逆流性食道炎の原因「ストレス」を解消する入浴方法 毎日湯舟につかるのがおすすめ!

美容・ヘルスケア

入浴は全身の健康機能を高めるだけではなく、特定の病気に対しても効果があると考えられるようになっています。逆流性食道炎についても、入浴がいい影響を及ぼす可能性があります。逆流性食道炎の原因はさまざまですが、なかでも重要なのがストレスだと思っています。入浴が持つ、すばらしいストレス解消効果が役に立つのです。【解説】早坂信哉(東京都市大学教授・医師・医学博士)

解説者のプロフィール

早坂信哉(はやさか・しんや)
東京都市大学教授・医師・医学博士。1968年、宮城県出身。自治医科大学医学部卒業後、医師免許を取得。浜松医科大学医学部講師、同大准教授、大東文化大学教授などを経て現職。医師として入浴や温泉に関する医学的な研究に取り組んでいる。著書に『お風呂研究20年、3万人を調査した医師が考案~最高の入浴法』(大和書房)などがある。

毎日入浴する人は要介護の危険性が3割減

私は「温泉療法専門医」として、過去20年にわたって日本各地の温泉を探求すると同時に、入浴という行為の効果について、延べ3万8000人を対象に調査を進めてきました。

この経験から確信したことは、「入浴は、誰でも実践できる最も優れた健康法」だということです。

お風呂に入ることは、手軽で安価。毎日無理なく実践できて、しかも効果は抜群なのです。こんなに最高の健康増進設備が、全国各地ほとんどの家に備えつけられている国は、世界でも日本だけでしょう。

もっとも、「お風呂に入るのは確かに気持ちいいけど、そんなに健康に役立つの?」と思われるかたもいらっしゃるかもしれません。

入浴は、日本人にとってあまりにも身近な行為。だからこそ、かえって気づきにくいのですが、実はその健康作用は、医学的にもきちんと証明されているのです。

例えば、免疫機能を向上させる、自律神経のバランスを整える、血流を改善させる、基礎代謝を高める、精神的なストレスを軽減させるなど、驚くほど多様な効能があることがわかっているのです。

私たちのチームが行った、1万4000人弱の高齢者を対象にした調査によると、「毎日湯船につかって入浴している人は、そうでない人に比べて、3年後に要介護になる危険性が29%も低かった」ことが判明しました。ただお風呂につかるというだけで、健康寿命を延ばすと考えられるのです。

しかも、入浴は、全身の健康機能を高めるだけではなく、特定の病気に対しても効果があると考えられるようになっています。逆流性食道炎についても、入浴がいい影響を及ぼす可能性があります。

では、なぜ、入浴が効果的なのでしょうか。

逆流性食道炎は、胃液がなんらかの原因で胃から食道に逆流し、食道の粘膜を傷つける病気です。胃液は、胃の中の食物を消化するために強い酸性を持っています。胃の粘膜には胃酸の消化力を防ぐ機能がありますが、食道の粘膜にはその機能がないため、胃酸によって炎症を起こしてしまうのです。

逆流性食道炎の原因としては、加齢や姿勢の悪さ、肥満、脂肪分の多い食事、過食、喫煙などさまざまです。私は、なかでも重要なのがストレスだと思っています。

精神的なストレスが、胃炎や胃潰瘍と深い関係にあることは、昔からよく知られてきました。胃炎や胃潰瘍を発症し、その状態を放置すると、かなり高い確率で逆流性食道炎を罹患することになります。

そこで、入浴が持つ、すばらしいストレス解消効果が役に立つのです。

浴槽に入ると、体が軽くなったように感じます。これが「浮力作用」です。水中では、体重が「10分の1」程度になります。地球上では、体には常に重力がかかっていますが、水中にいる間だけ重力から解放されるのです。

重力から解放され、関節や筋肉にかかる緊張が緩むことで、心身がリラックス状態になります。それがストレスを軽減してくれるのです。

40度のお湯に10分つかり42度のお湯に5分つかる

お風呂につかると、温熱効果が得られるのはいうまでもありません。血液の循環がよくなって新陳代謝が活発になり、体の疲れが取れてスッキリします。

また、毎日入浴することで、幸福感をも高めてくれます。私たちの研究では、お風呂に毎日入る人には、幸福度が高い人が多いとわかっています。毎日入る人と入らない人とでは、その幸福度で10%もの差がつくのです。

幸福度が高いということは、それだけストレスが少ないということでしょう。そうなれば、胃腸にかかる負担も減るわけです。

さて、逆流性食道炎の原因となるストレスを解消するためには、次のような入浴法をお勧めします。

まず、40度くらいのぬるめのお湯に10分ほどつかってリラックスしましょう。

それから、お湯の温度を42度くらいまで上げて、さらに5分くらいつかるようにしてください。

胸やけは、胃液が出過ぎていることによって起こります。心身をリラックスさせてから熱いお湯につかると、交感神経のスイッチが入ります。これによって、内臓の働きが抑えられて胃液の分泌も少なくなり、症状が緩和するでしょう。

逆流性食道炎で悩んでおられるにもかかわらず、シャワーだけで済ましているかたはおられませんか?お湯につからなければ、お話ししたような優れた効果は得られません。

どうか、毎日湯船につかる習慣で、ストレスを洗い流してください。

交感神経のスイッチが入る!

この記事は『壮快』2019年8月号に掲載されています。

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