CDにハイレゾ音源を収めたMQA-CD。ファイルサイズの大きなハイレゾがどうしてCDに収まるのかが不思議ですよね。ここでは、どのように収録しているのか、MQA-CDをハイレゾ相当の音質で聴くための方法を、AV評論家の鴻池さんに聞いてみましょう。
あなたの疑問にズバリお答え!
MQA-CDは、なぜハイレゾ収録が可能?
読者から質問
最近、CDにハイレゾ音源を収めているというMQA-CDの存在を知りました。そこで、「再生する機器としてはどういうものが必要か」「リッピングしてもハイレゾ音源なのか」「そもそもファイルサイズが大きいはずのハイレゾ音源がどうしてCDに収まるのか」など、解説をお願いします。(T・Oさん 京都府 42歳)
専門家の回答
編集部:
この質問は、AV評論家の鴻池賢三さんに聞きましょう。
専門家:
「オーディオファンにとって、CDは定番中の定番メディア。その歴史は35年を超え、世界中に行き届き、最も成功したメディアといえます。
CDがこれほどまでに普及したのは、しっかりした規格であることが大きな理由の一つと考えられます。CD規格の『Compact Disc』のロゴが付いたディスクは、世界中どこに持って行っても、同じロゴが付いたプレーヤーで再生でき、これは、当たり前のよういて、かなりすごいことです。
こうした流れを考えると、ご指摘のようなMQA-CDについて疑問を持たれるのも当然のことです。
まず、『そもそもファイルサイズの大きなハイレゾがどうしてCDに収まるのか』が不思議ですよね。先述のとおり、CDの特徴は、規格がしっかりしていて互換性がパーフェクトなことですから、大きな矛盾を感じます。
答えですが、端的には、CDで扱うデジタル信号(PCM44.1kヘルツ/16ビット)に準拠しつつ、ハイレゾの大きな特徴の一つである20kヘルツ以上の高域音を、CDで扱える20kヘルツ以下の部分に、聞こえないように折り畳んで入れてしまうということです。
そもそも、人間の聴覚は、20kヘルツ以上の音を知覚できず、音の情報量としても非常に小さいので、こうした芸当が可能です。
ほかにも、詳細は公表されていませんが、データを間引いて効率的にデータ量を削減する手法が用いられているようです。つまり、真正のハイレゾ音源と同等でないという点には留意が必要です」
編集部:
どのように収録しているのでしょうか?
専門家:
「イメージとしては、大きめの石ころが詰まった箱を思い浮かべるといいでしょう。この場合、超高域成分は砂にたとえることができ、箱(CD)のサイズを大きくしなくても、すき間にいくらかの砂を詰め込むことができます。
一般的なオーディオシステムで再生すると、この砂には誰も気がつきませんが、MQAに対応したシステムで再生すると、砂も拾い上げて元どおりの音として組み立てるといった具合です。
MQA-CDをハイレゾ相当の音質で再生するには、MQAに対応したCDプレーヤー、あるいは、通常のCDプレーヤーで再生して得たデジタル出力をMQA対応のDACに入力すればOKです。
なお、MQA-CDをリッピングしたWAVデータもMQAハイレゾデータですが、再生の際には対応したソフトウエアかハードウェア(DAC)が必要になります。
このように、発売タイトルさえ充実すれば、MQA-CDは最もシンプルにハイレゾを楽しめる方法かもしれません」
編集部:
なるほど。了解しました!