しなやかで気持ちのいい体を手に入れるためにストレッチを習慣にしてみませんか? ただし、間違った知識を持ったままストレッチをしてもなかなか体は柔らかくなりません。場合によってはケガにもつながります。ストレッチを行う前に知っておきたい3つの真実を、書籍「魔法のストレッチ」の著者である黒田美帆先生が教えてくれました。
本稿は『魔法のストレッチ』(マキノ出版)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。
執筆者のプロフィール
黒田美帆(くろだ・みほ)
「1日で身体が柔らかくなる!魔法のストレッチ講座」代表。早稲田大学政治経済学部卒。社長業のかたわら、24歳でバレエを再開したのをきっかけにストレッチ開発に目覚める。2015年「魔法のストレッチ講座」を始めると、瞬く間に人気講座になる。世界大会出場クラスの選手も多数指導。
ブログ:http://kuromiho.blog.jp
真実1「関節が硬いわけではない」
体が硬いのは「関節が硬い」のが原因だと思われている方がけっこういます。本当に関節が原因なのでしょうか? ガイコツの標本をイメージしてみてください。関節で骨と骨はくっついておらず、隙間がありますよね。つまり、あなたの関節は本来もっと動くんです。
じゃあ、何がその動きを邪魔しているのか? それは主に筋肉です。赤ちゃんの体はとても柔らかいですよね。股関節はパカッと開いていますし、自分の足の指をなめられる子もいます。赤ちゃんにはまだ硬い筋肉がついていません。そのため、本来持っている可動域を最大限生かせているのです。
筋肉が硬くなるのは、大きく2つの理由があります。1つめは、ストレッチやマッサージをしないで筋肉を使い続けた結果、筋肉が硬くなってしまうケース。これは、運動をされている方に多く見られます。2つめは、逆に体を使わなすぎて筋肉が伸びるような動作をしないために筋肉が縮んでしまうケース。こちらは、運動不足や高齢の方に多く見られます。しかしどんな人でも、筋肉を柔らかくすることで、本来の可動域を取り戻していくことができます。
真実2「柔らかいモノは壊れにくい」
筋肉は、かたちのある“モノ”でもあります。ガラスや陶器のような硬いモノは少しの衝撃でカンタンに割れたりしますが、ゴムやボールのような柔らかいモノは割れたり切れたりしにくく、衝撃を吸収して弾みます。これは筋肉も同じで、硬い筋肉は割れたり切れたりしやすく、柔らかい筋肉はそうなりにくいのです。
硬い筋肉がいかに損傷しやすいか。私自身、身をもって感じた出来事があります。もともと私は腰が柔らかく、“エビぞり”をして足が頭につくくらいです。腰痛になったことはおろか、腰が張るという感覚さえよくわかりませんでした。そんな私が、一度だけ腰をひどく痛めたことがあります。
真冬のある日、私は腰を出して寝ていました。朝起きて、ちょっと体を動かした瞬間、腰に「ビキッ!」と衝撃が……。あまりの痛さに動かすこともできず、変な体勢のまま、鍼灸院に駆け込みました。冷えて硬くなった腰の筋肉に急に力が加わったことで痛めてしまったのでしょう。もしこれが運動前の筋肉の状態だとしたら、とても危険ですよね。
実際、冬は夏よりもケガが多く、私の周りでも真冬に数メートル走っただけで肉離れを起こした人が何人かいます。硬い筋肉は損傷しやすく、柔らかい筋肉は損傷しにくい。ストレッチがケガの防止に有効なのは、筋肉が伸びて柔らかくなるからなのです。
真実3「痛いストレッチは逆効果」
ストレッチをするときの負荷のかけ方(伸ばし方)にはコツがあります。それは、体を伸ばしたり押したりするときは「イタ気持ちいい」程度にとどめておくこと。
「痛ければ痛いほど効く」と思われている方もいますが、痛いストレッチは体が緊張するため筋肉が硬くなってしまって、実は効率が悪いのです。硬い筋肉のままムリをするとケガにもつながります。ストレッチをするときはリラックスしているほうがいいのです。
そこで大事になるのが、呼吸です。大きな深い呼吸を意識的に行うと、リラックスした状態でストレッチができます。ストレッチで負荷をかける前に、深く息を吸い込みます。風船をふくらませるイメージで、体全体にたっぷり空気を入れます。次に、息を長めに吐きながら適度な負荷をかけてストレッチをしていきます。息を吐く時間は、吸うときの2倍以上が目安です。
体の硬い方が1回のストレッチでダンサーのように柔らかくなるわけではありません。続けることが何より大事です。そのためにも、つらくない楽なストレッチのやり方を知っておくといいでしょう。
つらくないのに効果抜群「魔法のストレッチ」のやり方はこちら
魔法のストレッチ
大村佳子
5000人の柔軟性が改善した、痛くない&超簡単ストレッチ!体が変わる喜びをあなたに。