高麗手指鍼では、手は全身の各部位と対応していると考えます。この、体に対応する手の部位にテープを貼ると、体にはっきりとした反応が現れます。例えば、薬指の第2関節から指のつけ根に伸縮性のあるテープを巻くと、二の腕の引き締め効果が期待できます。【解説】三嶋ノエル(はりきゅう庵リテア(仙台)院長・鍼灸師・国際中医専門員)
解説者のプロフィール
三嶋ノエル(みしま・のえる)
はりきゅう庵リテア(仙台)院長・鍼灸師・国際中医専門員。
薬指にテープを巻くと二の腕が引き締まる
手指の働きは、日常生活にとても深くかかわっています。私は、手指のツボを調べるなかで高麗手指鍼を知り、その治療の名人といわれる宮本勝啓先生と出会いました。その宮本先生から伝授していただいたのが、「ダイエットテープ」などのテープ療法です。
高麗手指鍼では、手には気(一種の生命エネルギー)の通り道である経絡が走っていると、とらえます。この経絡を刺激して、気の流れを持続的に促進するのがテープ療法で、その代表的なものに「薬指テープ」という健康法があります。
一方、高麗手指鍼では、手は全身の各部位と対応しているとも考えます(下図参照)。
右手が体の右側、左手が左側、手のひら側が体の前面、手の甲側が背面に当たります。中指の指先から第1関節の腹が顔、第2関節までが首、第2関節から指のつけ根までが胸、手のひらが腹に対応することになります。人差し指と薬指は腕から手、親指と小指は足に対応します。
この、体に対応する手の部位にテープを貼ると、体にはっきりとした反応が現れます。
例えば、薬指の第2関節から指のつけ根に伸縮性のあるテープ(キネシオテープなど)を巻くと、二の腕の引き締め効果が期待できます(やり方は下記参照)。
同様に、おなかや太もも、フェイスラインの引き締め、バストアップやヒップアップなどにも応用したのが、いわゆる「ダイエットテープ」です。
私が現在、主に行っているテープ療法は、このダイエットテープです。
美容効果以外に副次的効果があるのも魅力
女性は加齢とともに、下腹部がやせにくくなります。そこで今回は、ウエストと下腹部を引き締めるダイエットテープの貼り方を紹介しましょう。
手のひらを広げると、中央に少しへこんだところがあります。これは、人体でいうとヘソに当たります。ヘソの少し上がウエストラインで、そこから下が下腹部になります。この、ウエストラインから下をすっぽり覆うように、50mm幅のテープを貼ります(やり方は下記参照)。
ポイントは、手のひら側はきつく貼り、甲側は緩く貼るということです。これを両手に行います。右手がおなかの右側、左手がおなかの左側に対応します。片方の手だけでは、片側しか引き締まりません。
貼る時間は1時間を守ってください。それ以上貼ると、血流が悪くなるので、気をつけてください。貼る時間帯はいつでもかまいませんが、手を動かさない時間がいいでしょう。
また、テープは寝る前に必ずはがしてください。貼ったまま眠ってしまうと、おなかの緊張が取れず、体調をくずす原因になります。
テープ療法は目的の美容効果以外に、副次的効果があるのも魅力です。これは、高麗手指鍼の対応箇所に、テープの刺激がダイレクトに働きかけるだけでなく、同時に経絡も刺激しているからだと考えられます。
テープ療法には、大きな可能性があります。貼っているうちにあちらこちらがよくなると驚く患者さんもいます。しかも、誰にでも簡単にできて、お金もあまりかかりません。美容と健康を求める多くの人にお勧めしたいセルフケアです。
テープの貼り方
《二の腕やせに効くテープの貼り方》
※左手で説明しますが、右手も同様に貼ります。
【用意するテープ】
薬指のつけ根の周囲より少し短い長さに、25mm幅の伸縮性のあるテープを切る。そのテープの幅が、薬指の第2関節からつけ根までより少し短い長さになるように、はさみを入れる。それを2本用意する。
【貼り方】
❶薬指の第2関節からつけ根の甲側の中央に、テープの中央がくるように当てる。小指側の半分のはく離紙をはがし、甲側の中央を貼って固定したら、グーッと小指側に引っ張る。
❷薬指の甲側から手のひら側の小指寄りまできつく貼り、手のひら側の中央は緩く貼る。
❸中指側のはく離紙もはがし、軽く中指側に引っ張り、甲側の中指側をきつめに貼ったら手のひら側は緩く貼る。
❹テープは1日1時間貼ったら必ずはがす。
《ウエストやせに効くテープの貼り方》
※左手で説明しますが、右手も同様に貼ります。
【用意するテープ】
50mm幅の伸縮性のあるテープを、手の甲の左右の幅の2倍より少し短い長さに切る。それを2本用意する。
【貼り方】
❶手のひら側の半分のはく離紙をはがし、小指側の側面にテープの中央を貼って固定する。
❷グーッと親指側に引っ張り、手のひら側にきつくしっかり貼ったら、親指の甲側に巻いて留める。
❸手の甲側のはく離紙もはがし、手の甲側に緩く貼る。
❹テープは1日1時間貼ったら必ずはがす。