筆記時の感触については、滑らかなものから書きごたえのあるものまで様々。また、吸湿性は、にじみや速乾性に直結しますが、発色のよさとは反比例する傾向があります。加えてペン先やインクとの相性もあるので、最初はいろいろなものを試して比べてみましょう。ここではノートを中心に紹介しまずが、便箋にも万年筆に対応しているものが多くあります。
万年筆・ガラスペンに合った紙
専用に作られた紙から好みの質感のものを探そう
万年筆やガラスペンで使う紙は、基本的に、それら向けに作られた製品を選びましょう。繊維の隙間が小さく、にじみ防止剤が添加されている万年筆用の紙なら、にじみ過ぎたり、紙の裏までインクが染みたりするようなトラブルを回避できます。そのうえで、筆記時の感触やインクの発色など、自分の好みに合う紙を探すことが、万年筆を使う楽しみでもあります。好きになれる紙との出会いに期待しましょう。
まずは筆記時の感触については、滑らかなものから書きごたえのあるものまで様々です。また、吸湿性は、にじみや速乾性に直結しますが、発色のよさとは反比例する傾向があります。これに加えてペン先やインクとの相性もあるので、最初はいろいろなものを試して比べてみましょう。なお、ここではノートを中心に紹介していますが、便箋にも万年筆に対応しているものが多くあります。
▶表面の違いによる特性
ツルツル
すべるように滑らかな書き心地で、引っかかり感は少ない
ザラザラ
書きごたえのあるスクラッチ感があるが、引っかかりやすい
▶吸湿性の違いによる特性
高い
速乾性があって、素早く次のページへ進むことができる反面、インクの発色がやや劣る傾向がある
低い
発色がよくインク映えするが、乾くのが遅いため、書いてからすぐにページをめくると、色移りすることがある
ツバメノート
大学ノート
●価格:198〜770円
学生が万年筆を使うことが当たり前だった時代から広く愛用されており、入手しやすくオールマイティなノート。裏抜けしにくいフールス紙と、昭和レトロな表紙のデザインも魅力。
SAKAE テクニカルペーパー
トモエリバーFP
●価格:550〜3080円
薄くて軽い手帳用の紙をベースに巴川製紙所と共同開発した。裏抜けしにくく、にじまず、かすれない紙を使ったノートおよびバラ紙。発色がよく、乾きが遅め。
満寿屋(ますや)
MONOKAKI
●価格:660〜1540円
プロの作家が使う満寿屋の万年筆用の原稿用紙と同じ「クリーム紙」を使ったノート。筆記感は滑らかながら書きごたえがあり、インクはにじみにくく、裏抜けもしにくい。
クオバディス
ロディアWebnotebook
●価格:1300〜4070円
1934年にフランスで生まれた現場主義の方眼メモをベースに、携行性のあるカバーを採用したノート。目に優しいアイボリーペーパーは厚みがあって透けず、書き心地は滑らか。
大和出版印刷
神戸派計画 recto
●価格:330〜660円
一般的な方眼のサイズは5mmだが、それ以外のサイズを試してみたい人のためのノート。ノートのサイズによっては1mmから8mmまで提供。マス目を利用して行間の統一も可能。
日本ノート
アピカ・プレミアムCDノート
●価格:825〜1760円
さらりと書ける滑らかな書き心地の「シルク」と、落ち着きのある色と書き心地の「クリーム」の2種の用紙があり、サイズやページ数、罫線などのバリエーションも豊富。
ライフ
NOBLE NOTE
●価格:220〜1650円
添加剤を減らして、紙本来の風合いを生かしたオリジナルの用紙を採用したノート。にじみや裏抜けが少なく、紙そのものに縞のあるレイド紙なので、独特の書き心地も楽しめる。
マルマン
ニーモシネ
●価格:176〜2090円
ほどよい厚みのある用紙の表面は滑らかで、裏抜けが起こりにくく、書き味もいい。ミシン目があるので、メモをそれぞれ切り離すのも簡単。表紙は硬い素材のため持ち運びも便利で安心。
万年筆に向かない紙とは?
水性インクとの相性が悪くて「にじみ」や「裏抜け」(紙の裏までインクが染み出ること)が生じるものは万年筆には向きません。とはいえ、好みもあるので程度問題です。例えば「モレスキン」の手帳は向いていないという人が多いのですが、一方で推薦する人もいるのです。また、万年筆用の紙でも滑りやすいペン先と滑りやすい紙、あるいは書きごたえのあるペン先とスクラッチ感の強い紙といった、同系統の組み合わせはおすすめしません。
◆監修者:高畑正幸
※価格は記事作成当時のものです。
※この記事は『「手書き」をとことん楽しむ万年筆・ガラスペン入門 』(マキノ出版)に掲載されています。