【手指・手首の痛みを改善】内在筋をほぐして再発を防ぐ簡単なストレッチ

美容・ヘルスケア

手の指や手首の痛みの多くは手の甲を構成する筋肉がかたくなるために起こります。また肩甲骨周辺の筋肉が固まって動きにくくなると、本来背中や肩が担うべき動きを腕や手が補完することになります。ですから姿勢には常に気をつけましょう。【解説】立林幸汰(徳永接骨院・淵野辺院院長)

解説者のプロフィール

立林幸汰(たてばやし・こうた)
徳永接骨院・淵野辺院院長。柔道整復師。姿勢を矯正することで自律神経のバランスを整え、自然治癒力の向上を目指す。

「体のクセ」を改善して再発予防に役立つ

手に痛みやこわばりを感じたら、まず、整形外科を受診して、重篤な病気がないかどうかをチェックするのが基本です。

ですが、「異常なし」と診断され、湿布や塗り薬などの対症療法でも改善しないという患者さんが、私の治療院に多く見えます。

私は、施術で患者さんの痛みや不調を緩和したあと、セルフケアをご紹介しています。いずれも簡単で、5分もかかりません。

施術の効果が持続するだけでなく、痛みや不調の原因となる「体のクセ」も改善します。再発の予防にもなるので、患者さんには「症状が消えてもセルフケアは続けてください」と指導しています。

今回ご紹介するのは、手や腕の痛みを改善するストレッチです。やり方は、下の図をご覧ください。

このストレッチは、内在筋(手の甲を構成する筋肉)をほぐし、指や手首の動きをスムーズにする効果があります。

手の指や手首の痛みの多くは、内在筋がかたくなるために起こります。

指先をくり返し使う作業や、重い物を扱う作業を日常的に行っていると、内在筋が疲労して動きにくくなります。すると、指や手首の関節、上腕の筋肉などに過度の負担がかかり、痛みやこわばりとなって現れるのです。

内在筋を効率よく伸ばしてやわらかくするには、手の指をV字に広げるストレッチが有効です。朝と昼と夜の1日3回は、必ず行いましょう。それ以上行ってもかまいません。

ただし、V字ストレッチを行って、痛みが悪化する場合は、すぐに中止してください

V字ストレッチのやり方

★(1)~(2)を1日3回以上行う。

両手の指を軽く曲げ、痛みのある側の人差し指と中指の間に、反対の手の人差し指と中指を差し入れる。差し入れた指を開いて5秒間キープ。中指と薬指の間、薬指と小指の間も、同様に行う。(差し入れる指はすべて人差し指と中指)。

親指と人差し指の間は、反対の手の親指と人差し指で、5秒間押し広げる。

内在筋を伸ばすV字ストレッチで、実際に手の痛みが改善した患者さんは、たくさんいらっしゃいます。ここで一例を紹介しましょう。

50代の女性Aさんは、親指のつけ根の痛みに悩んでいました。整形外科で腱鞘炎と診断され、ステロイド剤の注射治療などを続けたものの、症状は改善せずに困り果て、当院にいらっしゃいました。

週に1度の施術で、痛みが少し軽減してきたところで、V字ストレッチを紹介し、自宅で行うように勧めました。

すると、すぐに痛みが消え、現在もお元気とのこと。「注射でもダメだったのに、こんな簡単なことで治るなんて」と、大変喜んでいらっしゃいます。

手指の関節をしっかり動かすと疲れが取れる

また、悪い姿勢も、手に負担をかけます。

ここでいう悪い姿勢とは、あごが出て、首の後ろから肩甲骨にかけての筋肉が突っ張った状態です。

最近は皆さん、スマートフォンを見る時間が長いため、この姿勢が固定している人が増えています。俗に、「ストレートネック」「スマホ首」などと呼ばれ、皆さんも耳にしたことがあるかもしれません。

肩甲骨周辺の筋肉が固まって動きにくくなると、本来、背中や肩が担うべき動きを、腕や手が補完することになります。

ですから、姿勢には常に気をつけましょう。後頭部とお尻、かかとが一直線になるのが、正しい頭の位置です。壁に頭とお尻、かかとをつけるとイメージしやすいでしょう。その姿勢を維持することで、首の骨(頸椎)が自然なS字を描き、肩甲骨周りの筋肉が緩みます。

手作業の多い人は、同時に、前かがみの姿勢でいることも長いと思います。一日に何度か、壁に背をつけて、姿勢を確認するといいでしょう。

手の指がこわばる人には、「巻き込みストレッチ」もお勧めです(やり方は下図を参照)。

手の指の関節をしっかり動かすことで血行がよくなり、指の疲れが取れます。逆に、指を使わずに固まっている人は、動きがよくなります。

ストレッチと姿勢の確認を習慣にして、手指と手首の健康を守ってください。

巻き込みストレッチのやり方

★(1)~(3)を1日3回以上行う。

痛みのある側の手のひらを、上に向ける。人差し指から小指の指先にかかるように、反対の手の人差し指を当てる。

人差し指を巻き込みながら、4本の指を曲げる。曲げ伸ばしを5回くり返す。

痛みのある側の親指の第一関節(指先寄りの関節)に、反対側の人差し指を当て、巻き込むように曲げる。曲げ伸ばしを5回くり返す。

この記事は『壮快』2020年1月号に掲載されています。

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