「HERO8 Black」からの進化に驚いたが、今回はさらなる進化がされているというので期待が高まる。今回、「HERO9 Black」から「HERO10 Black」になったことで一体何が進化したのか、実際に使ってみて分かったこと、感じたことをお伝えしようと思う。
「GoPro HERO10 Black」の特徴
搭載プロセッサーが「GP1」から「GP2」に進化
GoProといえば、いまや誰もが知っている米のウェアラブルカメラのメーカーだ。2004年の「GoPro HERO 35mm 」発売を皮切りに、これまで多くのウェアラブルカメラを世に送り出し続けている。今回発売されたのは「HERO10 Black」というモデルで、革新的な高性能を実現するために、既存のモデル(「HERO6」から「HERO9」)に搭載していたプロセッサーが「GP1」から「GP2」に変更になったのが最大の特徴だ。
新型プロセッサーが「GP2」になったことで、タッチコントロールなどの操作よりが軽快になったうえ、フレームレートが倍増。これにより、今まで以上にスムーズな映像撮影が可能になった。また、「HERO7」から搭載されている、デジタル手振れ補正の「HyperSmooth」も、今回のモデルから「HyperSmooth4.0 」に進化。手振れ補正の性能も向上している。
GoProのアクセサリーはここでチェック▶
より鮮明でクリアな映像を撮影できる
前述した通り、プロセッサーが「GP1」から「GP2」に進化したことにより、フレームレートが倍増している。ビデオモードでは、「HERO9」の場合、これまで最大で5K/30fpsだったところ、「HERO10」では、5.3K/60fps、4K/60fpsから4K/120fpsへと、より高精細な映像を撮ることができるようになった。画素数の向上により、これまで以上により鮮明でクリアなビデオを実現。5K=19.6メガピクセルを実現したことで、目で見た通りの自然な色調も忠実に再現しており、暗所(夕暮、日没、低光量の屋外など)におけるビデオ撮影においても、ローカルトーンマッピング/3Dノイズ低減がおこなわれるため、きれいな映像を残すことができるのも嬉しい。
45°以内の傾きなら水平を維持して撮影可能
HERO7で初搭載されたGoPro独自の手振れ補正機能「HyperSmooth」も、「HyperSmooth4.0」に進化。手振れ補正をオン(ブーストオン)の状態でも、5.3K/60fps、4K/120fps、2.7K/240fpsを実現しているから、より高品質な映像を撮ることができる。また、内蔵水平維持機構とリニア+水平維持デジタルレンズは、これまでのチルト限界27°から45°にまで拡大。モードで「リニア+水平維持」を選べば、カメラが傾いていたとしても、45°以内であれば水平を維持して撮影できる。
転送機能も進化
次に進化したポイントは、転送機能だ。撮影したコンテンツの転送方法は3つある。
・クラウドへの自動アップロード
・ワイヤレス転送
・有線接続
まずはクラウドへの自動アップロード。サブスクによるクラウドへのバックアップにも対応しているので、一日中撮影した映像や画像を、カメラのチャージ中にアップロードすることが可能になった。撮影した映像や画像は、クラウドにアクセスすればすぐに確認することができる。
次に、ワイヤレスでの転送。これは、これまでのモデルと同じで、外出先でもスマートフォンからGoProの映像や画像を再生・編集・共有することができる。
最後に、有線接続。これは、GoProとスマートフォンを有線で接続して、撮影した動画や画像を転送するのだが、ワイヤレス転送よりも50%以上も速い。コンテンツを早急にスマホに移動したい時など、ストレスを感じることなく、スムーズに処理することができる。
専用アプリ「Quik」
専用アプリの「Quik」(月額200円または1080円のサブスクリプション)を使えば、撮影したデータを一元管理が可能だ。クラウドに接続すれば、カメラのチャージ中にも映像や画像を自動でアップロード(無制限)することができる。「Quik」をスマホにインストールしておけば、撮影した映像の編集も可能なうえ、編集した動画を簡単にSNSに共有することもできる。ちなみに「Quik」は、GoPro以外で撮影した写真やビデオも取り込むことができるから、「Quik」で一元管理すれば、ベストショットを見失うようなこともなくなるかもしれない。
HERO10 Blackを実際に使ってみる
ここからは、「HERO10 Black」を実際に使ってみての感想を、「HERO9 Black」と比較しながらお伝えしようと思う。
まず、外観だが、大きさは全く同じで、見た目で違うのは、ロゴの色の違いぐらいだ。電源ボタンの配置なども全く同じなので、「HERO9 Black」のアクセサリーもそのまま使用することができる。バッテリーサイズも同じだから、「HERO9 Black」を所有している方であれば、改めて追加で購入する必要はない。重さは、若干(5g)、「HERO10 Black」の方が軽い。
次に電源を入れて、実際に操作をしてみると、ここは明らかな違いを感じた。「HERO9 Black」では、タッチ操作が少々カクカクする感じで動くのに対して、「HERO10 Black」ではとても滑らかだ。また、タッチのレスポンスも「HERO10 Black」の方がよく、スマホのような操作感で使用することができる。とても快適だ。プロセッサーが「GP1」から「GP2」に進化した恩恵は、操作感などにも十分に表れていた。
さっそく動画を撮ってみた
外観はほぼ同じ、操作感はより向上していたが、気になるのは動画撮影での進化だろう。早速、自転車に装着して動画を撮影した。「HERO9 Black」と「HERO10 Black」でそれぞれ撮影したので、比較してみよう。
明らかな違いは、画角だ。「HERO10 Black」の方が、より広角に撮影することができていたのだ。これまでのモデルの手振れ補正機能「HyperSmooth」は、デジタルでの補正ということもあり、どうしても画角が狭まってしまう傾向が強かった。それでも手振れは驚くほど補正されるため、その技術には十分感服していのだ。さらに「HERO10 Black」では、デジタル補正技術はそのままに、画角が広まったというのが凄い。
また、動画自体も、4K/120fpsでの撮影が可能になっているから、「HERO9 Black」よりも、より滑らかな映像を撮ることができた。これも、かなりの進化ポイントだ。
静止画はよりリアルに近い色味で撮影できる
動画撮影時に「手振れ補正」をオンにして使用した際、広角での撮影が可能になった以外は、大きな違いを感じ取ることができなかった。しかし静止画においては、広角での撮影が可能になったことに加え、色味が少々違う印象を受けた。広角で撮影することができるのはとても嬉しいのだが、写真の色合いは、もしかしたら、好みが分かれるところかもしれない。
「HERO10 Black」で撮影した静止画は、よりリアルに近い印象だった。見た目に近いということなのだが、静止画の場合、ちょっと物足りなさを感じるかもしれない。その点「HERO9 Black」は、若干、明るめのテイストで、見た目よりも、派手な印象を受けた。ここは本当に好みなので、何とも言えないが、私個人的に言えば、「HERO9 Black」で撮影した静止画の方が、好みの色合いだった。
自撮り棒でのラフな動画撮影もキレイに水平を維持
内蔵水平維持機構とリニア+水平維持デジタルレンズでは、「HERO9 Black」まではチルト限界が27度だったのに対して「HERO10Black」では45度まで対応する事から、自撮り棒に取りつけて撮影してみたが、これがまた、凄かった。
自撮り棒に取り付けての撮影では、水平に維持すること自体が難しく、「HERO9 Black」のチルト限界角度である27度でも十分だと感じたが、「HERO10 Black」のチルト限界角度45度には、かなり驚かされた。こんなに傾けても大丈夫なの?というほど傾けて撮影してみたものの、キレイに水平を維持できていたので、自撮り棒でだいぶラフな撮影をしたとしても、後で動画を確認してみても、見るに堪えない動画(内容は別にして)になっていないので、手振れや水平などを気にすることなく、簡単に撮影ができるから、動画撮影のハードルがとても低くなったように思えた。
実際に撮影した動画や静止画を「Quik」を立ち上げ、スマホと「HERO10 Black」を有線接続すると、瞬く間にデータが転送されたが、「HERO9 Black」では、いつ終わるのだろうか、というほど転送に時間がかかっていたことを考えると、改めて、「HERO10 Black」の使い勝手の良さを実感した。
まとめ
過去に「HERO7 Black」を試した際、手振れ補正機能「HyperSmooth」に驚愕したものだった。今回試したGoProの最新モデル「HERO10 Black」は、手振れ補正機能を含めた操作性が格段に向上しているほか、有線での動画転送速度の高速化など、全体的に使い勝手が進化しており、あらためて驚かされた。
アクセサリー類も豊富だから、使い方の幅も広がるだろう。今回は試せなかったが、機会があったら2.7K 8×スローモーションのほか、5.3K/60fpsでの動画撮影もしてみたいものだ。価格は、GoPro.comの場合、製品単体で6万4000円、1年間のサブスクリプション付きであれば5万4000円で購入できる。動画から静止画までこれ一台で楽しめると考えると、それほど高くはない買い物かもしれない。ちなみに、サブスクリプションに加入すれば、専用アプリ「Quik」のさまざまな機能が制限なく使えることや、容量無制限のクラウドへのバックアップ、編集ツール、破損したカメラの交換保証、アクセサリー類が50%オフなどなど、いろいろとお得だ。
今回私は自転車に装着して動画を撮影したが、オートバイやクルマ、ウインタースポーツやアウトドアなど、アクティブに動き回る人から、旅先で景色を撮影するような使い方まで、さまざま用途に使える頼もしいアイテムといえる。これからウェアラブルカメラの購入を検討している方に、オススメのモデルだ。