冬場はどうしても乾燥しますよね。しかし、インフルエンザなどの感染防止などの観点からも加湿はとても重要だそうです。それ以上に我が家の場合、加湿しないと2歳の息子に肌荒れが発生します。リビングや彼の寝室の加湿も1台でカバーできて、しかも低価格な加湿器がないかと探したところみつけたのがドウシシャの「スチーム加湿器 mistone600S(以下「KSX-603」)です。実勢価格は1万円以下、スチーム式でプレハブ洋室17畳まで対応、最大加湿量は600ml/hと筆者の要望をほぼかなえてくれるスペックだったので、早速実際に使ってみました。
執筆者のプロフィール
齋藤千歳(さいとう・ちとせ)
元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在はキャンピングカーを「方丈号」と名付け、約9平方メートルの仕事部屋として、車内で撮影や執筆・レビューなどを行っている。
加湿器「KSX-603」に求めた3つのポイント
筆者が加湿を導入するにあたって、重視したポイントは下記の3つです。
1.20畳近いリビング+αを1台で加湿できること
2.1万円以下の価格で導入できること
3.スチーム式で水を入れるのが簡単なこと
この3点を最重視して「KSX-603」を選択しました。
1.20畳近いリビング+αを1台で加湿できること
加湿器を選択する際に、最初にみるべきポイントは、加湿可能な広さでしょう。ほとんどの加湿器には適応畳数などが明記されています。プレハブ洋室で○畳、木造和室で○畳といった表記が一般的です。和室は壁やタタミが湿気を吸うため、洋室に比べて大きな加湿力が必要になるといいます。
そして、筆者が加湿したいのは、約15畳のリビング&キッチン、そして時間帯によっては、これにつながる息子の寝室6畳の和室です。我が家は北海道の比較的気密性の高い住宅なので20畳前後用であれば問題ないと考えました。
今回選択した「KSX-603」はプレハブ洋室で17畳、木造和室で10畳にまで対応します。6畳の和室までプラスするとやや能力不足ですが、15畳のリビングは確実に加湿できると思われます。
2.1万円以下の価格で導入できること
問題は筆者のズボラな性格にあるのですが、我が家では加湿器が長持ちしたことがありません。きちんと手入れやメンテナンスをしないから、カルキなどの汚れがこびりつくなどでより寿命が短くなってしまうのでしょう。
どうも家庭内にあるほかの家電製品に比べても、筆者のなかで加湿器は長持ちしない印象なのです。もって数シーズンといった印象でしょうか。また、我が家の場合、冬しか使いませんので1年のうち半分以上は使わない家電製品であることも考慮すると実勢価格で1万円までと考えていたわけです。
「KSX-603」の2023年1月時点の実勢価格は約9,000円と筆者の希望する1万円をなんとか下回っていたことも重要なポイントでした。
3.スチーム式で水を入れるのが簡単なこと
これを言うと「一体どこまで面倒くさがりなのだ?」と思われそうですが、筆者は加湿器に水を入れるのが面倒で使わなくなったことが何度かあります。実際のところ、15畳クラスの加湿器だと8時間も動かすと3L前後のタンクだとしても1日2回程度水を入れる必要があるのです。
タンクや加湿器自体の構造にもよるのですが、タンクのフタがうまく締まらず漏れたり、タンクの取り付けの際に加湿器の周りに水がこぼれて、床を拭くことになったりと意外と面倒なものが多くないでしょうか? そのため、筆者は水をいれるのが嫌になって加湿器を使わなくなったことが過去に何度かあるのです。
さらに、これは先輩ママさんに指摘されたのですが「加湿器はメンテナンスしないと雑菌が繁殖するので注意」だそうです。電気代が安いので、筆者も実際に使っていた超音波タイプの加湿器はキチンとメンテナンスをしないと雑菌が繁殖することもあるのだといいます。特に小さな子どものいる家では要注意でしょう。
そのため、電気代は高いですが、雑菌の繁殖心配が少なく、メンテナンスも簡単、吸水も簡単なスチーム式加湿器が各種売上ランキングなどをみていても最近の流行のようです。筆者も、この流れに乗って、ポットのように上部が開いて、給水も簡単、水垢などのメンテナンスにはクエン酸の入れての「洗浄モード」も搭載しているスチーム式の「KSX-603」を選択しました。
続いて、15畳以上のリビングが1台で加湿できて、1万円以下、給水もお手入れも簡単だという「KSX-603」を実際に使ってみた感想を加湿力、音、使い勝手、電気代などを中心に紹介していきます。
「KSX-603」の加湿力と電気代について検証
冬場、筆者の家のリビングはだいだい湿度40%程度になります。すると、息子の肌荒れなどがはじまるので、これを湿度60%前後に保ちたいわけです。広さはリビング+キッチンで15畳ちょっとあります。寝るときは、これにつながる息子の寝室6畳間で加湿できると最高なのですが、まずはリビングの加湿を行ってみました。
15畳のリビングを加湿するには十分以上の能力
写真のように上部のフタを回して外すと、いわゆる電気ポットのように大きく口が開くので「KSX-603」に水を入れるのはとても簡単です。本体サイズは直径約23cmで高さが35cm程度、まさに大きめの電気ポットといったサイズ。重さは約2.6kg、取り回しに不自由するほどの大きさ、重さではありません。タンク容量は約3.0Lです。
スペック表によると1時間当たりの加湿性能はもっとも強力な強で600ml/h、プレハブ洋室なら17畳まで加湿可能なので、水を入れたら強で駆動を開始。
ある意味構造もほとんど電気ポットなので当然かもしれませんが、駆動音としてはお湯の沸く音がします。筆者は何度か、台所においてあるT-falの電気ポットを消し忘れたかと思ったほどのなので、そんな駆動音です。あまり気になることはないでしょう。ファンが回転する音などは発生しません。
15畳のリビングの湿度が40度から60度程度になるのに掛かった時間は筆者の家では1時間半から2時間程度でした。ドアの開け閉めや途中でお茶を入れたり、調理をしたりといった要因で、そのときに差異が発生します。
筆者としては満足できる結果です。また、寝るときに寝室にしている和室の6畳もプラスして加湿するのは、リビングが十分に加湿されている状態からドアを開けると、特に問題なく加湿されます。
電気代は恐れていたよりは安いが気にならないほどでもない
スチーム式の加湿器の最大の弱点だと思われるのが電気代です。事実上、大きな電気ポットをずっと沸騰させて加湿しているようなものなので、電気代がかなり掛かるという情報もネットなどで多く見かけます。「暖房費だけでなく、加湿分も燃料電気代がアップか」とかなりナーバスな気持ちになっていました。
しかも「KSX-603」を強で駆動させて加湿する際の電気消費量を計測して1kWh当たり27円で計算すると1日当たりの電気代が約300円、31円で計算すると約350円、1カ月30日計算だと、それでなくても高い冬の電気代が9,000円から10,500円も高くなるという計算。この計算を行った瞬間「使うのをやめよう!」と思ったほどです。
しかし、実際に使ってみて数日間の消費電力を計測してみると130〜150円程度という感じです。これは湿度40%の部屋を60%にしたいと考えれば「KSX-603」の強運転を2時間程度連続して行う必要がありますが、ある程度湿度が上がってしまえば中や弱での運転で問題ないこと。また「KSX-603」のタンク容量が3.0Lしかないので、寝ているときなど水がなくなって運転が停止している時間や湿度が十分なら止めている時間などがあるので、4日間ほどの我が家の平均値を見ていると高くて1日150円程度、月間で4,500円前後といった結果になりました。
気にならないと言えばウソですが、息子が肌の乾燥で皮膚をかきむしることなどがなくなることを考えると、使わないという選択肢はないといえるでしょう。
湿度が10%上がると体感温度が1度上がる?
加湿器導入の最大の目的である「息子の乾燥肌を改善」は問題なく達成されたのですが、実は筆者がいちばん驚いたのは加湿すると暖かくなることです。筆者の家は従来の湿度40%程度では23度位まで暖房を効かせないと「暖かい」とまでは感じませんでした。しかし、加湿して湿度が60%程度あると室温は20度で十分に「暖かい」のです。
気になって調べてみると、湿度が上がると体感温度が上がるという記述は多くあり、ものによっては湿度が10%上がると体感温度が1度上がったように感じるといった話もありました。何%で何度というのは体感温度なのでなかなか難しいですが、考えてみると夏場はエアコンのドライ運転を行うだけで、明らかに涼しく感じることを考えるとある意味当然なのかもしれません。
「KSX-603」を使うと月に4,000程度電気代はアップしますが、部屋の暖房温度は-3度ほど低く設定できるともいえるわけです。これは筆者がまったく想定していなかったメリットといえます。
まとめ
湿度自動調整や水量計などもほしいが、筆者は大満足!
「KSX-603」の操作ボタンや機能はかなりシンプルです。実際に使っていると「この機能もあればいいのに!」と思う点があります。例えば、周りの湿度や温度をセンサーなどで感知して、自動的に運転をコントロールしてくれる機能。さらに「KSX-603」はタンク内水量の表示計がないので、タンクの水がなくなり、突然加湿が終了することもあります。そこで「自動運転」や「水量計」などもあればいいのにと思うこともあるでしょう。より高価なほかの加湿器には搭載されていることも多いのです。
しかしながら「その機能にあと追加でいくら払えるか?」と聞かれると筆者は実勢価格1万円以下で購入できる「KSX-603」は、このシンプルさで十分と感じました。
また、もっとも心配していた電気代は、実際に我が家で使った結果を計測した限り1日150円程度でした。さらに本格的な冬の期間は1カ月3万円を超える暖房費が掛かる我が家では、加湿することで快適に感じる室内温度が2〜3度ほど低くできるなら、実質の電気代はさらに安いといえるでしょう。
しっかり加湿してやると息子はもちろん、大人も肌や喉の調子が明らかによくなるので「KSX-603」を使用した結果に筆者は大満足です。