お酒と料理の相性を楽しむ「ペアリング」。主にワインの世界で使われる言葉でしたが、最近では日本酒やビールなど、ほかのお酒にも浸透しつつあります。「友達が遊びに来るからワインを開けちゃおう!」「寒くなってきたから今夜は熱燗かな」といった家呑みのペアリングのコツを、書籍『いつものお酒を100倍おいしくする 最強おつまみ事典』の著者で発酵料理家の真野遥さんに教えていただきました。
解説者のプロフィール
真野遥 (まの・はるか)
発酵料理家。1990年生まれ。法政大学人間環境学部卒業後、商社勤務を経て、飲食店のキッチンや料理研究家アシスタントの経験を積み、料理家として独立。現在は東京、京都を中心にレシピ開発やメディア出演、日本酒ペアリングが学べる料理教室の主宰など幅広く活動中。著書に、『手軽においしく 発酵食のレシピ』(成美堂出版)がある。好きなお酒はビールと日本酒。旬の食材を使ったおつまみを合わせるのが好き。
本稿は『いつものお酒を100倍おいしくする 最強おつまみ事典』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
イラスト/スケラッコ
監修/數岡孝幸(東京農業大学応用生物科学部醸造科学科准教授)
ペアリングとは?
ワインだけでなく日本酒やビールでも
お酒は、人生に彩りや癒しを与えてくれる大切な存在です。嬉しいことがあった時は、より嬉しく。
大切な人との時間を、より楽しく。つらいことがあった時には、少しだけ気持ちを楽にしてくれます。
最近お酒をじっくり味わって飲む人が増え、お酒の楽しみ方も多様化してきたように思います。
そのひとつに、お酒と料理の相性を楽しむ「ペアリング」という概念があります。元々は主にワインの世界で使われる言葉でしたが、最近では日本酒やビールなど、ほかのお酒にも浸透しつつあります。
「ペアリング」と言うと、なんだか特別なものというイメージを持たれるかもしれませんが、そんなことはありません。餃子にビール、唐揚げにハイボールだって、立派なペアリングなのです。
もちろん、飲食店で味わう技巧の凝らされた特別なペアリングは、簡単に真似できるものではありません。しかし、家呑みには、家呑みならではのペアリングの楽しみ方があるのです。
正解なんて求めなくて大丈夫。ペアリングは目的ではなく、よりおいしく楽しむための手段なのですから。
飲みたいお酒に合う料理がきっと見つかる
本書では、特定の銘柄や産地・品種などの難しい分類はせず、とことん家呑みに寄り添った独自の分類で、お酒のタイプ分けをしました。幅広いお酒のペアリングをご紹介していますので、飲みたいお酒に合う料理が、きっと見つかるはずですよ。
今夜はどんなお酒を飲みますか?
「友達が遊びに来るからワインを開けちゃおう!」「寒くなってきたから今夜は熱燗かな」「ミントがたくさんあるのでモヒートを作ろう」…そんな時には、この本を開いてみてください。
あなたの今夜の晩酌が、いつもよりもちょっぴり幸せなひとときになりますように。
ペアリングの魅力
疲れた… 日本酒と刺身で癒そう
その組み合わせ、酒のおいしさ損なってますヨ
ダメPoint!
フルーティーで香り高く、甘い日本酒と刺身の組み合わせは、一見相性がよさそうですが、魚の生臭さが際立ってしまいます。
これ、試してみて!
ナイスPoint!
フルーティーな日本酒と合わせるなら、チキンソテー マーマレードのソースのような、果物のニュアンスがあるものを。お互いの味わいがぴったり合います。
めっちゃ酒と合う!?
ペアリングって知ってる? いつものお酒を100倍おいしくできるウラワザなんだ
えー!! なにそれ!? ソムリエみたいなこと? やってみたいけどむずかしくない?
ペアリングってなに!?
ペアリングとは、お酒と料理がピタッと合う組み合わせのこと。口の中でお互いの風味がスパークしたり、一体感が生まれたりして、おいしさが増幅します。新たな味覚体験ができるのが、ペアリングの魅力です。
むずかしくない!
この本のとおりにペアリングするだけで最強!!️
まずはあれこれ考えず、本のとおりにお酒と料理を組み合わせて、ペアリングにチャレンジしましょう。家呑みが、楽しく、豊かに、おいしくなること請け合いです。
次の項から役立つ知識を教えるよ
お酒の種類と「合うおつまみ」
今までもなんとなく、餃子にビールを合わせていたけど…缶チューハイにも「合う」ってあるの?
あるよ! まずはお酒の種類で考えるとわかりやすいかな
醸造酒
日本酒/ワイン/ビールなど
原料となる穀類や果実などを発酵させてできるお酒。アルコール度数は低く、複雑な香り、風味をもつ。そのため、ピンポイントで料理とのペアリングができる。
合うおつまみ例
•日本酒旨口 × 塩辛
•ワイン全般 × チーズ
•黄金系ビール × 揚げ物
蒸留酒
ウイスキー/焼酎/ジン/ラム/ウオッカ/テキーラなど
醸造酒を蒸留して造られるお酒。アルコール度数は高く、ピュアな香り、風味が特徴で、ピンポイントのペアリングというよりは、おおまかなペアリングとなる傾向。
合うおつまみ例
•ウイスキー × ナッツ
•麦焼酎 × 焼きおにぎり
•テキーラ × タコス
混成酒
チューハイ/梅酒/カクテル/リキュールなど
醸造酒や蒸留酒に、甘味料、ハーブ、果実、香辛料、香料などを加えたお酒。加えたものによって、香り、風味が異なる。フレーバーに合わせてペアリングするとよい。
合うおつまみ例
•レモンチューハイ × 唐揚げ
•桃サワー × ヨーグルト
お酒の種類でも見えてくるけど、お酒と料理の「お互いの味のボリューム(濃さ)を合わせる」イメージだね。
「おいしい」と感じる4つのパターン
そもそも、「合う」ってどういうこと?
ペアリングで「おいしい」と感じるのには4つのパターンがあります。
似ているもの同士
味や香り、色など、似ている要素を組み合わせた、ぴったりくるペアリング。
[例]
•赤ワイン × 肉料理
•フルーティーなお酒 × フルーツ
対照的なもの同士
対照的な要素を合わせた、中和されたり、メリハリがついたりするペアリング。
[例]
•甘いお酒 × 酸味の強い料理
味や香りを補う組み合わせ
どちらかに足りない、塩味、甘味、酸味、苦味、辛味などの味や香りが補われたペアリング。
[例]
•果実味のあるお酒 × 肉のソテー
•柑橘系のお酒 × 揚げ物
新たな味や旨味が生まれる組み合わせ
お酒と料理を合わせることで、新たな味や、飛躍的な旨さが生まれるペアリング。
[例]
•日本酒 × 味噌
•とろみのあるお酒 × あんかけ
すぐに使えるペアリングのコツ
簡単なペアリングのコツを知っていれば、家呑みだけではなく、外食でももっと楽しめます。
似ている色を組み合わせる
「赤ワインには肉料理、白ワインには魚介類」というのを聞いたことがありませんか。お酒と料理の色味を合わせると、だいたいの場合うまくペアリングできます。
色合わせなら簡単にできそう
同じ地域のものを組み合わせる
同じ地域のお酒と郷土料理の組み合わせは「先人の知恵」ともいうべきペアリング。これらは、土地の風土に合わせて作られているので、合うのは当然なのです。
地酒と郷土料理は間違いないペアリングだよ
質感をそろえる
とろとろとしたお酒に、クリーミーな料理を合わせるといったように、お酒と料理の質感(テクスチャー)をそろえると、一体感が増します。
温度を合わせる
冷たい料理はキンキンに冷えたお酒、グツグツと温かい料理は熱燗など、お酒と料理の温度を合わせましょう。五味のバランスがとれたり、香りがアップします。
使う油もポイント
料理に使う油によって、合うお酒も変わってきます。「調和」をベースに考えると◎。
●オリーブ油:日本酒フルーティータイプ、ワイン、芋焼酎
●米油:日本酒旨口タイプ、コクのあるワイン、米焼酎
●ごま油:日本酒熟成タイプ、スパイシーなお酒
●ココナッツオイル:フルーティーな日本酒、白ワイン
ラベルの印象も大きなヒントに
多くの場合お酒のラベルには、そのお酒の個性が表されています。よって、ラベルの印象と似た料理を合わせると、不思議とよいペアリングになることも。
発泡したお酒×揚げ物は間違いなし
ビールやスパークリング、ソーダ割りなどの発泡したお酒には、揚げ物がぴったり。これは、炭酸の刺激に口のなかをリフレッシュする効果があるためです。
唐揚げとビールって合うよね!
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本稿は『いつものお酒を100倍おいしくする 最強おつまみ事典』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。本書では、ビール、チューハイ、日本酒、ワイン、ウイスキー、焼酎、梅酒、ジン、ラム、ウオッカ、テキーラまで、それぞれのお酒にぴたりと合う最強おつまみレシピが満載。飲みたいお酒からおつまみを引けて、簡単にペアリングできるのが最大の特徴です。とことん家呑みに寄り添った幅広いお酒のペアリングをご紹介していますので、飲みたいお酒に合う料理がきっと見つかります。詳しくは下記のリンクからご覧ください。