クレジットカード、スマホ決済、電子マネーのキャッシュレス決済は、いずれも、現金のようにどこでも使えるわけではないので、併用するのがおすすめ。3タイプの特徴を押さえて上手に使い分けよう。
ココがポイント3タイプの特徴を押さえて上手に使い分けよう
「クレジットカード」、「スマホ決済」、「電子マネー」のキャッシュレス決済は、いずれも、現金のようにどこでも使えるわけではないので、併用するのがおすすめ。
まず、クレジットカードは普及率、利用店舗数とも断トツ。発行される種類も多いから、自分に合ったカードが必ず見つかるだろう。
用途に合わせ、2枚を使い分けるのもおすすめだ。利用限度額が高く、ある程度、高額な支払いに向くので、利用額に応じて付与されるポイントの還元率が、1%以上のサービスをねらいたい。
次に、注目度が高いスマホ決済。キャンペーン合戦が繰り広げられており、スマホに複数のアプリをインストールし、店により還元率の高いほうを利用するなどすれば、かなり得になるはずだ。中には、フリマアプリの売り上げがそのまま使えるサービスもある。
そして、Suicaやnanaco、WAONなどの電子マネー。端末にかざして支払う非接触決済で、スピーディに支払える。
コンビニやスーパーなど、ふだん使いに向く。おサイフケータイ対応スマホに複数のサービスをまとめておくと、より便利に使える。
クレジットカード
実はキャッシュレスの大黒柱的な存在だ!
歴史が古く、国民一人当たりの保有枚数が2.7枚といわれ、キャッシュレス決済の大黒柱的存在といえる。対応店舗も最も多く、不正利用時の補償や旅行時の損害保険付帯など、サービスも手厚い。近年はタッチ決済の店舗を増やすなど、機能性も十分。
スマホ決済
キャンペーンが多く、話題性はナンバーワン
ほぼすべてのスマホでアプリをインストールすれば利用できるので、導入しやすい。現在は、各社のキャンペーン合戦により、お得感が断トツだ。アプリをバージョンアップすれば、新たな機能も追加しやすいので、これからの発展にも期待できる。
電子マネー
電車の切符代わりにもなる、頼れるパートナー
何といっても、駅の改札や店の端末にかざすだけで利用できる手軽さが便利。決済手段としては、コンビニや駅の売店などでの少額決済に向く。プラスチックのカードだけでなく、多くのスマホでも利用できるので、キャッシュレス入門にも最適だ。
クレジットカード国内外に加盟店が多く、種類も豊富
クレジットカードの歴史は古く、日本では1960年代から利用されているという。
そのため加盟店が多く、国内外を問わず利用しやすいところが特徴。また不正利用された時の補償についても規約に定められているので、安心して利用できる。
種類も豊富で、カード会社が発行するプロパーカードに加え、複数の企業が提携して発行するカードも多い。1枚で複数の特典やポイントが得られるカードもある。
クレジットカードの選び方は、よく利用する企業や店舗が発行するものがおすすめ。中でも交通系、流通系、通信系のカードのメリットが高い。
交通系は鉄道や航空、流通系は家電量販店やスーパー、通信系は携帯電話会社などで、そのどれかを軸に選ぶと利用頻度が高く、ポイントもたまりやすい。
中には、電子マネーやスマホ決済とひもづけることで、ポイントを二重取りできるカードもある。
例えば楽天カードでは、楽天Edyへのチャージや楽天ペイにひもづけて使用することで、楽天スーパーポイントを二重取りできる。
クレジットカードには、年会費無料の一般カードから、国内の空港ラウンジが無料で利用できるなどの特典が付いたゴールドカード、さらにその上級のプラチナカードなどランクがあり、ステータス性も考慮して選ぶことも可能だ。
クレジットカードはこんな人に向く
□数千円以上の決済が多い
□海外によく行く
□不正利用が心配
□利用頻度の高いサービスがある
□マイルをためたい
●おすすめのクレジットカードはこれ!
スマホ決済キャンペーンで最もお得。利用店舗も急増
利用者が店舗に提示されているQRコードをスマホで読み取ったり、スマホに表示したバーコードを店舗側に読み取ってもらったりして支払うスマホ決済。特に、この1年ほどで多数のサービスが登場し、今では40以上にも及ぶといわれている。
中でも、下記の表にある七つは、広く利用されている。このほか銀行系や物販イベントなどで利用されるもの、コンビニ独自のサービスもある。
これほど普及した理由は、店舗にとっても利用者にとっても、導入しやすかったから。
クレジットカードや電子マネーの支払いには専用のリーダー端末が必要だが、スマホ決済は印刷したQRコードさえあれば利用でき、初期費用が少なくて済むので、中小や個人店舗でも導入しやすかった。
また、iPhoneやAndroidなど、スマホの機種やバージョンに関係なく、アプリをインストールすれば利用できるので、ユーザーも手軽に始められる。
サービス事業者が大規模なキャンペーンを展開したことも、スマホ決済が普及した理由の一つ。
中でも、ソフトバンクとヤフーの合弁会社であるPayPayが行った「100億円あげちゃうキャンペーン」は、家電量販店に人が殺到し、社会現象化したほど。その後、各社のキャンペーン合戦へと発展し、そのお得さからスマホ決済を始める人も多い。
決済手段はクレジットカードのほか、銀行口座からのチャージ、セブン銀行ATMからのチャージ、毎月の携帯電話料金との合算など、多彩。携帯電話料金との合算払いは手軽に利用できるので、初心者におすすめだ。
フリマアプリ「メルカリ」や、オークションサイト「ヤフオク!」の売上金がある人なら、それをメルペイやPayPayの支払いに利用できる。
また、毎月たまる携帯電話会社のポイントを、d払いやau PAYに充当することもできるので、クレジットカードや銀行口座を利用しなくても、スマホ決済を利用できる。
当初は利用できる店舗が少なかったものの、今ではコンビニやドラッグストア、スーパーなど、多くの店舗がスマホ決済を導入。
10月からスタートした「キャッシュレス・消費者還元事業」では、2020年6月30日までの期間中、対象店舗でキャッシュレス決済すると最大5%のポイント還元が受けられる。
この事業は、中小や個人店舗のキャッシュレス化を支援する意味もあり、原稿執筆時点で約93万店が登録を申請。国の後押しもあり、スマホ決済の利用者や利用できる店舗が拡大中だ。
そのほか、個人間の送金や、公共料金や税金の支払いもできる。最近では、保険や融資、投資のサービスを提供する事業者も登場するなど、ライフスタイル全般に機能が拡充されつつある。
スマホ決済はこんな人に向く
□スマホを利用している
□とにかく得がしたい
□メルカリやヤフオクの売上金がある
□携帯電話会社のポイントが毎月たまる
□LINEを利用している
●主要スマホ決済の比較
電子マネースピーディに決済でき、スマホでも利用可
専用リーダーにプラスチックカードなどをかざして支払う、非接触の決済手段。スピーディに決済できるのがメリットで、日本ではFeliCaという技術が採用されている。
2001年にJR東日本が改札にタッチして通過できるSuicaを開始し、後に買い物にも対応。2004年には、ドコモが携帯電話で利用できるおサイフケータイサービスをスタート。今ではスマホでも使え、手軽な決済手段として普及している。
電子マネーには、事前にクレジットカードからチャージして利用するプリペイド(先払い)型と、ひもづけたクレジットカードで支払うポストペイ(後払い)型の2種類がある。
プリペイド型ではSuica、楽天Edy、nanaco、WAON、ポストペイ型ではiDとQUICPayが代表的。
プリペイド型のメリットは、あらかじめ決めた金額をチャージするので使いすぎないこと。そして、組み合わせるクレジットカードによって、ポイントが二重取りできることだ。
一方、ポストペイ型はチャージする手間がなく利用できるのがメリット。
ただ、スマホで利用する場合には、FeliCaが搭載された機種に限られる。iPhoneはおサイフケータイには非対応だが、7以降の機種でSuica、iD、QUICPayが利用できる。
電子マネーはこんな人に向く
□少額の決済が多い
□コンビニによく行く
□首都圏に住んでいる
□イオンやイトーヨーカドーを利用する
□クレジットカードを持っている
●おすすめの電子マネーはこれ!
◆解説/綿谷禎子(ライター)