【レコードプレーヤーのおすすめ】こだわりたい音楽ファン注目!5~10万円台の人気モデルで聴いてみよう

レビュー

ちょっとこだわりたい音楽ファン向けに、5万〜10万円クラスを取り上げよう。今回はティアック「TN-400BT-SE」とテクニクス「SL-1500C」をセレクトした。どちらもレコード再生のクオリティにこだわった実力派モデルだ、カートリッジ交換ができるので、一歩踏み込んだ世界が楽しめる。

本稿は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

[別記事:【レコードプレーヤーのセッティングと操作】林正儀がおすすめする「アナログ」の楽しみ方→]
[別記事:【レコード盤の扱い方】プレーヤーにセットするだけではない!再生前の作法・正しい保管方法→]

ティアック「TN-400BT-SE」

実売価格例:5万9800円

▶︎ベルトドライブ
▶︎カートリッジ:VM型付属
▶︎回転数:33⅓・45・78
▶︎フォノイコ内蔵
●幅420mm×高さ117mm×奥行き356mm
●4.9kg

スタイリッシュな木目仕上げが美しいベルトドライブ方式
薄型でウォルナットの突板仕上げが美しい、3スピード対応のベルトドライブ式だ。プラッターは精密なアルミダイキャスト製。オーディオテクニカ製VMカートリッジ付きのS字アームはシェル交換ができ、フォノイコライザーも内蔵。ブルートゥース再生にも対応する。

3スピード対応、BT内蔵など機能充実のティアック

ここでは、ちょっとこだわりたい音楽ファン向けに、5万〜10万円クラスを取り上げよう。ティアックとテクニクスからセレクトした。

まず、ティアックTN-400BT-SEは、同社のベルトドライブ方式の中核モデルだ。ライフスタイルにマッチする、上質感のある天然木目仕上げ。その本体はスリム&スタイリッシュで、プラッターはアルミダイキャスト製の本格派である。

ブルートゥース(BT)を内蔵し、対応スピーカーでレコードの再生ができる。

33⅓、45、78回転の3スピード対応で、S字型のトーンアームにはオーディオテクニカのVM型カートリッジAT95Eを標準装備。好みのカートリッジに交換できるのもうれしい。

フォノイコライザー搭載で、音の要となるオペアンプには、新日本無線社製の高級タイプを奮発した。その効果は、質感とバランスのいいサウンドに現れている。

テクニクス「SL-1500C」

実売価格例:11万円

▶︎ダイレクトドライブ
▶︎カートリッジ:MM型付属
▶︎回転数:33⅓・45・78
▶︎フォノイコ内蔵
●幅453mm×高さ169mm×奥行き372mm
●9.9kg

高精度なモーター制御で安定感のある回転を実現したDD方式
ハイファイグレードのベストセラーDD方式プレーヤーだ。高精度なモーター制御で安定した回転を実現。カートリッジはオルトフォンの2M Redが付き、MM対応のフォノイコライザーも内蔵する。機能面はシンプルだが、内周部でアームを上げるオートリフトアップは重宝する。

音質への細かなこだわりが見られるテクニクス

一方、テクニクスといえば、ダイレクトドライブ方式だ。SL-1500Cは上位機譲りのコアレス・ダイレクトドライブ・モーターを採用。0.7秒で立ち上がるスピーディな動作で、安定した回転を得ている。DJモデルとは違い、ストロボやピッチコントロールなどを省いたシンプルなルックスはアナログリスナー向き。

基本操作はシンプルで、スイッチの配置もよく考えられている。プラッター、筐体とも2層構造というこだわりを見せるほか、ストロボやピッチコントロールを省いたのは、音質的なメリットからだという。

快適なのが、オートリフトアップ機能。これは、アームが内周まで行ったら光で検出し、マイコンに伝えてアームを上げる方式。以前のメカニカル制御に比べて、圧倒的に音質への影響が少ない。

カートリッジはオルトフォンの2M Redが付属し、フォノイコライザーもしっかりと装備。フォノイコ内蔵や、ユニバーサルのS字型トーンアーム採用でカートリッジの付け替えを楽しめるのはティアック機も同じだが、さすがに10万円クラスともなると、フォノイコが別電源だったり、出力端子もラインとフォノを独立させたりしている。

サウンドはS/Nが優秀で、みずみずしい鮮度感はさすがだ。

各モデルのインプレッション

▶︎今回聴いた3枚はこれ!

写真左から
●『モーツァルト ピアノ協奏曲第20番・第21番』/フリードリヒ・グルダ(ピアノ)、クラウディオ・アバド(指揮)、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
●『FOR YOU』/山下達郎
●『Come Away with Me -20th anniversary super deluxe edition』/ノラ・ジョーンズ

本格的なクラシックを含む、音質重視で選んだ。グルダのモーツァルトピアノ協奏曲のオケは、ウイーン・フィルだ。シティポップでは、山下達郎の「FOR YOU」を聴く。1982年のリリースだ。ノラ・ジョーンズは、デビュー20周年の最新リマスターで、圧倒的な音のよさに驚かされる。

ティアック
「TN-400BT-SE」

カートリッジ交換のできるユニバーサル型ヘッドシェルや、アンチスケート機能付きS字トーンアームがこだわりのポイント。

スリムなボディに、背面端子がすっきりと配置。RCA端子のライン出力とフォノ出力は切り替え式だ。メインの電源スイッチもある。

『FOR YOU』
軽快でポップなサウンド。高域がややソフトだが、シャキシャキせず、全体のバランスもいい。ギターのリズムもスムーズだ。ボーカルは音域が豊かで、さわやかなコーラスが広がった。

『Come Away with Me』
全体に落ち着きのあるしっとり調。高域が抑えめだが、ノラのスモーキーな声がざらつかず、耳触りよく聴こえて癒される。ピアノはナチュラな質感で、ボーカルとよく調和する。

『モーツァルト ピアノ協奏曲第20番・第21番』
クラシックに向く、柔らかなタッチが音の特徴。ピアノの輪郭をあまり強調せず、管弦楽とのバランスがいい。中〜低音域にかけて響きを出し、空間音場的な雰囲気も上々だ。

テクニクス
「SL-1500C」

オルトフォンのMMカートリッジ、2M Redが標準で装備。DJ仕様ではなく、オーディオ向けということで、ボタン周りはシンプルだ。

ライン出力とフォノ出力を独立して備えるほか、フォノ出力時に内蔵フォノイコの機能をオフにできるのは、音質的にも好ましい。

『FOR YOU』
2M Redらしい、明るくエネルギッシュなサウンドを引き出している。ボーカルに張りがあって抑揚があり、気持ちいいほど伸びやかだ。コーラスとバンドが力強く融合した。

『Come Away with Me』
リマスター盤が鮮度アップして見通しが向上。ノラの声がさらにニュアンス豊かで抑揚感に富み、ヒューマンな印象だ。音域が立体的に広がり、ピアノの実在感もアップした。

『モーツァルト ピアノ協奏曲第20番・第21番』
静寂の中から鮮明に立ち上がるピアノ。緻密さや音色表現が本格的だ。グルダの演奏と音の特徴が、はっきり聴き取れて感動する。遠近感豊かな管弦楽のステージ表現も魅力的だ。

試聴のまとめ

どちらもクオリティにこだわった実力派だ

どちらもレコード再生のクオリティにこだわった実力派モデルだ。カートリッジ交換ができるのも共通で、試しにテクニクス機を手持ちの上級品に付け替えたところ、明らかに音が変わり、キメ細やかさとキレのよさ、情報量たっぷりな音場の広がりなど、付属カートリッジよりも一歩踏み込んだ世界が楽しめた。音にこだわる音楽ファンにピッタリだ。

■解説/林正儀(AV評論家)

※情報は記事作成時のものです。
※この記事は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)に掲載されています。

スポンサーリンク
レビュー家電・AV
シェアする
特選街web編集部

1979年に創刊された老舗商品情報誌「特選街」(マキノ出版)を起源とし、のちにウェブマガジン「特選街web」として生活に役立つ商品情報を発信。2023年6月よりブティック社が運営を引き継ぎ、同年7月に新編集部でリスタート。

特選街web編集部をフォローする
特選街web

PR

【ドライブ中に純正ナビでテレビ視聴!】データシステム・テレビキットシリーズから最新車種対応のカー用品『TTV443』が登場!
長時間のドライブで同乗者に快適な時間を過ごしてもらうには、車内でテレビや動画を視聴できるエンタメ機能が欠かせない。しかし、純正のカーナビは、走行中にテレビの視聴やナビ操作ができないように機能制限がかけられているのがデフォルト……。そんな純正...

PRガジェット