筋肉、内臓、皮膚、毛髪……。これら体のパーツの大半がたんぱく質から構成されているということを知っていますか? 体を正常に動かし、健康を維持するために日々はたらいているホルモンや酵素、抗体も、たんぱく質でできています。体をつくり、維持し、動かすために必要なたんぱく質の基本構造、はたらき、たんぱく質不足によるさまざまな不調について、書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ』著者で理学博士の佐々木一さんに解説していただきました。

解説者のプロフィール

佐々木一(ささき・はじめ)

理学博士。山形大学理学部生命学科卒業後、名古屋大学理学部大学院生物学専攻修了。乳業メーカーの研究員を経て、神奈川工科大学管理栄養学科教授に就任。2019年3月に定年退職。研究員時代にホエイたんぱく質の抗炎症作用を発見し、病院向け流動食として商品化。現在、乳清たんぱく質及び乳清ペプチドを用いた筋肉増強作用の研究を進めている。
▼専門分野・研究論文(KAKEN)

本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

イラスト/くにともゆかり、栗生ゑゐこ、Getty Images

そもそも、たんぱく質ってどんなもの?

アミノ酸ひも状につながったもの。ひもがいろいろな形になり役割を果たしている

たんぱく質の正体を探っていくと、その大元はアミノ酸に行きつきます。アミノ酸が数十個から数千個、ひも状につながったもの。このひもがぐにゃぐにゃと折れ曲がったり、らせん状になったり、球状に丸まったりしているのがたんぱく質です。〔下図〕

一見、ぐちゃぐちゃに絡まっているように見えるたんぱく質ですが、実はきちんと法則に則った形をとっているのです。

たんぱく質の立体構造の最小単位は、αへリックスとβシートという2種類があります。すべてのたんぱく質はこの2つの最小単位と、それ以外の部分の組み合わせでできています。
血液に含まれるヘモグロビンはαへリックス、免疫グロブリンはβシートからなるたんぱく質。他にもαへリックスとβシートがどちらもふくまれるもの(α+βたんぱく質)、交互に繰り返されるもの(α/βたんぱく質)など、基本構造だけでも数万以上もあります。
複雑に折りたたまれることで、球体やロープ型、チューブ型などさまざまな形がつくり上げられ、体の部品となってはたらいているのです

たんぱく質の大きさは、わずか数nm。ヒトの身長が地球の直径だとすると、たんぱく質はピンポン玉から野球ボール。ヒトの体には、想像を超える小さく膨大な数のたんぱく質が集まっているのです。

たんぱく質ってどんな形?

さまざまな形があるが、代表的なものを紹介。

画像1: ▼たんぱく質ってどんな形?

これをまっすぐにすると…
アミノ酸がつながった一本のひもになる

画像2: ▼たんぱく質ってどんな形?
画像3: ▼たんぱく質ってどんな形?
画像4: ▼たんぱく質ってどんな形?

たんぱく質って体の何に役立っているの?

人の体をつくり維持する、生命に欠かせない最重要栄養素

筋肉、内臓、皮膚、毛髪……。これら体のパーツの大半がたんぱく質から構成されているということを知っていますか。

体を形づくる

ヒトの体の約60%は水分。水分以外でもっとも多いのはたんぱく質。

画像: ▼体を形づくる

パーツだけではありません。目で見ることはできませんが、体を正常に動かし、健康を維持するために日々はたらいているホルモンや酵素、抗体も、たんぱく質でできています

体を動かす

体内ではたらくさまざまな成分もたんぱく質でできている。

酵素
体内には約5000種類の酵素があり、消化やアルコールの解毒など、体内で起きている化学反応を加速させている。

画像1: ▼体を動かす

ホルモン
内分泌腺でつくられ、体のさまざまなはたらきを調節。

画像2: ▼体を動かす

抗体
ウイルスや細菌などから体を守る。

画像3: ▼体を動かす

さらには体を動かすエネルギー源としても使われます。体をつくり、維持し、動かすために必要なたんぱく質は、私たちにとってもっとも重要な栄養素といえるでしょう。

エネルギー源になる

炭水化物や脂質だけでなく、たんぱく質もエネルギー源となる。

エネルギー源として使いすぎることのないよう、炭水化物や脂質もバランスよく摂取することが大切。

画像: ▼エネルギー源になる

本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

たとえば、体からたんぱく質をすべて取り除くと、筋肉がなくなり、骨のリン酸カルシウムの結晶だけが残るでしょう。カルシウムのかたまりと思われている骨だって、そのはじまりはたんぱく質です。
つまり、人の体はたんぱく質なしには存在できないというわけ。

私たちの体をつくる最小単位「細胞」では、ものすごい勢いでたんぱく質がつくられ続けています。生きている限り、たんぱく質は生まれ、はたらき続けるのです。
しかしそんなたんぱく質にも寿命があり、数分から数か月でどんどん失われ、2~3%が毎日新しいものに入れかわっています。
だから、私たちは毎日食事でたんぱく質を補給し続けなければならないのです。

たんぱく質が足りないとどうなるの?

たんぱく質不足はさまざまな不調の原因に。高齢者はとくにサルコペニアに注意

あらゆる体の機能にかかわっているたんぱく質が足りなければ、さまざまな不調が引き起こされます。
慢性疲労はもちろん、肩こり、腰痛、下痢、冷え性、むくみ、貧血などの原因が、たんぱく質不足ということも。
心当たりがあれば、まずは食事の内容を見直してみましょう。

また、「サルコペニア」という言葉を知っていますか? 筋肉量の減少と機能の低下を意味する言葉ですが、たんぱく質不足は「サルコペニア」を引き起こします。
筋肉量が減れば身体機能が低下、心筋梗塞や脳卒中、糖尿病のリスクも高まります。

とくに高齢者のサルコペニアは、加齢による筋肉減少に加え、食欲が落ち、十分な食事がとれなくなることで加速します。
この負の連鎖をフレイルティ・サイクルといい、やがては寝たきりになってしまうこともあります。

寿命を縮めるサルコペニア

気がつかないうちに「フレイルティ・サイクル」が何回も回転し、サルコぺニアに至ってしまう。

画像: ▼寿命を縮めるサルコペニア

そして恐ろしいことに、サルコペニアは気づかぬ間に進行しています。飽食の時代、十分に食べているつもりでも、実は栄養失調状態という人がけっこういるのです。
サルコペニアの兆候を見逃さず、適度な運動やたんぱく質を意識した食事を心がけましょう。

サルコペニアの兆候

以下にあてはまる人はサルコペニアの可能性も。

  • ふくらはぎが細くなってきた
  • 歩くのが遅くなり青信号で横断歩道を渡りきれない
  • 握力が弱くなって物がつかめない

親指と人差し指で輪っかをつくり、ふくらはぎの一番太い部分をつかむ。指が触れるようならサルコペニア予備軍。

画像: ▼サルコペニアの兆候

◇◇◇◇◇

なお、本稿は書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。ヒトの体の約60%は水分で、次に多いのが約20%を占めるたんぱく質。筋肉の原料となることはよく知られていますが、皮膚や髪、爪、血管、内臓に至るまで、たんぱく質から構成されていることはご存知でしたでしょうか。ダイエットの成功も、美しい肌や髪をつくるのも、心身の健康を保つのも、すべてたんぱく質がカギとなっているのです。本書では、たんぱく質のはたらきから、よりよい摂取方法、また摂取不足が引き起こす諸問題について、わかりやすく説明しています。難しい話は苦手という方でも、たんぱく質についてやさしく学べる内容となっています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

画像: 〈たんぱく質とは〉働きと役割・たんぱく質不足のリスクを簡単にわかりやすく解説します|イラスト図解
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2021-12-02 12:51


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