加熱式タバコ同様に、モクモク蒸気は出るけれど、ニコチンもタールも入っていないのが、国内で流通しているベイプ(VAPE)製品。そんなベイプの魅力を、ヘビースモーカーの筆者が、紙巻きタバコや加熱式タバコ「グロー・ハイパー」などを展開するたばこメーカーBATジャパンの『ビューズ・ゼロニ・センセーション』を吸いながら、解説します。
ベイプとは? 加熱式タバコとの違い
同じようにモクモクしてはいるけれど
加熱式タバコもベイプも、モクモク蒸気を出していて、傍目から見ると同じことをしています。
ただ「アイコス イルマ」(PMJ)「グロー・ハイパー」(BAT)「プルーム・エックス」(JT)などの加熱式タバコは、ニコチンと紙巻きタバコの1/10程度ではあってもタールが含まれます。ベイプと似た構造を持つインフューズド(低温加熱型)たばこ「ウィズ2」(JT)にしてもニコチンは含まれています。
喫煙は基本的にニコチン摂取が目的です。蒸気だからケムリじゃないので、禁煙だと言い張る人もいますが、喫蒸気であってもやっぱりニコチンの入ったれっきとしたタバコなのです。
加熱式タバコ、ベイプ、白い蒸気を生み出す仕組みは同じ
加熱式タバコは、主にタバコ葉に染みこませたグリセリン類を加熱することで、ケムリのような白い蒸気を発生させています。ベイプ製品はグリセリン類と香料を混ぜたリキッドを加熱することで、白い蒸気を発生させてフレーバーを楽しむ道具です。
ただ、国内ベイプ製品で使用するリキッドには、ニコチン・タールは含まれていません(海外ではニコチンリキッドは合法なことが多いですが、日本国内ではニコチン入りリキッドの流通が禁止されているからです)。
蒸気のもとは同じグリセリン類ですが、タバコ葉を使用せず、リキッドにもニコチンは含まれていないので、純粋にフレーバーを楽しむアロマ製品のような立ち位置です。
ニコチンもタールも含まれていないベイプで、禁煙できるのか? (加熱式タバコユーザーなら可能性あり!?)
なのでタバコ製品からベイプに切り替えると、ニコチン・タールの摂取はしないので、事実上の「禁煙(禁ニコ?)」となります。ただ紙巻きタバコユーザーが、いきなりベイプで禁煙できるかというと難しいのが現状です。ケムリ→蒸気、タールが存在しないことによる風味の明らかな違いから、代替品として納得しづらいのです。
ところが近年、ユーザーが急増している加熱式タバコの場合は違います。蒸気の出方は同じですし、グリセリン類の甘みを感じるのも一緒。
レギュラー製品を使用していると、喉へのキック感が足りないと感じるかもしれませんが、日頃からメンソールやフレーバーメンソールを好んでいる人の場合は、キック感以外はかなり近いフィールなので、喫煙と喫煙の間の”つなぎ”的な使用による減煙でならしていけば、100%切替も夢ではない気がします。
タバコ会社がベイプ製品を作っているという安心感【口に入れるものなので】
今回紹介するベイプは、1902年に英国で設立された「ダンヒル」「ケント」「ラッキーストライク」などの銘柄を擁する世界有数のたばこ会社、BAT(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)による全米トップクラスの人気を誇るベイプブランド「ビューズ」の製品です。
豊富なタバコ知識を備えている安心感、あやしげなメーカーの製品とはひと味違う存在感です(パッケージは充分あやしいですが)。
スティックタイプで発売した第1世代「ビューズ」を経て、ゼロニコチンベイプ製品のためだけに開発されたリキッド を使用して登場した、BATジャパン『ビューズ・ゼロニ・センセーション』(71.36×40.5×18.7mm/37g・税込1480円・2024年7月1日発売)。1個につき約1,000回の吸引が可能です。
あらかじめ充電が済んでおり、パッケージを開けてすぐに使い始められ、メンテナンスの要らない使い捨てタイプ。面倒くさがり屋さんにぴったりな構造となっています。
『ビューズ・ゼロニ・センセーション』全4種類吸い比べ 〜吸い方を変えておいしくなる!?
それでは実際に現行4種類の『ビューズ・ゼロニ・センセーション』を吸いながら、実感をレポートしていきましょう。どの味わいもベイプなので、通常のタバコ的に、いったん口の中に蒸気をためてから、肺に吸い込むMTL(マウス・トゥ・ラング)よりも、最初から深呼吸のように肺まで一気に吸い込んで、いわゆる爆煙を出すDL(ダイレクト・ラング)の吸い方に向いている製品のようです。
『ビューズ・ゼロニ・センセーション・ユズ・ミント』
和フルーツの柚子(ゆず)にミントを合わせた『ビューズ・ゼロニ・センセーション・ユズ・ミント』。まず普通にMTLで吸うと、スペアミントとVG由来の甘みが強烈な濃厚スイートフレーバーでした。どこかインバウンドの方々が喜びそうな不思議な感覚。
ところがDLで吸うと印象はガラリ。残り香には確かに柚子が皮ごといて、甘みが抑えめになって爽やかさを味わえます。
『ビューズ・ゼロニ・センセーション・サボテン・チェリー』
ウチワサボテンとチェリーの風味を合わせた『ビューズ・ゼロニ・センセーション・サボテン・チェリー』。サボテンはメキシコ料理などにも使われますが、フレーバーとしてチェリーと合わせるなんて、予想もつきません。
と思ったら、ベイプではケミカルになりがちなチェリーフレーバーを、サボテンの爽やかさがマスクして吸いやすい。MTLだと甘みが目立ち過ぎるので、DLで味わった方がおいしく感じました。
『ビューズ・ゼロニ・センセーション・ドラゴン・ザクロ』
南国系の鮮やかピンクが有名なドラゴンフルーツ(別名:ピタヤ)は、キウイに似た食感でなめらかサッパリの甘酸っぱいフルーツ。そこに和素材の酸味系粒々フルーツを合わせようとするこの冒険発想。
ところがこれ、意外にイケます。MTLでも、トロピカル過ぎてコスメ系アロマになりそうな所をうまくザクロが酸味と共にストッパーとなって、絶妙なおいしさを生み出していました。そんなに甘みが気になりません。
『ビューズ・ゼロニ・センセーション・ミント・アイス』
VG特有の甘みがありつつのスースー感は冷涼タイプ。ペパーミントをベースとしながらも辛すぎず、喉奥に甘い冷たさが残るところは、チョコミントなどのアイスクリームを食べた後に通じるものもあるかな。甘いミントが好きな人、まずは試してみたい人はここからはじめるといいかも。
またメンソールタイプなので、ニコチンほどではありませんが、MTLで吸うと、喉へのキック感も軽やかに感じることができます。
【ベイプ入門用にも】直接深呼吸のように肺に入れるダイレクト・ラングに向いたベイプらしい味わい!
白い蒸気を出すためのグリセリン類は主に2種類。甘みが強めだけれど、蒸気がたくさん発生する自然派の植物性グリセリン(VG)と、シャープにフレーバーの邪魔をせずに味わうことはできるけれど化学製品のプロピレングリコール(PG)。
多くのベイプリキッドはその2つの比率をメーカーが吟味して組み合わせて、そこに香料を加えて完成させます。もちろんVGもPGも香料も食品添加物レベルのものを使用しています。
今回味わった『ビューズ・ゼロニ・センセーション』はどれもVG比率高めな甘めの仕上がりとなっていました。タバコ味に甘みを求める人、日頃から加熱式タバコフレーバーの甘い系を楽しんでいる人、爆煙好きのベイプユーザーなら気に入るかもしれません。
単純計算すると、タバコ1日1箱、1本につき12回吸う人なら約4箱分/30日換算で約1万1千円程度のコストとなり、「アイコス イルマ アイ」用「テリア」(1箱20本入・580円)の17,400円に対して6千円くらいのコスト減になります。ただ通常のタバコとDLで吸うベイプはテイストが全く違うので、比較にはなりにくいでしょう。