【レビュー】最新プロ機ミラーレス一眼『OM-1 Mark II』+35mm判換算1200mm相当のズームレンズ『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』を使いシマエナガの森で無双する話

レビュー

2024年1月末に発表されたプロ向けカメラ『OM SYSTEM OM-1 Mark II』と最大1,200mm相当の超望遠を実現する『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』は多くの方の注目を集めています。この実力をシマエナガの森で試してみました。

新品価格30万円台のプロ向けボディと超望遠1,200mm相当を実現するレンズ

コストパフォーマンスの高い高性能機として人気の『OM-1』の後継機

外観上の大きな変更点は軍艦部のロゴが『OM-1』の「OLYMPUS」から『OM SYSTEM OM-1 Mark II』では「OM SYSTEM」に変更されました。

 

2024年1月末に発表され、2月23日から販売が開始されたOMデジタルソリューションズ株式会社の『OM SYSTEM OM-1 Mark II』(以下『OM-1 Mark II』)は、マイクロフォーサーズ規格を採用する同社のハイエンドモデル。この『OM-1 Mark II』が多くのカメラ好きから注目されています。

 

最大の理由はずばり価格です。各社のハイエンドモデル、いわゆるプロ機には明確な規定などはないのですが、多くの場合、高性能で堅牢性が高く、当然のように高価なモデルになるのですが、『OM-1 Mark II』の場合、撮像素子サイズの小さいマイクロフォーサーズ規格を採用していることもあり、カメラ本体の実勢価格が30万円台とかなり現実的。

 

現在、ほとんどのメーカーのハイエンドモデルや35mm判フルサイズのプロ機がカメラ本体だけで60万円を超える状況なので、かなりコストパフォーマンスが高いのです。当たり前ですが、レンズ交換式のカメラはカメラ本体だけでは写真を撮ることができないので、カメラ本体にレンズと考えると、プロ機でそろえると軽く100万円オーバーが当たり前になっています。これに対して、マイクロフォーサーズ規格の『OM-1 Mark II』はレンズも軽量コンパクトでリーズナブルなものも多く、半額程度の予算でプロ機が導入できるのです。そのため、多くのカメラ好きの注目を集めています。

 

詳細なスペックはOM SYSTEMのWEBサイトをご覧いただくとして、『OM-1 Mark II』の基本的なスペックは有効画素数約2,037万画素、5軸シンクロ手ぶれ補正、連写約10コマ/秒、静音連写SH2約50コマ/秒、AI被写体認識AF、ISO感度約80相当から102400まで選択可能でありながら、ボディサイズは約134.8×91.6×72.7mmとコンパクトでカメラ本体のみの重量は511g。しかも動作温度は−10度から+40度まで、対応するIP53レンズとの組み合わせでは防滴防塵性能がIP53と、軽量コンパクトでありながら、コストパフォーマンスも高く、堅牢でプロユーザーも納得の基本性能を備えているわけです。

 

4/3型(17.4×13.0mm)の撮像素子を採用するマイクロフォーサーズ規格に対応する『OM-1 Mark II』。小型化や望遠撮影などにメリットも多い規格です。

 

なお前モデルとなる『OM-1』は「デジカメ Watch アワード 2022」の1位を受賞するほど評価の高いカメラですが、『OM-1 Mark II』では、どこかが変わったのかをまとめて主な部分を紹介します。

 

・手ぶれ補正機能の強化 5軸手ぶれ補正、5軸シンクロ手ぶれ補正ともに最大8.5段に
・最大撮影コマ数のアップ 120fps時にJPEG LFで約219枚、RAWで約213枚と約2倍
・プロキャプチャーモードの最大撮影コマ数がアップ 最大70コマから99コマに
・AF/AE追従高速連写(SH2)で50fps、25fpsに加えて16.7fps、12.5fpsが選択可能
・AI被写体認識AFに人物を追加 『OM-1』では顔・瞳検出AFでした
・世界初となるハーフND効果が得られる「ライブGND(グラデーションND)」機能搭載
・ライブND、手持ちハイレゾショット、三脚ハイレゾショット、深度合成機能の強化

 

Mark IIになった割に……と感じられる方もいるでしょうが、実は既存の『OM-1』ユーザーはもちろん、『OM-1 Mark II』の購入を検討されている多くの方にとっては、かなり大きな進化となっています。

 

『OM-1』や『OM-1 Mark II』は、軽量コンパクトで堅牢性が高く、高性能なプロ機であるため、過酷なアウトドアフィールドでの使用を目的としているユーザーが多いのです。山岳や風景などの写真はもちろん、撮像素子のサイズが小さいため、望遠撮影に優位な点を含めて野生動物や野鳥の撮影を楽しんでいる方も数多くいます。そういったユーザーにとってAI被写体認識AFの進化、手ぶれ補正機能の強化、最大撮影コマ数のアップ、プロキャプチャーモードの最大撮影コマ数がアップ、AF/AE追従高速連写(SH2)で50fps、25fpsに加えて16.7fps、12.5fpsが選択可能といった変化は大きなものといえます。

このあたりは、実際の使用感レビューで詳細に紹介していきます。

 

『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』は35mm判換算1200mm相当のバケモノレンズ

『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』。望遠端35mm判換算1200mm相当のズームレンズと考えるとかなり小型ですが、マイクロフォーサーズ用レンズとしてはかなり大きいです。

 

『OM-1 Mark II』の発表と同時にOMデジタルソリューションズ株式会社から、新しいレンズが2本発表されました。それが『M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6 II』と『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』です。手軽で軽量コンパクトな広角ズームレンズ『M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6 II』も発表されたのですが、多くの方が注目したのは、マイクロフォーサーズ用レンズとしてはかなり巨大な最大径109.4mm、全長264.4mm、重さ2,065g(レンズキャップ、レンズリアキャップ、レンズフードを除く)
という超望遠ズームの『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』です。

 

「150-600mmのズームレンズなんてたくさんあるでしょ」と思う方もいるかもしれませんが、マイクロフォーサーズ用レンズの150-600mmは撮像素子のサイズの関係から、事実上35mm判換算で300-1200mm相当の画角が得られる、とんでもない超々望遠ズームレンズなのです。望遠端の開放はF6.3と明るく、重量はわずか2kgちょっと、実勢価格は発売前予約ですら40万円を切っているのですから、望遠レンズでの撮影を楽しむユーザーにとっては、夢のようなレンズといえます。というか、カメラのボディ内手ぶれ補正と協調する「5軸シンクロ手ぶれ補正」を有効にすれば最大7段、レンズ単体では最大6段分という手ぶれ補正を使って35mm判換算1200mmでの手持ち撮影も可能だというですから、筆者は使ってみたくて仕方がなかったのです。

 

『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』を『OM-1 Mark II』に装着したところ。それでなくても小さなカメラボディがより小さく見えます。

 

また、恐ろしいことに『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』は、焦点距離を伸ばすことのできるテレコンバーター『M.ZUIKO DIGITAL 1.4x Teleconverter MC-14』、『M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20』に対応しており、『M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20』を使えば600-2400mm相当の画角を得ることができます。2400mm相当となるとちょっと想像もつかない超望遠撮影が可能になるでしょう。

 

さらに『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』は、最短撮影距離が広角端の150mmで0.56m、望遠端の600mmで2.8mと近接撮影にも強い超望遠ズームレンズに仕上がっています。結果、最大撮影倍率が35mm判換算で広角端で0.7倍相当、望遠端で0.39倍と、特に広角端ではマクロレンズ並みのアップで撮影が楽しめます。ちなみに、この広角端のでマクロ性能はテレコンバーターと組み合わせると、さらにレベルアップ、『M.ZUIKO DIGITAL 1.4x Teleconverter MC-14』をプラスすると最大撮影倍率は0.99倍相当と等倍マクロ並みに、『M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20』との組み合わせでは1.4倍相当と等倍マクロレンズを超える近接撮影性能を発揮します。

 

この夢のような35mm判換算1200mm相当手持ち撮影を実現してくれる『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』と野鳥撮影にさらに強くなった『OM-1 Mark II』の組み合わせを筆者は過去記事「【レビュー】シマエナガを撮影するコツを写真家が解説!素早い、小さい、遠い被写体をマイクロフォーサーズ『OM SYSTEM OM-1』でとらえる【超望遠レンズ】」でも紹介したシマエナガの森がある青葉公園でテストしました。

 

見える範囲にいるすべての鳥や動物が撮れてしまうような無双感がヤバい

望遠端35mm判換算1200mm相当のズームレンズが与えてくれる万能感

トップにも掲載した写真のノートリミング画像。35mm判換算1200mm相当の望遠端で撮影。同じ位置から500mm程度の望遠で撮影していた知人は遠すぎて諦めていました。

 

『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』+『OM-1 Mark II』で簡単に実現する35mm判換算1200mm相当での撮影ですが、実は筆者は35mm判換算1200mm相当での撮影自体ははじめてではありません。過去記事「【レビュー】シマエナガを撮影するコツを写真家が解説!素早い、小さい、遠い被写体をマイクロフォーサーズ『OM SYSTEM OM-1』でとらえる【超望遠レンズ】」でも紹介しているように『M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO』+『M.ZUIKO DIGITAL 2x Teleconverter MC-20』+『OM-1』という組み合わせで手持ちでの35mm判換算1200mm相当を体験し、実際に撮影しているのですが『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』+『OM-1 Mark II』ほどの万能感は感じませんでした。

 

理由はふたつ。ひとつは2倍のテレコンバーターを使用しているので明るい単焦点レンズである『M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO』も開放がF8.0と暗くなり、シャッター速度を速くしづらくなること。もうひとつは35mm判換算1200mm相当の単焦点レンズになってしまうことです。

 

超々望遠レンズといってよい35mm判換算1200mm相当は対角画角が2度しかありません。ざっくりいうならレンズを向けた先を2度の範囲内に正確に入れる技量がないと使いこなせないともいえるわけです。残念ながら、筆者にはそこまでの技量がありません。そのため35mm判換算1200mm相当の単焦点レンズは、すごいのですが使い勝手悪いのです。

 

これに対して広角端が35mm判換算300mm相当の『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』は対角画角を約8度まで広げることができます。普段35mm判換算900mm前後の望遠レンズを使っている筆者にとっては、少し広角側にズームしておいて、被写体を画角の中に入れてから望遠端までズームをするほうが圧倒的に使いやすいのです。

 

ズームトルク/ロックスイッチ。このスイッチをSに合わせて、直進ズーム的な操作でズーミングすると素早く快適に操作することができます。

 

このズーミングの際のズームリングのトルクを調整するズームトルク/ロックスイッチを搭載しているのも『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』の特徴のひとつ。ズームリングのトルクをS(Smooth)とT(Tight)から選択でき、ズームリングを広角端の位置で固定するL(Lock)も装備されています。この点だけでも操作性に対する強いこだわりを感じるのですが、筆者がとても気に入っているのが、直進ズーム的な操作が可能な点になります。

 

直進ズーム的な操作というのは、レンズ先端部分を持ってレンズを引き伸ばしたり、縮めたりという極めて直感的な操作で、レンズのズーム操作が行える機能です。これが非常に簡単かつ素早いズーム操作を可能にしてくれます。

 

そのため、ちょっと広角気味にして被写体をとらえてからズームでアップに、逆に望遠側で被写体がうまく画角の中に入らなかったときは少しワイドにズームしてという操作が素早く直感的に行えるのです。これに最高35mm判換算1200mm相当の超々望遠と相まって、シマエナガの森を歩いていても、見える範囲の鳥や動物はすべて撮影できるような万能感すら覚えてしまいます。

 

普段35mm判換算900mm相当クラスの望遠レンズでは諦めていた距離の野鳥や動物も、十分に被写体として考えられるのが非常に楽しいのです。またカメラのボディ内手ぶれ補正と協調する「5軸シンクロ手ぶれ補正」を有効した状態で最大7段分という手ぶれ補正はしっかりと効いているようで、35mm判換算1200mm相当付近でかなり枚数撮影していたのですが、手ぶれの悪影響を感じた写真はほぼありませんでした。強力な手ぶれ補正の安心感もうれしいところです。

 

広角端最短撮影距離が約56cmという安心感が素晴らしい

突然、目の前に飛び出してきたエゾリス。広角端に近い400mm相当までとっさにズームして撮影しましたが、それでもシッポが画面からはみ出てしまいました。

 

35mm判換算300-1200mm相当の超望遠ズームレンズを装着して、シマエナガの森を歩きまわって撮影をしているのだから、最短撮影距離を気にする必要はないのでは? と思う方も多いでしょう。しかし、筆者にとって最短撮影距離はかなり重要です。

 

なぜなら、シマエナガの森がある千歳市の青葉公園にはエゾリスもいるから。個体差などはあるのですが、このエゾリスたちはかなり人懐っこいのです。機嫌のよいときなら、ランニングやウォーキングのコースに飛び出してきて、比喩ではなく、手の届くような距離まで近寄ってきてくれます。

 

このときに最短撮影距離の長いレンズを装着していると、撮影している側が近すぎてピントが合わず、エゾリスから必死に離れるという、やや滑稽な動作を行うことになるのです。しかし『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』は広角端の最短撮影距離がわずか0.56m、約56cmですから、ワイド側にズームをすればいいだけ。ワイド端といっても300mm相当ですから、十分すぎるほどにアップでエゾリスを撮影することができます。

 

野鳥や野生動物の撮影をしていると、信じられないような幸運に恵まれ目的の被写体がびっくりするくらい近くに現れることがありますが、最短撮影距離が短い『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』なら、そんな幸運をしっかりと写真に収めることができるというわけです。

 

スーパーコンパネに「被写体検出」が追加された利便性

スーパーコンパネのメニュー画面で検出する被写体を切り替えることができるようになったので、さらに素早い操作が可能になっています。

 

森の中で野鳥や野生動物を撮影しているときに、筆者は基本的にAI被写体認識AFを使っています。『OM-1 Mark II』では認識被写体に「人物」が追加され、「人物」「モータースポーツ」「飛行機」「鉄道」「鳥」「犬・猫」「OFF」から選択が可能。

 

野鳥や野生動物を撮影したい筆者は「鳥」もしくは「犬・猫」を選択しているのですが、この切り替えメニューが『OM-1 Mark II』では「OK」ボタンのワンプッシュで呼び出せるスーパーコンパネに追加され、鳥を撮影しているときに突然エゾリスに出会っても、またその逆でも素早く認識する被写体を切り替えられるようになっています。

 

AI被写体認識AFに「人物」が追加されたので、ソファの上で跳ね回る息子を撮影。飛んでいる小鳥にすらピントを合わせるほどの性能なので、子どもは楽勝レベルです。

 

すでに人間の操作以上のスピードで被写体にピントを合わせ続けるAI被写体認識AFがAFのメインストリームであることもあるでしょうが、この切り替えが簡単に行えることでカメラの使い勝手が大きく向上しています。

 

プラス「プロキャプチャー撮影」で時間を巻き戻すようなチート能力に酔いしれる

プロキャプチャー SH2を選択しているところ。最大50fpsでの連写が可能なプロキャプチャー SH2は小鳥の撮影に最適です。

 

『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』の実現する超々望遠撮影と至近までカバーする近接撮影機能。これにAI被写体認識AFで被写体をとらえる力、さらに『OM-1 Mark II』の約10コマ/秒の高速連写が加われば、野鳥や野生動物をかなりのレベルで撮影できるでしょう。

 

しかし、実際に『OM-1 Mark II』で野鳥を撮影する大部分の方は「プロキャプチャー撮影」を利用するはずです。プロキャプチャー撮影をはじめて聞く方もいると思いますが、シャッターボタンの半押しで画像の記録を開始し、シャッターボタンを全押しすると、そこからさかのぼって最大で99コマまでの写真データを記録する機能になっています。『OM-1』では70コマまでしか記録できなかったのが『OM-1 Mark II』では99コマにバージョンアップ。

 

これが小鳥の撮影において抜群の効果を発揮するのです。一般的に小鳥の撮影では木の枝などにとまった小鳥にピントを合わせて撮影、そしてできれば飛び立つ瞬間をとらえて、さらに動きのある写真を撮影したいと多くの人は考えるでしょう。

 

小鳥が飛んでからシャッターボタンを全押しすれば、飛び立つ瞬間が撮影できるのでプロキャプチャー撮影を使うと驚くほど撮影が簡単になります。

 

ですが、小鳥が飛び立つ瞬間に合わせてシャッターを切ったのでは、人間の動作などのタイムラグで実際にシャッターを切ったときには、小鳥はすでに飛び立った後ということが少なくありません。そこで上級者は、小鳥の飛び立つ瞬間を予想して、その前からシャッターを切りはじめるわけです。初心者にはマネできませんし、上級者であっても必ず予想が当たるわけではありません。

 

そこでプロキャプチャー撮影です。シャッターボタンを半押しした状態で撮影がはじまっていますので、小鳥が飛び立った瞬間などにシャッターボタンを全押しにすれば、そこからさかのぼって最大で99コマまでの写真が記録されます。飛ぶのを予想してシャッターを切るのではなく、飛んだ後にシャッターを切れば、飛ぶ前の写真が記録されるので、ある意味時間を巻き戻したような撮影が可能なわけです。

かなりのアップでも撮影できますが、飛び立つ方向を予想して、そちら側を空けておかないと小鳥があっという間に画面の外に移動してしまいます。

 

このプロキャプチャー撮影を使えば、筆者のようにうまく飛び立つタイミングが予測できない人でも、小鳥の飛び立つタイミングが思うように撮影できます。しかも連写速度は最大で120fpsと超高速。この記録枚数が増えるように『OM-1 Mark II』はメモリーが増設され、バッファの容量が増えているわけです。これはとても重要。

 

さらにプロキャプチャー撮影のなかでも連写速度が最大50fpsとなるプロキャプチャー SH2(ProCapSH2)は、連写中でも1枚1枚、ピント(AF)と露出(AE)を合わせながらの、高速連写が可能なので、小鳥を撮影する多くの方が愛用しているモードです。このプロキャプチャー SH2での連写速度を『OM-1 Mark II』では50fps、25fpsのほかに16.7fpsや12.5fpsに設定することも可能になっています。

 

この連写設定の数によって99コマまで記録可能になったプロキャプチャー撮影で何秒程度までさかのぼって記録できるかが決まってくるので、実は非常に重要なバージョンアップといえるのです。

 

シマエナガの森での無双感が気持ちよすぎる

後ろの席の女性にもおすすめしたかった『OM-1 Mark II』+『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』

肉眼では、おそらく枝にとまっているのは、きっとシマエナガレベルで遠くにいますが、35mm判換算1200mm相当ならノートリミングでこのサイズで撮影可能です。

 

『OM-1 Mark II』+『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』がどのくらいおすすめかというと、カフェで後ろの席に座ったグループの会話に割り込んでおすすめするのを自制するのにかなり苦労したくらいのレベルです。

 

実はほかの製品のレビューのために青葉公園にも近い、こちらもシマエナガで有名な「The Bird Watching Cafe」のカウンター席で撮影をしていたのですが、ちょうど後ろの席に座った4〜5人のグループのなかでひとりの女性が「フルサイズもいいけど、軽いから『OM-1』か、『OM-1 Mark II』を買おうかと思っているの……」と話はじめたのが聞こえてしまったのです。

 

ちょうど出してはいなかったものの、筆者のカメラバッグには『OM-1 Mark II』と『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』が入っている状態。「思わず望遠端35mm判換算1200mm相当の『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』を着けても3kg以下と超軽いですし……。しかし、現在のところ『OM-1』との価格差を考えると最新の『OM-1 Mark II』のほうがおすすめだと思いますよ……」とグループの会話に割り込みそうになるのを実際にかなり苦労して自制したのです。この記事を読んでくれることを期待しています。すごくおすすめですよ。

 

正直なところ、広角端最短撮影距離0.56m、望遠端35mm判換算1200mm相当の『M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS』を『OM-1 Mark II』に装着してAI被写体認識AFとプロキャプチャー SH2を組み合わせて、シマエナガの森で野鳥やエゾリスを撮影していると、ある意味カメラ性能がチート過ぎて、無双感すら覚え、気持ちがよくて、びっくりするくらいの枚数を撮影してしまいます。ぜひ、この気持ちよさを多くの方に体験していただきたい。さすがに安くはありませんが、カメラとレンズの総額約70万円以下で、この気持ちよさを味わえるのもマイクロフォーサーズならではといえるでしょう。

 

なお、実は世界初だという「ライブGND(グラデーションND)」機能も試してみたのですが、朝焼け好きの筆者にはかなりおもしろく、こちらは別途違う記事として紹介できればと思っています。

 

 

OM SYSTEM

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齋藤千歳(フォトグラファーライター)

元月刊カメラ誌編集者。新しいレンズやカメラをみると、解像力やぼけディスク、周辺光量といったチャートを撮影したくなる性癖があり、それらをまとめたAmazon Kindle電子書籍「レンズデータベース」などを出版中。まとめたデータを元にしたレンズやカメラのレビューも多い。使ったもの、買ったものをレビューしたくなるクセもあり、カメラアクセサリー、車中泊・キャンピングカーグッズなどの記事も執筆。現在はキャンピングカーを「方丈号」と名付け、約9㎡の仕事部屋として、車内で撮影や執筆・レビューなどを行っている。北海道の美しい風景や魅力を発信できればと活動中。

齋藤千歳(フォトグラファーライター)をフォローする
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