ハシビロコウという鳥をご存じでしょうか?もしかしたら、「動かない鳥」として認識しているかたが多いかもしれません。筆者もそうでした。ところが最近、「踊るハシビロコウ」という本を発見。「そりゃあ、たまには動くだろうけど『踊る』は盛り過ぎじゃない?」と思って開いてみたら、踊るどころか……!!その内容の一部をご紹介します。
「踊るハシビロコウ」とは
独特の目つきと大きな口、長い脚、そして「動かない」ことで圧倒的な存在感を示す鳥。それがハシビロコウです。一見、地味に見えますが、実は多くのファンを抱える人気者なのです。
2022年3月13日に放送されたNHKの人気番組「ダーウィンが来た!」では、視聴者から「もう一度見たい」とリクエストされた生き物のベスト10を発表。ハシビロコウは第5位にランクインしました。これまで紹介してきた600種類以上の生き物の中で5位とは、その人気の高さがわかります。
「踊るハシビロコウ」(ライブ・パブリッシング)の著者・写真家の南幅俊輔さんも、ハシビロコウに魅せられた一人。日本国内の動物園を訪れて、取材を続けています。南幅さんはこれまで、ハシビロコウの図鑑ともいえる「ハシビロコウのすべて」や、掛川花鳥園の人気ハシビロコウ・ふたばにスポットを当てた「ふたばPHOTOBOOK」(いずれも廣済堂出版)など、ハシビロコウ本を数多く出版。今回の新著では、華麗で優雅、かつダイナミックなハシビロコウの動きに着目し、その魅力をたくさんの写真で紹介しています。
「動かない鳥」のイメージが一新!
本書はオールカラー80ページ。「動かない鳥」と呼ばれているハシビロコウが、スタスタ歩き、片脚を蹴り上げ、翼を広げ、空を飛ぶ姿が、全ページを埋めています。
ただしこの本は、単なる写真集ではありません。ハシビロコウの基本的な行動から独特な動作まで、あらゆる動きを解説するページや、ハシビロコウの飼育担当者へのインタビュー、ハシビロコウが動きだす前の「サイン」を紹介するコラムなど、「ハシビロコウ・ファンブック」といっても過言ではない、充実した内容です。歩行(6歩目くらいからスピードアップする)や、お辞儀(相手への誇示行為)、スサー(羽や脚を後方へ伸ばす、ヨガっぽいポーズ)など、稀にしか見られないようですが、見てみたい!
ハシビロコウ、顔も動作もみんな違う
2022年現在、日本国内で公開されているハシビロコウは12羽のみ。本書では、国内のハシビロコウ全12羽がいる動物園や施設も紹介されています。
那須どうぶつ王国のカシシは、くるんとした冠羽(かんう・頭頂部から生える長い羽毛)とまん丸の目がとってもキュート。
ハシビロコウ人気を牽引する掛川花鳥園のふたばは、大好きな飼育員さんに甘える姿が有名ですが、食後にくちばしを洗う姿が豪快で見ものです。激しく飛び散る水しぶきは「水芸」とも評されます。
神戸どうぶつ王国のボンゴは、思慮深い目つきが哲学者風ですが、翼を羽ばたきながら、エア縄跳びのように何度もジャンプする「快活なハシビロコウ」。
そう、ハシビロコウって、みんな違うんです!12羽全員に、会いに行きたくなります。
まとめ
「ハシビロコウ=動かない鳥」のイメージが強く、勝手に「飛ばない」と思い込んでいた筆者。本書の巻頭で、大きな翼を広げて空を舞うハシビロコウの写真を見たとき、驚くと同時に、「か、かっこいい……!」と一気に心を奪われました。
まずは、国内最多4羽のハシビロコウを飼育している、上野動物園に行ってみようと思います。「4羽いれば、見ている間に1羽くらい動いてくれるのでは」と期待しています。運がよければ、豊かに茂る草木をバックに雄大な飛翔が見られるかも……!新緑の季節、皆さんも「踊るハシビロコウ」を片手に、動物園巡りをしてみてはいかがでしょうか。
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