【アディポネクチンを増やす方法】トマトとみそが糖尿病改善に役立つ理由とは

美容・ヘルスケア

なぜトマトとみそが糖尿病改善に役立つのでしょうか。「長寿ホルモン」や「やせホルモン」とも呼ばれるアディポネクチンは、膵臓から分泌されるインスリンの効きをよくする効果があります。このアディポネクチンを増やす働きが、トマトに含まれる「リコピン」と、みそに含まれる「β-コングリシニン」という成分で確認されているのです。【解説】泰江慎太郎(銀座泰江内科クリニック院長)

解説者のプロフィール

泰江慎太郎(やすえ・しんたろう)
医療法人光史会銀座泰江内科クリニック院長・理事長。京都大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士。日本糖尿病学会専門医、日本循環器学会専門医、日本医師会認定健康スポーツ医。社団法人メディカルヘルスケア協会代表理事。これまでに1万人以上の糖尿病患者を診療。海外のVIPからも多数診察依頼があり、担当している。

脂肪燃焼を促進する超善玉ホルモンを増やす

私のクリニックには糖尿病外来があり、日々患者さんに糖尿病改善のためのアドバイスを行っています。

なかでも非常に重要である食事指導では、1日に摂取する糖質量を150g以内に抑える糖質制限食を実践してもらいます。それを行う際の補助手段として、積極的にとることを勧めているのが、トマトみそです。

例えば、トマトジュースを常飲された患者さんで、無理なく6kgやせつつ、ヘモグロビンA1c(過去1~2ヵ月以内の血糖状態を示す指標。基準値は4.6~6.2%)が7.1%から5.9%に下がったかたが、実際にいます。

トマトだけでもそれだけの効果があるところに、みそも併せてとれば、いうことなしです。「トマトみそ汁」は、トマトとみその両方をとることができる点が、とても魅力的です。

では、なぜトマトとみそが糖尿病改善に役立つのでしょうか。

まず、トマトやみそに含まれる成分が、脂肪燃焼を促す「アディポネクチン」というホルモンを増やすという点が挙げられます。アディポネクチンは、別名「長寿ホルモン」や「やせホルモン」とも呼ばれる、いわば「超善玉ホルモン」です。

このアディポネクチンを増やす働きが、トマトに含まれる赤色色素「リコピン」と、みそに含まれる大豆たんぱくの一種である「β-コングリシニン」という成分で確認されているのです。

糖尿病は、血糖値の調整を行うインスリンというホルモンの作用が十分ではなく、血液中に血糖が多い状態です。

その状態が続くと動脈硬化が進み、目の毛細血管が詰まる糖尿病網膜症、腎臓の血管が詰まって体内の老廃物をろ過できなくなる糖尿病腎症、心筋梗塞など、さまざまな合併症を引き起こす危険性があります。

アディポネクチンには、膵臓から分泌されるインスリンの効きをよくする効果があります。肝臓から糖を新たに作り出す働きを抑えながら、糖の取り込みを筋肉細胞に促す作用もあるため、血糖値の低下につながります。

こうしたアディポネクチンの働きが、糖尿病の改善に大いに役立つのです。

さらに、アディポネクチンは、脂肪代謝を促進して内臓脂肪を減らし、善玉コレステロール(HDL)を増やしたり、傷ついた血管を修復・拡張したりするなど、幅広い作用があります。そのため、高血圧や脂肪肝、肥満などの改善も期待できます。

糖尿病患者の血液にはトマトのリコピンが少ない

トマトとみそが糖尿病改善に役立つ理由は、それだけではありません。

トマトに含まれる「リコピン」と、みそに含まれる「メラノイジン」には、病気や老化の原因となる活性酸素を打ち消す、強い抗酸化作用があります。過剰に増えた活性酸素が減れば、インスリンの効きもよくなります。

リコピンは、アディポネクチンを増やすように働くだけでなく、それ自体の抗酸化作用も非常に強力です。その強さは、ビタミンEの100倍以上ともいわれています。

興味深いことに、糖尿病のかたの血液を調べると、血中のリコピン濃度が低い傾向にあります。ですから、リコピンの摂取量を増やすことが、病状の改善につながるのです。

リコピンは加熱調理用(水煮缶)や、ジュース、ケチャップなどによく用いられる赤色系トマトのほか、ミニトマト等にも多く含まれています。

1日におけるリコピンの摂取量は15mgを目標とするといいでしょう。一般的な生食用トマトなら3~4個、ミニトマトなら10~12個、トマトジュースならコップ1杯、ケチャップなら大さじ4が目安です。

一方、みそのメラノイジンには、食物繊維のように糖の吸収スピードを抑えるほか、食後に血糖値が急激に上がるのを防ぎ、インスリンの効果を促進する働きもあります。

ちなみに、メラノイジンは、大豆が発酵・熟成される過程で生み出される褐色色素のため、八丁みそのような褐色の濃いみそほど、多く含まれています。みそ選びの際に、覚えておくといいでしょう。

トマトのリコピンとみそのメラノイジンに共通していえることは、熱に強く、加熱しても効果は落ちないという点です。そのため、トマトとみそはさまざまな形で料理に取り入れることができます。

塩分の過剰摂取に気をつける必要はありますが、調理に制限がないのは大きな強みの一つです。トマトみそ汁をはじめ、上手にふだんの生活に取り入れて、糖尿病の予防・改善につなげましょう。

この記事は『壮快』2019年3月号に掲載されています。

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