美肌の大敵である紫外線。紫外線によって受けたダメージは、シミやシワ、くすみとなって現れてしまいます。用途別おすすめの日焼け止め、日焼け後の対処法について、書籍『美肌をかなえる はーたん流 美容の正解』著者のはーたんさんに解説していただきました。
解説者のプロフィール
はーたん
化粧品会社でマーケティング職に携わったあと、大学院でマーケティングを学び、メイクを提案するパーソナルカラーサロン「le bois」をオープン。丁寧で明快な解説がわかりやすいと評判で、Twitterやnoteのフォロワーは累計20万人以上!
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本稿は『美肌をかなえる はーたん流 美容の正解』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
イラスト/久保田ミホ
日焼け止めは塗る量がポイント
毎日、クレンジングや洗顔で皮脂をちゃんと落とす、自分の肌に合った保湿をする。この2つと並んで大事にしているのが、紫外線対策です。
肌にとって紫外線は大敵。紫外線によって受けたダメージは、シミやシワ、くすみとなって現れてしまいます。
基本的に紫外線対策は、日中家にいるとき以外は必ずしています。
たとえ自宅のベランダだとしても一歩でも外に出ることがあれば、何かしら塗ります。
もちろん、日焼け止めを塗ること自体、多少なりとも肌の負担にはなりますが、日焼けによる肌への負担と天秤にかけると、日焼け止めを塗らないで紫外線を浴びることのほうが心配です。
塗るのは、日焼け止めでも、UVカット効果のある下地やファンデーションでも、日焼け止め効果があればなんでも構いません。
日焼け止めを塗るときにいちばん大事なのは、量をたっぷりと塗ること。
日焼け止めは、だいたい500円玉大くらいの量を顔全体にたっぷりと伸ばした状態で測定試験がされます。
塗る量が少ないと、たとえSPF30の日焼け止めだったとしても、SPF5くらいの効果しかないのです。
ベタつきや肌負担を気にして、塗る量が少ない人が多いようなので要注意!
日焼け止めの効果を最大限発揮させるには、可能な限り厚く塗ること。
たくさん塗ると肌がベタっとした状態になると思いますが、それくらいでちょうどいい。
メイクをする場合は日焼け止めや日焼け止め効果のある下地を塗って、しばらく時間を置いてからファンデーションを塗るようにしましょう。
紫外線は1年中降り注いでいますが、特に強い時期とされている5〜9月はよりしっかりと対策をする必要があります。
日焼け止めだけでなく、日傘や帽子を活用するのもいいでしょう。
化粧品でのUVケアに加えて、1年中日傘を持ち歩いて物理的に紫外線を遮断するとより理想的です。
本稿は『美肌をかなえる はーたん流 美容の正解』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
日焼け止めのSPFとは? PAとは?
SPFとは、肌に赤みや炎症を起こさせ、黒化につながり、場合によっては皮膚がんなどの原因にもなるUVB(紫外線B)波を防ぐ効果指数のことです。
何も塗らない場合に比べて、UVB波による炎症をどれくらい長い時間防止できるかを表します。
日本では最大50+までの値となっており、数値が高いほうが防御効果が高いとされています。
SPF1=20分紫外線を防ぐ効果があるという意味なので、たとえばSPF30の日焼け止めなら、10時間紫外線を防ぐ効果があります。
PAとは、一般的な黒化を引き起こし、長時間かけて肌の弾力を失わせ、光老化の原因になるUVA(紫外線A)波を防ぐ効果を表す目安です。
PA+〜PA++++までの4段階で表示され、より+が多いほうが防御効果が高いとされています。
PA+なら、日焼け止めを塗らない場合と比べて、2〜4倍黒化を遅らせることができ、PA++++なら、16倍以上となります。
日常生活なら「SPF15あれば十分だ」、「SPF30が適切だ」など、人によって意見が異なりますが、私は肌が耐えうる限り、高SPF、高PA値の日焼け止めを使用することを推奨します。
肌が弱い場合はこの限りではありませんが、塗った日焼け止めは汗や皮脂で時間とともに落ちていきますし、手や服に触れたり、擦れたりすることでどんどん薄くなってしまうからです。
500円玉大くらいの量を顔にたっぷり伸ばした状態で
▼20分
UVBによる日焼けを防ぐ効果がある。
▼2〜4倍
UVAを防ぎ黒化を遅らせる。+が多いほうが効果が高く、PA++++が最高。
出典:日本化粧品工業連合会 紫外線編
本稿は『美肌をかなえる はーたん流 美容の正解』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
日焼け止めの使い分け方
日焼け止めは、顔と体、場所によって使い分けるのがおすすめです。
顔に使うのは、乳液タイプかクリームタイプ。
乳液タイプをさらに細分化すると、乳化タイプと二層式タイプがあり、乳化タイプは水と油性成分があらかじめ混ざった状態で乳液のようなテクスチャー。
みずみずしい使用感で肌なじみがよく、後に重ねるアイテムの邪魔をしません。
二層式タイプは、容器に攪拌ボールが入っていて、少量の水と油性成分をその場で混ぜ合わせるタイプ。
二層式タイプは油性成分を多く含むので、撥水性が高く汗や皮脂に強いのが特長です。
クリームタイプは、水と油性成分が乳化されており白く濁っていますが、乳液タイプよりも硬さがあってリッチなテクスチャーです。
どちらも水に強く落ちにくいので、もちがいい。ですが、その分オイルクレンジングでしっかり落とすことが大切です。
レジャー活動などで長時間炎天下にいる際は、SPF50+/PA++++の日焼け止めに、化粧下地とパウダリーファンデーションを重ね、徹底的にUVケアします。
日焼け止め単体での使用だと、被覆力が弱いため、日焼け止めの上に必ずパウダーを重ねる必要があります。
首から下は毎回クレンジングするのが面倒なので、ボディソープで落ちるジェルタイプの日焼け止めを使っています。
薄く伸ばすのでは日焼け止めとしての効果は限りなく低くなってしまい、ほとんど効果を発揮できないこともありますので、必ず厚塗りすることを心がけてください。
ただし、長時間炎天下にいるなら体も顔と同じ二層式タイプの日焼け止めに。帽子や日傘、長袖の服を併用するのも◎。
落とす際は、ボディソープでは残ってしまうので、体にもクレンジングを使いましょう。
また「日焼け止めは数時間おきに塗り直したほうがいい?」とよく聞かれますが、何度も塗り直すのは面倒だし、化粧もしているのでなかなか難しいですよね。
代わりに、朝たっぷりと日焼け止めを塗っておきましょう。顔の場合、UVカット効果のないものでもいいので、フェイスパウダーやファンデーションを塗り直すことも日焼け防止に有効です。
本稿は『美肌をかなえる はーたん流 美容の正解』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
紫外線吸収剤、紫外線散乱剤のメリット、デメリット
日焼け止めは、紫外線を吸収し熱エネルギーに変換する「紫外線吸収剤」と、金属の光を反射する性質を利用した「紫外線散乱剤」の2種。
紫外線吸収剤のメリット・デメリット
▼メリット
▼紫外線吸収剤自体が透明度の高い液状の物質なので、服が汚れない
▼伸びがよくべたつかないので、ムラなく日焼けを防ぐことができる
▼乾燥を感じにくい
▼処方によっては洗顔料だけで落とせる
▼白浮きせず、自然に仕上がる
▼デメリット
▼化学反応を利用しているため、時間の経過とともに、その反応が弱くなり、紫外線防止効果が弱まる
▼人によってはアレルギーや皮膚刺激を感じる
▼目に入るとしみる
紫外線散乱剤のメリット・デメリット
▼メリット
▼紫外線散乱剤は白い金属の粉体。それ自体に汗や皮脂を吸着する性質があり、持続性が高い
▼金属の光の反射を利用しているので時間の経過で効果が弱まりづらい
▼ウォータープルーフ性能の高いものが多い
▼デメリット
▼白い粉体なので、服が汚れることがある。肌も白く粉っぽくなる
▼ねっとりとしたテクスチャーで伸びが悪い
▼汗や皮脂を吸着する性質があるので、人によっては乾燥する
▼油性感の強い処方でしかつくれず、クレンジングで落としにくい
基本的には、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の両方を使い、それぞれのメリットを活かす処方がされた日焼け止めが多いです。
日焼け止めで目が痛くなる、皮膚の刺激を感じる方は、紫外線散乱剤のみのノンケミカルタイプの日焼け止めがおすすめ。
顔色をトーンアップしたい、皮脂崩れを防ぎたい、毛穴をカバーしたい方にもいいです。
石鹸や洗顔料などで手軽に落としたい方や、紫外線散乱剤によって乾燥しやすい方は、紫外線吸収剤だけを使った日焼け止めが向いています。
本稿は『美肌をかなえる はーたん流 美容の正解』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
用途別、おすすめの日焼け止め
用途別におすすめの日焼け止めを紹介します。
体用
国内最高レベルのSPF50+/PA++++ながら、水のようなつけ心地で、スキンケア感覚で気持ちよく使えます。
汗・水に強いスーパーウォータープルーフ。石鹸で落とせます。
スキンアクア スーパーモイスチャーエッセンス SPF50+・PA++++¥704/ロート製薬
炎天下にいる日用
海や山などにレジャーに出かけるとき+日常でも使いやすい日焼け止め乳液。
被覆力が高く紫外線を遮断する効果が長続きします。
アネッサ パーフェクトUV スキンケアミルク N SPF50+・PA++++¥3,300(編集部調べ)/資生堂
顔用
▼紫外線散乱剤のみを使用した日焼け止め
SPF38 PA+++と十分な数値があることに加えて、紫外線散乱剤のみを使用した処方のため若干白くなる性質から、顔や首やデコルテがトーンアップされてより肌が白く明るく見えるのが魅力。
ウォータープルーフで崩れにくさも◎。
コネクティング ベース SPF38・PA+++¥4,400/カバーマーク
▼紫外線吸収剤をメインに使用した日焼け止め
紫外線吸収剤をメインに使用したみずみずしい日焼け止め。
乳液のようになめらかに伸び広がり、いい意味で塗った感がないので後に重ねるファンデーションの仕上がりを邪魔しません。
サンシェルター マルチ プロテクション SPF50+・PA++++ ¥3,300/コスメデコルテ
本稿は『美肌をかなえる はーたん流 美容の正解』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。
うっかり日焼けをした後の対処法
うっかり日焼けをしてしまった際は、ビタミンC誘導体の入った化粧水を大量に塗りたくりましょう。
化粧水で水浸しにすると肌がふやけてバリア機能が低下するため、普段はあまりおすすめしませんが、こういう場合は例外。
化粧水が蒸発する際の気化熱で肌表面の温度を下げる効果があるためです。
コットンに化粧水を浸すローションパックだと、効率よく肌を水浸しにすることができます。
どうしても面倒という方は、普段より量を多く使うだけでもOK。
ビタミンC誘導体はすでに黒くなったメラニンを淡く戻す成分。
他の美白成分に比べて即効性があると言われているので、日焼けのアフターケアには最適。
美白効果以外にも皮脂分泌を抑えたり、皮脂の酸化を防いだり、コラーゲンの生成を促進する効果があるので、使って損なし。
ビタミンC誘導体と一緒に、抗炎症成分のトラネキサム酸を併用するのもよりおすすめです。
日焼けしてから3日程度は特に念入りにケアしてくださいね。
おすすめのアフターケアコスメ
▼顔用
ビタミンC誘導体を配合し、日焼け後の疲れたお肌にもやさしい低刺激な使用感です。
たっぷり入っているのでローションパックをするのも◎。
エクサージュホワイト ホワイトアップ ローション II【医薬部外品】 ¥5,500/アルビオン
▼顔・体用
浸透が早いビタミンC誘導体を配合しており、日焼け後のケアに最適。
プチプラなので全身にたっぷり惜しみなく使ってお肌を労ってみて。
メラノC C 薬用しみ対策 美白化粧水 しっとりタイプ【医薬部外品】 ¥990/ロート製薬
▼顔用
トラネキサム酸、グリチルリチン酸2Kを配合。日焼け後の炎症を素早く鎮め、ビタミンC誘導体などの整肌保湿成分が肌を整えます。
お安いのでローションパックとしての使用もおすすめ。
肌ラボ 白潤プレミアム 薬用浸透美白化粧水【医薬部外品】 ¥990/ロート製薬
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なお、本稿は書籍『美肌をかなえる はーたん流 美容の正解』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。Twitterフォロワー13万人の著者が、自身の経験を活かしたスキンケアやメイクの知識、効果を実感した使い方、悩みに応じたアイテムを「正しい知識でラクして結果を出す」コツとともに紹介しています。自分の魅力をより引き出すパーソナルカラーについても解説しています。