【ソニー・パナソニック・フナイ】チューナー非内蔵4Kテレビ6機を〇×評価

家電・AV

4Kテレビは、「4Kチューナー」が内蔵されているか、内蔵されていないか、で大きく区別される。ここで取り上げるのは、チューナーが内蔵されていない「4Kチューナー非内蔵モデル」。ソニー、LG、パナソニック、フナイなどの6機種を○×形式で評価した。

チューナー非内蔵4Kテレビ サイズ別〇×大図鑑

4Kテレビは、「4Kチューナー内蔵」と「4Kチューナー非内蔵」に大きく分けられる。ここでは、4Kチューナー非内蔵モデルを中心に、各社の注目機を○×形式で評価していこう。

チューナー内蔵4Kテレビの〇×評価はこちら

55V型

55V型・有機EL ソニー KJ-55A8F

実売価格例:30万2270円

●HDMI×4
●年間消費電力量/241kWh
●サイズ/幅122.6cm×高さ71.7cm×奥行き25.5cm
●重量/22.2kg

●チューナー
地デジ ×2、BS/110度CS×2
●4Kネット動画
Netflix、YouTube、Amazon

電源オン時の起動時間や、ネット動画アプリの起動時間は大幅に短縮されたが、チャンネル切り替えはやや遅め。

評価
厚みのある絵作りで音質もバランスが良好。地デジは精細さ不足

ソニーの有機ELスタンダードモデルで、壁掛けも容易なスリムデザインが特徴的。同社有機ELの初代機、A1シリーズの後継だが、テーブルトップ型のスタンドの採用により、設置時の自由度を改善している。テレビの基本技術はA1を踏襲しているが、画質や音質は成熟度を増している。高コントラストパネルの持ち味を生かしたメリハリの利いた、厚みのある絵作りは、いかにもソニー流。明るい部分のノイズも抑えられ、店頭でのアイキャッチ効果は格別だ。音質も帯域バランスが整い、人の声がだいぶ聴きやすくなった。

明るく、色鮮やかな絵作りは見ごたえがあるが、暗部のノイズは目につきやすい。4K映像や良質なBDソフトの再生に比べると、地デジの精細感が物足りない。輪郭が太く、ディテールの情報が埋もれがちで、肌のトーンが人工的だ。

65V型

65V型・有機ELLG OLED65C8P

実売価格例:33万7990円

●HDMI×4
●年間消費電力量/280kWh
●サイズ/幅144.9cm×高さ83.1cm×奥行き23.0cm
●重量/26.1kg

●チューナー
地デジ ×3、BS/110度CS×3
●4Kネット動画
Netflix、YouTube、Amazon

直感的な操作が可能なマジックリモコン。コンテンツ検索やアプリの起動も、音声で操作できるAI機能を搭載。

評価
精細感に富んだ映像で質感がきめ細かい。2K→4K変換が弱い

多彩なラインアップを誇るLGの有機EL機の中でも、主力となるC8Pシリーズの65V型モデル。新映像エンジン「α9 Intelligent Processor」を搭載した意欲作で、65V型の有機ELテレビとしては、お値打ち感がある。従来気になった目障りなノイズが丁寧に抑えられ、精細感に富んだ滑らかな映像が持ち味。4K映像は、映像そのものの質感がきめ細かく、粗っぽさはない。Dolby VisionやDolby Atmos対応もうれしい。声の明瞭度が高く、自然な広がりが得られるスピーカーシステムも良好。

2K→4K変換はまだ弱く、地デジと4Kコンテンツの画質の差が大きい。2K→4K変換能力の高いBDレコーダー、パナソニック・DMR-SUZ2060を組み合わせるのがおすすめ。地デジ、BSの画質が向上し、4K放送も楽しめる。

65V型・VA液晶 ソニー KJ-65Z9F

実売価格例:44万9700円

●HDMI×4
●年間消費電力量/323kWh
●サイズ/幅145.3cm×高さ90.6cm×奥行き31.4cm
●重量/29.5kg

●チューナー
地デジ ×2、BS/110度CS×2
●4Kネット動画
Netflix、YouTube、Amazon

上部に「ネット動画」ボタンが配置され、「Netflix」や「YouTube」などを直接起動できる。

評価
広視野角技術で液晶の弱点を克服。4Kチューナーの非搭載が残念

液晶ブラビアの最高峰、Z9Fシリーズの65V型モデル。液晶は倍速駆動のVAパネル。そこに、直下型のLEDバックライトを駆使したきめ細かな部分駆動と、独自の広視野角技術、X-Wide Angleを投入し、液晶の画質3悪(狭い視野角、黒浮き、動きボケ)を払拭する。実際、その効果は絶大だ。画面を斜めから見ても、明るさ、コントラスト、色再現ともに変化は少なく、ストレスを感じさせない。明るくメリハリを利かせた絵作りは、従来どおり。2K→4K変換の精度にも磨きがかかり、地デジは全体のフォーカスが締まり、輪郭部もスッキリと描き出す。

4Kチューナーが内蔵されていないのが残念。X-Wide Angle用のフィルムの影響か、画面の表面が細かな凹凸を伴ったノングレア処理を施しており、人肌や髪の毛、あるいは生地の質感など、描写が若干弱い。

65V型・有機EL ソニー KJ-65A9F

実売価格例:64万7870円

●HDMI×4
●年間消費電力量/283kWh
●サイズ/幅144.9cm×高さ83.2cm×奥行き32.0cm
●重量/35.6kg

●チューナー
地デジ ×2、BS/110度CS×2
●4Kネット動画
Netflix、YouTube、Amazon

A8FやZ9Fと同じリモコンで、中央に音声検索が可能な「Googleアシスタント」ボタンを配置している。

評価
2K→4K変換は輪郭がスッキリ。もう少し自然な絵作りに期待

液晶のZ9Fシリーズとともに、「ブラビア・マスター・シリーズ」として展開する有機ELのA9Fシリーズ。有機ELパネルは従来同様だが、処理速度の速い(従来比で2倍)次世代の映像プロセッサー「X1 Ultimate」を投入している。4K映像はハイライトが伸びて、黒がキリッと引き締まる高コントラスト調の絵作り。ディテールの再現性といい、微妙な質感の描き分けといい、総合的な表現力に磨きがかかっている。2K→4K変換も、オブジェクト型超解像の威力か、輪郭がスッキリとして、きめ細かな描写が可能になった。

基本的な情報量が増えて、絵作りの幅も広がったが、その優位性が、最終的な映像としてまだ生かしきれていないように感じる。家庭用テレビなので、化粧することは否定しないが、もう少し自然なタッチで、見栄えのする描写を期待したい。

65V型・有機EL パナソニック TH-65FZ950

実売価格例:42万9460円

●HDMI×4
●年間消費電力量/217kWh
●サイズ/幅144.9cm×高さ89.8cm×奥行き30.0cm
●重量/33.5kg

●チューナー
地デジ ×3、BS/110度CS×3
●4Kネット動画
Netflix、YouTube、Amazon

「アレコレ」ボタンを押すと、放送番組や録画番組、ネット動画を一覧表示してくれ、見たい番組が探しやすい。

評価
中間調の明るさに余裕が感じられる。声が画面下から出る違和感あり

プラズマテレビの開発で培った色再現のノウハウを組み込んだ映像エンジン、「ヘキサクロマドライブ プラス」を搭載したパナソニック第2世代の有機EL。さまざまな明るさに対して、自然な色調を実現するもので、特に暗部の色再現性が安定している。実際の映像を見ても、解像感、S/N、色再現と、全体のバランスがいい。総じてノイズの粒子が細かく、明部、暗部を問わずS/N感が良好。暗部から中間調、そしてハイライトにかけて、淀みのない、鮮やかな発色で再現する。また、肌のトーンも自然で明るい。

画質は、上位機のFZ1000と変わらないが、スピーカーシステムが異なり、 人の声が画面下から聴こえるという違和感がある。近々、発表が予定される新型機では、4Kチューナー搭載に加え、Dolby Vision、HDR10+にも対応するという。その存在も気になる。

65V型・有機EL フナイ FE-65U7010

実売価格例:35万6184円

●HDMI×4
●年間消費電力量/199kWh
●サイズ/幅144.9cm×高さ85.4cm×奥行き26.7cm
●重量/43.0kg

●チューナー
地デジ ×3、BS/110度CS×3
●4Kネット動画
Netflix、YouTube

「Netflix」「dTV」「YouTube」の専用ボタンを装備。放送中、「録画」ボタンを押せば、すぐ録画開始。

評価
1Tバイトの内蔵HDDに2番組同時録画可能。地デジは輪郭が太め

ヤマダ電機グループで独占販売するFUNAIブランド初の有機ELテレビだ。画面をやや上向きに傾斜させたデザインが特徴的で、通常のテレビ台だけでなく、床置き設置にも対応。画質は、メリハリの利いた高コントラスト調の絵作りで、発色も鮮やかだ。ただ、「Netflix」のDolby Vision収録作品は、比較的穏やかなトーンで、落ち着いた画調として再現される。1TバイトのHDDを内蔵し、番組ジャンルや出演者など、登録した項目に沿って自動録画する「おまかせ録画」が可能。視聴中でも、2番組を同時にテレビのHDDに録画できる。

メリハリ調の画質は見栄えがするが、色再現が単調で、細かなノイズも目につきやすい。地デジは全体に輪郭が太く、フォーカスが甘い。「おまかせ録画」機能を生かす意味でも、2K→4K変換回路を強化したい。

※価格は記事作成時のものです。

解説/藤原陽祐(AV評論家)イラスト/中山昭(絵仕事 界屋)

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特選街web編集部

1979年に創刊された老舗商品情報誌「特選街」(マキノ出版)を起源とし、のちにウェブマガジン「特選街web」として生活に役立つ商品情報を発信。2023年6月よりブティック社が運営を引き継ぎ、同年7月に新編集部でリスタート。

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