喫味は強いがニオイが強くてメンテが大変だった加熱式タバコ「グロー」。しかし加熱プロセスを見直した最新機種『グローハイパープロ(glo hyper pro)』と、2024年5月7日からタバコの先端を閉じて密封するリニューアルを行った『ネオ(neo)』シリーズの組み合わせは違うようだ。その真価をヘビースモーカーの筆者が確かめた。
「グロー」の進化がとまらない[その1]〜デバイスとしての完成度を高めた『グローハイパープロ』
BAT(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)が展開する加熱式タバコ「グロー」シリーズと言えば、安価に入手できてスティックも安い(コスパがいい)、カプセルメンソールなど、刺激の強さはお任せというメリットと、喫味は強いがニオイがキツい(吸い殻も)、喫煙時間が短いというデメリットを語られるのが常識だった。
しかし2023年12月に姿を表した目下の最新機種『グローハイパープロ』(約96.7 × 36.6×21.1mm/90g・税込3,980円・2023年12月発売)で潮目が変わった。「スタンダード」「ブースト」のモード(温度)切替や残りの喫煙時間を目視しやすい有機 EL ディスプレイ「EASYVIEW™スクリーン」の搭載が目立つが、本当の進化は中身の方だ。
長い間変わらなかった喫煙時間4分間(スタンダードモード)の壁が崩れ、4分30秒に延長された上(ブーストモードは以前と同じ約2分)、新たな加熱技術「HEATBOOSTテクノロジー」で大幅に喫味を上げたのだ。
加熱プロセスを見直した恩恵はまず、グロー特有のいぶったニオイが低減されていること。加熱温度の上昇加減を新たな加熱曲線でコントロールすることにより、いぶりにくい洗練されたスマートな喫味を出せるように、進化したのである。
例えば「ラッキー・ストライク・ダーク・タバコ」はあまりのスモーキーさが辛いと感じる人も少なくなかったはずだが、「グロー・ハイパー・プロ」のブーストモードで味わうと、あら不思議。香ばしさが先に立って、ほどよいロースト感がにじみ出て実にうまい。
以前の「グロー」の印象がガラリと変わる大進化だ。
「グロー」の進化がとまらない[その2]〜喫味を落とすタバコ葉のカスを排除する密封スティックで新生した『ネオ』シリーズ
ただデバイスの進化の後にも、もうひと波あった。「グロー・ハイパー」専用タバコスティックのフラッグシップライン『ネオ』シリーズ8種(20本入・税込500円)が5月7日より全面リニューアルを果たしたのだ。
今度の『ネオ』はタバコ葉がこぼれ落ちがちな先端を密封する「スティックシール・テクノロジー」を採用、前に吸ったときにこぼれたタバコ葉の屑が、燻って新しいスティックの風味を落とすことが無くなったのだ。
こうした先端密封方式は、PMJの新機種「アイコスイルマ」が誕生した2021年8月に発表された専用スティックで採用されていたが、3年弱の歳月を経てBATも採用したというわけだ。
この変化は喫味にどう影響するかというと、わずかなドロー(吸い込む力)が重くなることくらい。なぜならフタは通気をじゃっかん妨げるからだ。ただ気にならない程度。もう少し軽いドローで味わいたいなら、底部のクリーニング用のフタをずらしてエアフローを調整すると良いだろう。
今までは付属のクリーニングブラシで葉を掃除する必要があったが、もはやタバコ葉が落ちない。これでメンテナンスの必要はもはやナシと言いたいところだが、「アイコスイルマ」にしても「グロー・ハイパー・プロ」にしても、こぼれた葉は存在しないものの、蒸気由来の汚れは内部に付着するので、1箱につき1回位はウエットタイプのクリーニング用の綿棒で拭いた方がおいしく味わえると思う。
「グロー」の進化がとまらない[その3]〜『グローハイパープロ』+新生『ネオ』シリーズのレギュラーがうまい!
『グローハイパープロ』+新生『ネオ』シリーズでおいしいタバコライフが最強化してうれしいところだが、レギュラー好みの人ならば、もうひとつうれしいポイントがある。
今回のリニューアルで「ネオ・クラシック・タバコ」と「ネオ・スムーズ・タバコ」が追加となり、「ネオ」唯一のレギュラー種だった「ネオ・テラコッタ・タバコ」も「ネオ・マイルド・タバコ」として生まれ変わったのだ。
マスターブレンダーによる厳選たばこ葉を使用した新ブレンドを採用。上質で少し甘いタバコらしい香りが特徴のバージニア種と、地中海沿岸由来のクセの強めなオリエンタル種を配合し、たばこ葉の希少部位で香りの良い葉肉部分「ラミナ」を100%使用(ラミナはJTもプルーム・エックス専用スティックで使用している)したのだ。
製造工程では、できるだけたばこ葉を加工しないことで、高品質な味わい成分を維持するというから本格的である。それでは実際に生まれ変わった『ネオ』のレギュラー3種を味わってみたい。
マスターブレンダーがこだわった深みと濃厚さ! 『ネオ・クラシック・タバコ』()
マスターブレンダーが厳選したたばこ葉を使用したレギュラーの、いわゆるダーク系の濃厚な新規追加製品『ネオ・クラシック・タバコ』。ただ従来の濃厚さ=ロースト感という加熱式タバコスティックの常識とは異なり、樹齢を重ねた木々が生い茂る森に迷い込んだような深いアロマが光る風味で、クセは思ったよりも少なく、香ばしい。
岐阜県加工蜂蜜の甘みは少なめで、苦みと辛みを主体とした蒸気が喉を通る感覚が、紙巻きタバコを想起させる。キリッとした渋みとビターな深さ。じっくり味わいたくなる大人味の逸品だ。
「スタンダード・モード」……バージニアタバコの甘みが目立つ。
「ブースト・モード」苦みと辛味が重厚な紙巻きタバコのような感覚。
すでにマスターブレンダーによるブレンドだった「テラコッタ」名称変更! 『ネオ・マイルド・タバコ』
すでにマスターブレンダー厳選たばこ葉を使用したブレンドにリニューアルされていた「ネオ・テラコッタ・タバコ」。『ネオ』唯一のレギュラーだったが、名称を変更して、「ネオ・マイルド・タバコ」となった。
岐阜県加工の国産蜂蜜と、コーヒーの焙煎豆のような香ばしさ、タバコ葉本来の香ばしさが合体して、ほどよい酸味とともにウマさを演出しているバランスのとれた王道マイルド系。先端を閉じる前もおいしいと思っていたが、気持ちドロー(吸い込む力)が重くなったことで、さらに味わいが深まった。
マイルドとは言ってもライトじゃない。しっかりとしたキックを与えてくれ、吐き出す蒸気にもほどよい辛味がピリッ。
「スタンダード・モード」……バージニア種の芳醇な旨味とほんのりとした甘さが主体。
「ブースト・モード」……エッジが際立って、紙巻きタバコ的な手短なリラックスタイムにうってつけ。
ほんのり甘い、軽快なおいしさ! 『ネオ・スムース・タバコ』
マスターブレンダーが厳選したたばこ葉を使用しているレギュラー製品。その中で一番軽快なのが、新規追加製品『ネオ・スムース・タバコ』だ。
スムーズ味は通常、酸味が強い味わいが主流だが、この製品はバランスを崩す一歩手前で寸止めして、苦くもないけど酸っぱくもない境地に到達。言ってみれば絶妙なブレンドコーヒーが、おいしい水のような絶妙なバランスを生み出しているときのような味わいが素晴らしい。
「スタンダード・モード」……甘さと酸味がの香りが生み出す上品な味わい。往年のライトタバコのような、さっぱりとしたプロフィール。
「ブースト・モード」……味は濃くなるが、それでも上質なスペシャルティコーヒーのような香ばしい焙煎感。
ちなみにレギュラー以外の、新たに「スティックシール・テクノロジー」を採用した『ネオ』は、以下の通り。全般的に喫味に大きな変化はない。
メンソール系
スースー感が炸裂! 『ネオ・マックス・メンソール』
廃止銘柄となった「クール・エックス・ネオ・マックス・メンソール」が源流の『ネオ・マックス・メンソール』。北海道産ミントを使用したカプセルメンソールタイプで、箱を開けると、ナチュラルなスペアミント系の甘い香りがする。でも吸うとペパーミントな辛口が主役でびっくり。うかつに「ブースト・モード」で吸うと、刺激に弱い人にとってはちょっとした罰ゲームになるかも。
ズシッとくる冷感に鋭いエッジ! 『ネオ・フリーズ・メンソール』
ペパーミント的な辛さよりも、冷感を中心とした、重めの清涼感の『ネオ・フリーズ・メンソール』。「ブースト・モード」時はタバコ感が強くなる。
タバコ味を引き立てる脇役! 『ネオ・フレッシュ・メンソール』
カプセルを搭載していないので、潰すタイミングを考えなくていいところがシンプルでいい『ネオ・フレッシュ・メンソール』。北海道産ミントがタバコ味を引き立てることに専念しているのがいい。「ブースト・モード」がうまい。
フレーバーメンソール
ケミカル感がちょっと気になる『ネオ・ブリリアント・ベリー・スティック』
人気のベリー系カプセルメンソールだが、そこに福岡産のいちごのフレーバーも加わった独自路線が特徴の『ネオ・ブリリアント・ベリー・スティック』。「スタンダード・モード」の方がフレッシュなフルーティーさを感じやすいが、ケミカルに感じる人もいるかも。
日本人向けトロピカル感がおいしい! 『ネオ・トロピカル・スワール・スティック』
『ネオ・トロピカル・スワール・スティック』は、エスニック感少なめのトロピカル味が好印象。カプセルを潰した後が、南国フレッシュなフルーティーさが前面に出ておいしい。