Q
オーディオは2チャンネルのステレオ再生が本流ですが、7.1チャンネルのサラウンド再生だと、音の臨場感やスケール感がさらに向上すると感じます。実際に、音質的にはどうなのでしょうか? よく、アンプの数が影響する(2チャンネルのほうが音質がいい)ともいわれますが……。 (T・Uさん 滋賀県 56歳)
A
これは、AV評論家の林正儀さんに聞きましょう。
林
音質という土俵で、2チャンネル再生とサラウンド再生を比較するとどうなるか。
機材や音源、フォーマットなどに違いがあるので一概にはいえませんが、興味深いテーマです。
そもそもサラウンド再生のためのAVアンプは、構成がオーディオ用のステレオアンプとは違います。
チャンネル数(アンプの数)が違うのはもちろんですが、内蔵されるアンプ回路のグレードが違うのです。
また、両者が同じ値段だとしたら、10万円のステレオアンプと10万円のAVアンプ(7.1チャンネル)では、フロントの音は、ステレオアンプが有利です。
──同価格なら、ステレオのほうが断然有利ですね。
林
ただし、肝心なのは、担っている役割が別だということ。
サラウンド再生の魅力は、通常のステレオ再生では得られない圧倒的な包囲感とスケール感でしょう。
スピーカーを5.1チャンネルや7.1チャンネル(0.1は低音用のサブウーハー)にすれば、全方位から囲まれるような臨場感が味わえます。
ドルビーTrueHDなど、高度なサラウンド処理のおかげで定位は鮮明ですし、音場のつながりは実にスムーズ。
特にライブ盤では、ステージの広がりや会場の熱気までリアルに伝わってきます。
サラウンド音源は、ブルーレイなどの映画ソフトのほか、ピュアオーディオのSACDに2チャンネル&5.1チャンネル収録のものがあります。5.1チャンネルだと、演奏空間の立体感に包まれるようです。
また、新しい話題として、UHD BDの『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』のように、劇伴音楽を7.1チャンネルに天井スピーカー(2〜4チャンネル)を加えたドルビーアトモスで振り分けている映画ソフトもありますね。
これまで劇伴音楽はフロントチャンネルで出すのがセオリーだったのですが、アトモスの効果は歴然。
サラウンドファンならぜひ聴いてほしいものです。
このように、サラウンド環境はどんどん進化しています。収録された形式に沿って、再生装置を導入するのが大事ですね。
──ステレオとサラウンドでは担っている役割が別々で、収録された形式に沿って再生するのが大事なんですね。ありがとうございました!