【高血圧対策】84歳医師の血圧安定の秘訣は「朝ナッツ」と「夜のもも裏伸ばし」

美容・ヘルスケア

幸せな一生を過ごすためと思えば、食事に気を遣ったり、体を動かしたりするのも、案外楽しいものです。私は毎日の朝食に、自家製の粉末ミックスナッツを生野菜サラダにたっぷりのせ、黒酢とオリーブオイルをかけて食べます。【解説】村田高明(元慶應義塾大学講師・漢方医)

解説者のプロフィール

村田高明(むらた・たかあき)
元慶應義塾大学講師・漢方医。1960年慶應義塾大学医学部卒業。南多摩病院院長、慶應大学医学部産婦人科講師などを歴任。日本東洋医学会名誉会員・専門医・指導医。日本臨床漢方医会監事。日本産科婦人科学会認定医。日本医師会認定産業医。

高血圧による頭痛が起こらなくなった!

元来、我が家は高血圧の家系で、父と、父方の祖父は、脳卒中で亡くなっています。私もその血を受け継いだようで、60歳のころから血圧が上がってきました。

当時、私は1日に200〜300人もの患者さんを診察していました。産婦人科だったので、24時間体制で分娩にも対応していました。そんな激務がたたったのか、ある日血圧を測ると、最大血圧が200mmHgに達していたのです。

すぐに降圧剤の服用を開始し、食事の塩分を控えました。しかし、管理職でもあったため、多忙な生活は変わらず、高血圧に伴う頭痛もありました。

そこで、少ない時間を使って効率的に体を動かしたり、食生活を改善したりしたのです。

おかげで今は、ごく弱い降圧剤は飲んでいるものの、最大血圧が130〜140mmHg、最小血圧は70mmHg、頭痛もほとんど起こらないという良好な状態を保っています。

私が行っている高血圧予防法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

まず、私の食生活で特徴的なのは、ナッツ類を多くとる点でしょう。

時間のあるときに、クルミとマカデミアナッツ、ピーナッツ、カシューナッツ、アーモンドをミキサーで粉末にし、瓶に保存しています。

そして、毎日の朝食に、この自家製の粉末ミックスナッツを生野菜サラダにたっぷりのせ、黒酢とオリーブオイルをかけて食べます。ナッツはすべて無塩ローストです。

食後には、指の運動も兼ねて、ピスタチオナッツを殻をむきながら5個ほど食べます。

ナッツ類は、血管をしなやかに保つ作用があります。動脈硬化を防止し、高血圧の予防につながるのです。

何歳になっても血管と筋肉は鍛えられる

高血圧の改善には、運動も大事です。しなやかな筋肉を増やせば、血流量が増え、血管が拡張して血圧が降下します。

また、柔軟な筋肉は、収縮と弛緩がスムーズに行われるので、末端の血液が心臓に戻りやすくなります。全身の血流がよくなることでも、高血圧の改善が期待できるのです。

また、私は70歳で大学系列病院を退職してから、体を動かす機会が激減し、体の柔軟性と筋力、バランス感覚の低下を実感していました。肩や腕が痛むこともありました。

そんなことから、ストレッチや筋力トレーニングを積極的に始めました。とはいえ、私はスポーツの経験がないので、テレビや雑誌で情報を収集し、自宅でできるトレーニングをしています。

まず、朝目が覚めたら、寝床の中で手のひらの握り開きと、足の指の曲げ伸ばしをします。年の数だけ、84回です。

それから、ゆっくり起き上がり、6時25分からNHKで放映されている「テレビ体操」を行います。10分間で全身を動かすことができ、効率的です。

テレビ体操のなかでも、もも裏を伸ばして鍛える体操(やり方は下記を参照)は、お勧めです。下半身の筋肉を鍛えると同時に、股関節の柔軟性とバランス感覚が高まります。さらに、太ももの裏が伸びるので、姿勢がよくなります。

《もも裏伸ばしのやり方》

足をそろえて、まっすぐ立つ。

左足を前に出し、両ひじを曲げて床と水平になるまで腕を上げる。

上体を倒しながら腕を斜め下にまっすぐ伸ばす。

上体を起こしながら、腕を横に伸ばす。(1)の体勢に戻る。左右2回ずつ行う。

旅行先などで、テレビ体操を視聴できないときも、この体操だけは行うようにしています。

【ストレッチ】
足をそろえて立ち、勢いをつけず、ひざを曲げずに手を下に伸ばす。30秒キープ。

夜寝る前には、太ももの裏がしっかり伸びるように、前屈を30秒間行っています(上記を参照)。体の末端まで血流をよくするためには、下半身の大きい筋肉を柔軟にすることが重要だからです。

高齢になるにつれ、足が上がらなくなり、つまずきや転倒が増えますが、これは下半身の筋力と柔軟性の低下が原因です。こうした意味からも、下半身を強化する体操は、皆さんにぜひ行ってほしいと思います。

血管と筋肉を柔軟にする」ことを目的とした、食生活と運動のおかげでしょう。私は84歳の今も、おなかは出ていないし、姿勢がいいとほめられます。また、非常勤ではありますが、現在もいくつかのクリニックで診療を続けています。

年を取ると体力が衰え、同時に気力も低下する人が多いようですが、私はむしろ、やりたいことがどんどん増えています。やりたいことをやるためには、健康でなければなりません。

幸せな一生を過ごすためと思えば、食事に気を遣ったり、体を動かしたりするのも、案外楽しいものです。何歳になっても、血管と筋肉は鍛えられます。ぜひ皆さんも、今日からできることを始めてください。

この記事は『壮快』2019年4月号に掲載されています。

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