〈心理学〉アドラー心理学とは 人間の行動は「目的」に起因 困難に立ち向かう自分を勇気づけよう

暮らし・生活・ペット

アドラーはフロイトと共同研究をしていた心理学者です。やがて考え方のちがいからフロイトのもとを離れ、「アドラー心理学(個人心理学)」を考え出しました。ヒトの行動は「原因」でなく「目的」に起因するものだと考える「アドラー心理学」について、書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 心理学』著者で文学博士の齊藤 勇さんに解説していただきました。

解説者のプロフィール

齊藤 勇(さいとう いさむ)

文学博士。立正大学名誉教授、日本ビジネス心理学会会長。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。専門は対人・社会心理学。「それいけ‼ココロジー」(日本テレビ)の監修・コメンテーターを務めるなど、心理学ブームを牽引。『図解 心理分析ができる本』(三笠書房)、『図解雑学 見た目でわかる外見心理学』(ナツメ社)、『イラストレート 心理学入門』(誠信書房)など、著書・監修書多数。

本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 心理学』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

イラスト/桔川シン、堀口順一朗、栗生ゑゐこ

「アドラー心理学」行動するのは、目的のため?

ヒトの行動は「原因」でなく「目的」に起因するものだと考える心理学!

アドラーは、フロイトと共同研究をしていた心理学者です。ですが、やがて考え方のちがいからフロイトのもとを離れ、「アドラー心理学(個人心理学)」を考え出しました。

フロイトは、ヒトの行動には経験や感情などの「原因」があると考えていましたが、アドラーは、ヒトの行動には原因はなく、「目的」を達成するために経験や感情を利用すると考えました。例えば、「他人と関わりたくない」という目的を達成するために、「自分は人見知りな性格だから」などの原因をつくり出すというものです。これを「目的論」といいます。

原因論と目的論

目的論とは、ヒトの行動は、目的を達成するために経験や感情を利用するものだという考え。

フロイトの原因論

アドラーの目的論

私たちは、自分の思いどおりにならないときに「お金がないから」「反対されたせいだ」などと、自分以外のせいにしがちです。
アドラーは、これを「人生の嘘」と批判し、ヒトは自分にとって本当に大切な目的を見つめ直し、その目的を達成するときに生じる困難に立ち向かうため、自分を勇気づけるべきだと説きました。

フロイトは、心をエス・自我・超自我に分けて考えましたが、アドラーは、個人をこれ以上分割できない最小の単位だと考えました。
これが「全体論」です。個人という全体が、目的のために感情や思考を利用していると考えたのです。

本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 心理学』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

全体論の考え方

▼全体論の考え方

アドラーは、個人を分割不可能な最小の単位と考え、心の中で矛盾や対立を引き起こすことはないと考えた。

フロイトが考えた心の構造

アドラーが考えた全体論

アドラーは、ヒトを動かすのは他人より優れたいという「優越欲求」だと考え、フロイトの提唱した「防衛機制」のうち、「補償」を重視しました。
ヒトは幼い頃から優越欲求をもっていますが、周りは自分よりも優れた大人(両親)や年上の子(兄や姉)ばかりなので、劣等感を抱きます。
しかしそこから、「できるようになりたい」という補償のメカニズムがはたらき、劣等感を克服していくことで人格を形成していくのです。

▼アドラーが重視した「補償」

アドラーは、ヒトを動かす原動力を「優越欲求」と考えた。
このため劣等感を抱いても、それを克服しようとする「補償」の心理がはたらき、劣等感を克服していくとした。

兄や姉がいる子は、「優越欲求」が特に強くはたらき、兄や姉に追いつこうと努力する。

アドラーは劣等感をポジティブにとらえましたが、「容姿が劣るから結婚できない」など、劣等感を言い訳にして人生の課題から逃げることは不健全だと考えました。
このように、劣等感に固執することを「劣等コンプレックス」といいます。

▼「劣等コンプレックス」と「優越コンプレックス」

自分自身の劣等感に固執し、自分や他人に言い訳をすることを「劣等コンプレックス」という。
また、劣等感を隠すため、他人に対して自分の優越を誇示することを「優越コンプレックス」という。

劣等コンプレックス
本当は内気な性格が問題なのに、「自分は背が低いから、仲間に入れてもらえない」と思いこむ。

優越コンプレックス
背が低いという劣等感を隠すため、「年収が高い」「学歴が高い」などと自慢する。

また、アドラーは、人間が抱える悩みはほとんどが対人関係であり、その解決には、自分が克服すべき課題と、他人が克服すべき課題とを明確に分離することが大事だと主張しました。
これを「課題の分離」といいます。

▼課題の分離

アドラーは、自分が克服すべき課題と、他人が克服すべき課題とを明確に分離することを重視した。
そして、他人の課題は自分ではどうすることもできないので、気に病む必要はないとした。

◇◇◇◇◇

なお、本稿は書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 心理学』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。心理学に興味をもって、「ちゃんと勉強してみよう」と思っても、専門書には専門用語が多く出てくるので、「むずかしい」と感じる人も多いのではないでしょうか? 本書は、これまで積み重ねられてきた心理学の研究を、知識ゼロでも楽しく読めるように、イラストや図解も豊富に使い、やさしく丁寧に解説しています。

イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 心理学
¥990
2022-04-12 14:09

PR

大切な愛車を守る“最後の砦”!データシステム『カースティールブロッカー』で乗り逃げを阻止する!【盗難防止】[PR]
ひと昔前と比べれば減少傾向にはあるものの、依然として自動車盗難が各地で発生している。ここ数年の盗難被害台数は、1年間で5000台以上! なかでも、プリウス、ランクル、レクサスLX、アルファードなどのトヨタ車に盗難事例が集中している。大切な愛...

PRニュース