2021年に発売された「Zuvi Halo(ズーヴィ ヘイロー)コードレスヘアドライヤー」。有線が当たり前のドライヤーをコードレス対応させたことで注目された商品です。その商品の2022年モデルが発表されたのですが、それがなんと「コード有り」。コードレスヘアドライヤーは失敗だったということなのでしょうか?その真実に迫ります。
Zuvi Haloの最新ヘアドライヤーをレポート
コードレスで注目されたドライヤーの最新モデルは「コードあり」?
香港に拠点を持つ新進気鋭の家電メーカーZuvi(ズーヴィ)。昨年はコードレスドライヤーを出し、世界的な注目を集めました。今や、世界的にも注目されるメーカーで、投資も順調。大きく羽ばたこうとししています。
メーカーがユーザーから認められるには、経営者がどんなに言葉を尽くそうとも、製品がしっかりしている必要があります。Zuviの第一弾は、2021年に発売されたZuvi Halo(ズーヴィ ヘイロー)コードレスヘアドライヤー。初め「コードレスのヘアドライヤー」と聞いて、思わず耳を疑ったモデルです。
ドライヤーは熱風により髪の毛を乾かします。熱風を作るには多くの電気を消費します。最強にすると1200Wですから、コードレスは考えられません。しかしそれを打破したのが、Zuviのオリジナル技術「Light Care」。熱風ではなく「光」で乾かします。
そのZuviが、2022年モデルを発表しました。今回は、なんと「コードありモデル」。「Light Care」はどうした!最新すぎて受け入れられなかったのか? など、色々な憶測が飛び交います。今回は、Zuviの最新モデルZuvi Halo(ズーヴィ ヘイロー)ヘアドライヤーをレポートします。
コードレスを作り出したオリジナル技術「LightCare」
ドライヤーの原理は、コイルヒーターで温めた空気を髪の毛に吹き付けて乾かします。そしてそれを生活空間で行います。ところが空気はそんなに、その温度を保ってくれません。10cm離れると、10℃は温度が下がります。このため、例えば100℃の温度を髪の毛に届けるためには、吹き出し口では120℃以上の温度にしないとなりません。このため、膨大な電気を喰います。
また、100℃近い風を髪に吹き付けるということは、髪も乾きますが、髪全体も熱せられるということです。実際、手で触れると熱いとなることもあります。髪は強固ですが、成分はタンパク質。70℃以上の温度では、変質します。平たくいうと髪の毛が傷むのです。
これらの問題は、空気を媒介にして熱をドライヤーから髪の毛へと移す「熱線コイル方式」であるが故発生します。
この問題に対し、日本メーカーの多くは、根本原因の「熱線コイル方式」を改良するのではなく、髪の毛を保護する方法で解決しようとしました。よくない結果を緩和する対応です。最もスタンダードなのは、「イオン」を使った対応です。
しかし Zuvi は、会社の方針として根本対応を目指します。そうしてできたのが、熱線ではなく、「光」を用いて乾かす方法、「LightCare」です。
概要はこうです。熱、電気、光。これらは全て「エネルギー」の状態を指しています。このため、ロスは出ますが、全て変換することができます。そして、ロス少なく遠くへ伝えるのは光が最も効率がいいのです。遠赤外線は、当たるとその部分を発熱させることができます。この波長の光 特有の特徴です。そうでなければ、幾ら太陽の膨大なエネルギー量を持ってしても、太陽光で地球をあんなに温めることなどできません。
「LightCare」は、光を当てて、髪を乾かすのです。考えてみてください。髪を温風で乾かすと、髪の毛も熱くなります。しかし、本当に、そのような状態にすることは必要でしょうか? 必要ではないですね。とにかく表面だけ乾けば良いのです。実際 Zuvi Haloコードレスを使ったときの表面温度は、44℃が最高値。熱々のお風呂という温度です。
「LightCare」は、「光」と「風」の複合技です。「光」は髪に当たると熱に変わり、髪の毛を乾かします。風は髪をハンドリンぎしやすくするためのものです。このため、扇風機と同じで、部屋の空気をそのまま吹き付けます。
今まで見過ごしてきたロスを徹底排除したドライヤーです。このため最大定格電力は、最大で290W。だからこそコードレスというとんでもない仕様を可能にしたわけです。
なぜコード有りを作ったのか?
では、この時代を先取ったコードレスドライヤーの次に、なぜコード有りモデルを作ったのでしょうか?
理由は「風」にあります。コードレスタイプの場合、風速の最大は36m/sec。体感温度だと、室内より5℃以上下がります。お分かりだと思います。お風呂から上がって、洗面所でドライヤーをかける時に、これでは寒くて堪りません。しかし髪のスタイリングには、鏡が欠かせませんので洗面所でやることになります。他の場で良いというわけには行かないのです。
発売後、「冬場 寒い」という意見が寄せられたそうです。そこで彼らが取ったのは、風を寒くない程度に温めるという方法でした。高温を目指さなくても、ヒーターを入れると、電気消費はバカ上がりします。このためコードありにせざるを得なかったという理由で、寒い部屋でも使えるコード有りのZuvi Haloヘアドライヤーの登場となったわけです。
災い転じて…?完成度は高い
製品というものは、ジャンケンのようなもので、後出しは強いものです。風が冷たいから、コードありにしましただけだと、かなり寂しい話になります。
そこで、コードレスより使いやすくするため、モードを増やすことにしました。コードレスは、乾燥速度を最適化した「FASTモード」、頭皮のために熱を抑えた「SOFTモード」、そして冷風の「COOLモード」があります。
コードありはこれに加えて、スタイリングアクセサリーが使える「STYLEモード」と髪の毛の状態により注意を払った「CAREモード」の2つが加わりました。コードレスモデルは、初めての製品であり、乾かすので手一杯という感じでしたが、今回はスタイリングまできちんと対応したという感じです。
コードレスモデルには付いていなかった豊富なアタッチメントが魅力です。
まとめ
速乾で高いヘアケア効果
ヘアカラーの持続効果
680Wの低消費電力
5つの乾燥モード
Zuviは初回のコードレスモデルの時も取り上げさせていただきましたが、それは今後、ドライヤーのような家電でも、どんどん省エネ化して行かなければならないからです。今後の規範になるモデルと考えたからです。
それを可能にしたのは、「髪の毛は熱風で乾かすもの」という思い込みの見直しです。
しかし日本の場合、毎年のように新しいモデルをリリースして行かなければ、店頭から追い出されてしまいます。このため、どうしても場当たり的な対応に走りがちです。Zuviは、そこら辺しっかりしています。
Zuvi製品でまだわかっていないのは品質面です。耐久性のノウハウは地味ですが、中々手に入れることができないものでもあります。しかし、Zuvi製品は、高温にならないので壊れる心配はあまりないのではと予想しています。読者のみなさまにおすすめしたいドライヤーがまた一つ増えました。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング、ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散策とラーメンの食べ歩き。