【SDGs】業界初リサイクル材95%使用の驚異! パナソニック『紙パック式コードレススティック掃除機MC-PB60J』使用レポート

レビュー

パナソニックは、『紙パック式コードレススティック掃除機 MC-PB60』を発売。この掃除機の画期性は業界初、本体にリサイクル材を95%使用したこと。この新製品には込められた意味、掃除機市場を取り巻く状況とともに、使用感をレポートします。

日本掃除機シーン解説:支持が絶えない紙パック式

コードレススティック(型)掃除機が発売されて以降、掃除機市場は、それまであったキャニスター型を加え、百花繚乱。しかもスティック型は、毎年のようにレベルアップ。ただ近年はバッテリーの進化もスローペースになってきました。

 

キャニスター型ですが、年々出荷台数は減っています。が、面白いことに減っているのはサイクロン式であり、紙パック式は横這い。最終的な支持は紙パックに集まっています。

 

サイクロン式の特徴は吸引力が持続、いつでも使い始めた時の様に勢いよくゴミを吸い込んでくれることにあり、ユーザーから支持を得ました。

しかし紙パックの方も、パックを多層化し使える面積を増やし、吸引力の低下を最小限に抑える様改良された上、紙パックが満杯に近くなっても気流の抜け道を作ってやることにより、吸引力が下がる欠点に対応しました。つまり方式による吸引力差はほぼなくなりました。今の差はヘッドのサイズ、密閉度、モーター、ファンの性能による差です。

こうなると、サイクロン式はダストボックスの掃除が面倒臭い。ゴミを捨てるときに周りに飛び散ることがあるなどの問題がクローズアップされてきます。

 

一方、紙パックは、1年間分=1,000円というお金はかかりますが、ダストボックスの掃除から解放される上、取り除きたい肉眼で見えないアレルギー性物質、花粉、ハウスダストを確実に掃除機からゴミ箱に入れられるという利点を持ちます。

加えていうと、紙パックはマスクと同じ不織布でできています。コロナ禍、マスクは花粉より小さいウィルス飛まつをトラップできるように改良されました。マスクと同じ三層構造の紙パックも性能は向上したわけです。紙パックが支持を集めているのは、便利なだけでなく、技術の裏付けもあるからです。

 

今後、より重要になる再生プラスチックの使用

日本の家電は、1998年に施行された「特定家庭用機器再商品化法」(通称 家電リサイクル法)、そして2012年に施行された「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」(通称:小型家電リサイクル法)により、廃家電を回収し、リサイクル材にすること、そしてそのリサイクル材を家電に使用することが義務付けられています。

 

前者は、エアコン、洗濯機、テレビ、冷蔵庫に適用され、後者は、それ以外の29種類の家電に適用されます。前者はお金を支払って引き取ってもらうため回収率8割以上ありますが、後者は2割を切ります。リサイクルは回収ルートを作ることが重要ですが、道半ばという感じです。家電は金属とプラスチックからできていますが、リサイクルし易い金属はまだしも、プラスチックは結構大変です。

 

再プラ化されても、使う時は2つの問題があります。1つ目は色。多くのプラスチックの元々の色は透明です。それに、染料・顔料を加え、色を付けるのですが、再プラでペレット化しても、原料のプラスチックの色は残ります。再調色しても色が濁ります。また、全ての再プラが同じ色をしているとは限りません。このため再プラは「黒」に調色して使う場合が多いです。

 

また不純物が混じることもあります。そんな場合は強度劣化することがあります。実際には、強度確認しながら使いますが、場合によっては補強(リブ)パーツを加えることもあります。SDGsで再プラが当たり前になりつつある世の中ですが、上手く使うにはそれなりのテクが必要なのです。

 

新製品『MC-PB60J』の本気度

「ラクポイ構造」で、紙パックに直接触れず捨てられて清潔

パナソニックのスティック型掃除機は、3つのラインナップがあります。その内の1つセパレート型はパナソニックの独自型です。サイクロン式の弱点「ゴミ捨て」をスタンドでもあるクリーンドックが自動的に行います。ドック内の紙パックに吸引、移動させます。

 

同様な技術は、ロボット掃除機の「iRobot」が始めました。同社は徹底して、人が床掃除を意識しないことを追求しています。このため、ロボット掃除機のダストボックスのゴミ捨ても自動でという発想からの技術です。

 

あとの2つはサイクロン式、紙パック式のラインナップです。今回レポートするのは、紙パック式の新型モデル『紙パック式コードレススティック掃除機 MC-PB60』(スティック時1.3㎏/本体0.9㎏・公式通販サイト価格 税込49,500円・2024年2月29日発売)

 

このモデルの特徴は2つ。1つめは「紙パック」式であること、2つめはリサイクル材比率95%の樹脂を使用しており、そして色が「-C(アイボリー)」であることです。

 

特徴1:リサイクル材比率95%の樹脂を使用

パナソニックの話によると、使用しているリサイクル樹脂ペレット(再プラ):85%にリサイクル紙パウダー(バイオマス材)10%、あと添加剤:5%を加え、本体を成形したそうです。プラスチックは熱可塑性樹脂。加熱によりドロドロに溶かし、金型に充填することで、形を整えることができます。これは再プラでも同じ。

 

問題はその先、リサイクル紙パウダーは天然高分子ではありますが、リサイクル樹脂には、基本異物、不純物です。私も、PS樹脂に木材粉を混ぜ成形を試みたことがありますが、単純なプレート一枚成形することができませんでした。

 

が、パナソニックは、今の自然が分解することのできない石油由来プラスチックと天然由来の自然が分解できるセルロースファイバーを混ぜて使うことに成功しています。商品化された「kinari(きなり)」という樹脂は色々なところに使われています。この特殊技術は、パナソニックがひた向きに環境問題に取り組んできた成果でもあります。

充電口は上部にあり

このリサイクル材を使った掃除機本体は、ややポッテリとしたデザインです。表面は軽くシボがかけられており、とても触り心地がいいです。シボありなので、どぎつい光沢はありません。延長管の金属部も同じ。見た目は山手線の手すりそっくりですが、こちらは握ると違和感を覚えます。

延長管

色は白とされていますが、真っ白ではありません。どちらかというとアイボリーに近く、真っ白より生活に溶け込みやすい白だと思います。十分吟味された材料というのが伝わってきます。

 

再生材をここまで高めたのは、今まで例がありません。パナソニックの本気も感じられます。

 

特徴2:紙パック

純正紙パック。無水米とぎ器、無洗米器にも使えるとある。共用により使用量が増えれば、安価に供給することも可能だ

紙パック自体は全メーカー工夫をし、性能が向上した話は前述しましたが、当モデルでいいねと思ったのは、取り付け方です。今までの多くのモデルは、紙パックは本体取り付け。フタを開け紙パックを取り出し廃棄するのが常でした。しかし当モデルは、本体ではなく、フタの方に紙パックを装着してあります。

フタごと紙パックを取り出すことができる

新しい紙パックをはめたところ

メリットは2つあります。1つめはフタごとどこにでも持っていって紙パックを廃棄できる。紙パックも使い終わった時はゴミがパンパンに詰まっています。下手に扱うと、口からこぼれ出さないとも限りません。ゴミ箱の上で外し捨てると、そんなことは起きません。これが本体だと本体の重さでアタフタしてしまうでしょう。

構造は複雑だが水洗いできる(乾かすのに時間がかかります)

2つめは洗えるということ。紙パックのセット部、つまり繋ぎ目は汚れやすいのです。本体にセットされていると洗浄清掃することはできませんが、フタだと違います。リブの多い設計ですが、水洗いできます。より清潔に使うことができます。

フタをとった状態の本体。フタに比べるととても大きい

取り外し可能なバッテリー

バッテリー。汎用性は高くない形状

これからの小型家電に求められることの一つに、容易に廃棄できる仕様であることが挙げられます。一番面倒臭いのは、バッテリーを外して、家電と別に処分すること。何故かというと、内蔵バッテリーの場合、外し方が分からないからです。

バッテリーフタを外したところ。バッテリーを外すにはロックを外す必要がある

日本製の場合、多くの場合マニュアルに記載されています。が、海外製品の場合は、書いていないことも多い。当モデルは、バッテリーは容易に外せるよう仕様になっている。しかもダストボックスなどに比べると、少々開けにくい様に設計されています。念入りに作られています。

バッテリーフタ。補強(リブ)が設けられている

いい感じの掃除機。そしてリーズナブルな価格

使ってみるとパワーは十分、吸引力も文句ありません。いい感じの掃除機です。加えて、5万円を切るリーズナブル価格で市場導入されました。これもうれしい。が、個人的には、もう一声。今からの日本は、高齢化社会になりますので、できればもっと健康を意識してもらえれば良いと思います。

どうするのかというと、今回搭載されていないパナソニックご自慢の2つの技術、ハウスダストの有無を見分ける「クリーンセンサー」と髪の毛がからまない「からまないブラシ」です。

 

老人になり体の免疫力が低下すると花粉・ハウスダストなどのアレルギー物質で喘息の発作が起きることがあります。喘息は気管支が収縮して息が詰まります。首を締められているようなもので、大変に苦しいです。

 

その発症原因の花粉・ハウスダストを的確に吸引できるのが「クリーンセンサー」です。喘息予防マニュアルには、20秒/m2で吸わせることとあるとが、これが中々大変。目に見えないからです。「クリーンセンサー」はそれを可視化してくれます。

ヘッドは汎用型。ローラーはさまざまな方向に動く

この角度までしか曲がらないため、自立させることはできない

次回モデルチェンジの時には、ぜひ導入検討して欲しい技術です。

公式サイト

 

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

パナソニック|Panasonic コードレススティック掃除機 アイボリー MC-PB60J [紙パック式]
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