オフィスの環境をよくするためには、設備だけではなく、そこで働く「人」も重要なポイント。その人が放つ体臭、特に「口臭」は、コミュニケーションをはじめ、業績の悪化まで引き起こしてしまう恐れもあると調査でわかっています。ライオンは、この職場の口臭対策として、撮るだけでニオイを判定する「口臭チェックアプリ」を開発しました。
深刻なオフィスの「ニオイ」問題
先日、未来のオフィス空間『point 0 marunouchi』において実証実験が開始されました。これは働き方改革を考える上で重要な「理想的なオフィス空間とは何か?」を追求することを目的にしたものです。
共創するのは、アサヒビール(株)、(株)オカムラ、 ダイキン工業(株)、 東京海上日動火災保険(株)、パナソニック(株)、 ライオン(株)、 (株)MyCity、 TOA(株)、 TOTO(株)。例えば、アサヒビールはカフェコーナーを、オカムラはオフィス用品を、ダイキンは空調を、パナソニックは照明をといった具合です。それぞれの会社の得手な技術を使い、「いいオフィス環境を作り出そう」という狙いがあります。
この中で、ライオンの役割は何でしょうか?そう。人が気にする「ニオイ」の制御です。オフィス環境だけでなく、オフィスにいる「人」も重要なポイントとなるわけです。
気になるニオイのトップは「口臭」
舌の写真でニオイを判別するアプリ
営業マンは、昼ギョウザを食べてはダメ。というのは、よく聞く話です。では、自分のニオイ、他人のニオイ。どんなニオイが気になるのでしょうか?
2017年、20〜50代男女、842人にライオンが調査した結果によりますと、気になる自分のニオイでは、口臭(46.9%)、汗臭さ(39.5%)、足・靴下のニオイ(34.3%)、加齢臭(20.5%)、タバコ(15.9%)の順、一方、気になる他人のニオイでは、口臭(65%)、汗臭さ(51.1%)、タバコ(44.2%)、加齢臭(40.9%)、わきが(38.2%)です。
共にトップは「口臭」。今後オフィスで一番重要になってくるのが「顔を見ながらの話し合い」になるはずですから、今まで以上に「口臭」は問題視される可能性があります。
しかしニオイは、臭いと思っても言えないモノ。できれば、自ら気付き、自ら直して欲しいものです。そんな時、便利なのがスマホで使える口臭チェックアプリ「RePERO」です。
口臭ケアサポートアプリ RePERO | ライオン株式会社
口臭リスクチェックを通じ、オーラルケア行動を実践することで口臭不安から解放し、「お口の自信」というコトを提供することで、活発なコミュニケーションをサポート。
repero.lion.co.jp
舌を見れば口臭が分かる!?
口臭の主な原因
口臭は、大きく4つに分けられるそうです。「生理的口臭」「病的口臭」「外因的口臭」「心因性口臭」です。うち、「心因性口臭」は、実際ニオイがないのに、自分は口が臭いと思い込んでしまうこと。若い女性に結構多いとか。が、これは、今回主題から外れるので、置いておきます。
「生理的口臭」というのは、口腔内の不衛生や起床直後、空腹時など、口の中に残ったタンパク質を食べて細菌が増殖し、発生する口臭のことで、これは健康な人にも見られるものです。
「病的口臭」は、歯周病、ひどい虫歯など、口の中の病気、もしくは糖尿病、肝臓病のような体の病気が原因の口臭です。これは、病気を治療すれば治ります。
「外因的口臭」は、ニンニク、ニラなどのニオイの強い食べ物、あるいはお酒、タバコなどによる口臭です。時間と共になくなります。
実は、最後まで口臭の原因として残るのが「生理的口臭」です。「RePERO」は、この生理的口臭を舌写真で判定できるアプリです。
「舌」を自撮りして口臭を判定
RePEROは、舌を自撮り・判定するアプリですが、実際使って見ると拍子抜けするくらい簡単です。
“ライオンらしい”というと思うのは、使用者端末に「舌」写真は残らないこと。そして、ビッグデータ化されるのですが、個人情報特定はできないように配慮して設計されている点です。
判定はリスクレベルで表されます。
口臭を自己判断するために必要な知識
朝起きぬけや昼前に口臭がきつくなる理由
では、すぐさま対応すればイイかというと、そうではありません。実は口臭は一日の中でも目まぐるしく変わるからです。
口腔内で細菌が増えるのは、何もしていないからです。唾液は殺菌作用があります。特に赤ちゃんのはスゴく、いろいろなモノを口に含んでも問題が起きないのは、このためです。要するに、唾液がでないと、細菌数は増え、唾液が出ると下がります。つまり、朝起き抜けが、一番臭うわけです。これを『モーニングブレス」と言います。で、朝御飯を食べると、唾液が出るので口臭は臭わなくなります。その後、昼食まで何も取らないと、また細菌は増えます。で、ピークは昼食前。こちらは「ハンガープレス」と言います。
こんなモノですから、昼食前に多少口臭がキツくなっても気に病むことはないのです。
ライオンが勧める3つの口臭対処法
とはいうものの、口臭が気になるので、ご飯ばかり食べていては、別の問題が発生します。ライオンが勧めている対処は次の3つです。
1つめは歯磨き。
細菌増殖の元になるタンパク質=歯垢を除去することです。当然、歯間ブラシでもOKです。ポイントは丁寧に磨くこと。また、殺菌成分、歯垢除去などの成分が入ったハミガキもありますので、効き目の高いハミガキを使うのもそれなりの効果が期待できます。
2つめは、デンタルリンス・マウスウォッシュを使うモノ。
こちらは細菌を洗い流し、別のカオリでマスキング。もちろん殺菌効果のあるモノもあり、そちらを選ぶのも手です。
3つめは、舌苔の除去です。
舌の上の白い部分。細菌が繁殖しやすい部分なのですが、舌苔と言います。これを除去してやるわけです。舌ブラシ、歯ブラシなどで奥から手前へ、ゆっくり動かしキレイにします。ただ舌は、味蕾など味を感じるデリケートな部分でもあるので、あくまでも丁寧にです。また、ハミガキと違って、1日1回が目処です。
まとめ
「人」を活かすオフィス作りを!
令和の時代のオフィスは、平成のオフィスと違い、ただ便利なだけでなく、人を活かすことが最大命題にあることがポイントになることがわかります。冒頭の実証実験中のオフィス「point 0 marunouchi」には、ニオイ対策にTOTOが監修したシャワー室を伴った洗面所が設置されています。
口臭をはじめとする体臭は、気になる割りに客観的に見ることができなかったモノです。生理的要因の口臭を、アプリで手軽に「見える化」する試みが社内のコミュニケーションをより活性化するはずです。
また、女性が注意したいのは、意外にも「香水」。こちらは、先ほど上げた気になる他人のニオイの第6位(31.2%)。このように、カオリ・ニオイの問題は、嗜好の問題もあるため、今後も新しい対策を講じる必要がありそうです。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング、ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。