にんじんジュースはおいしいうえに、目の健康はもちろん、高血圧や糖尿病、高脂血症といった生活習慣病の予防にも役立ちます。なかでもβ‐カロテンは、体内に入るとビタミンAに変わり皮膚や粘膜を強化、目の健康に非常に有効なのです。【解説】石原新菜(イシハラクリニック副院長)
解説者のプロフィール
石原新菜(いしはら・にいな)
イシハラクリニック副院長。2000年帝京大学医学部に入学。2006年卒業、同大学病院で2年間の研修医を経て、現在父、石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察のほか、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。著書は 13万部を超えるベストセラーとなった『病気にならない蒸しショウガ健康法』(アスコム)など著書多数。日本内科学会会員。日本東洋医学会会員。日本温泉気候物理医学会会員。二児の母。
【 マンガでわかる!】 「にんじんジュース」が全身の健康を整えて目をよくする!
■漫画/御手洗直子
ビタミン・ミネラルが目の健康をサポート
私の父は、医師で、にんじんジュースの第一人者である石原結實です。そのため、私は子どもの頃から、毎日、にんじんジュース飲んできました。今も目は健康そのものです。
にんじんジュースはおいしいうえに栄養価も高く、目の健康はもちろん、高血圧や糖尿病、高脂血症といった生活習慣病の予防にも役立ちます。
健康維持のためには、毎日、約30種類のビタミンと、約100種類のミネラルが必要といわれていますが、残念ながら現代人の好む食生活ではビタミンやミネラルは欠乏します。たんぱく質や脂質、炭水化物といった栄養素に偏るため、生活習慣病が引き起こされるのです。
そこで、役立てて欲しいのが、にんじんジュースです。にんじんには、ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。
なかでもβ‐カロテンは、体内に入るとビタミンAに変わります。ビタミンAは、皮膚や粘膜を強化する働きがあり、目の健康に非常に有効なのです。
このビタミンAにより、眼精疲労、ドライアイ、夜盲症(暗いところや夜になると視力が落ちる症状)の予防や、視力の改善も期待できます。
また、にんじんジュースは、加齢黄斑変性(加齢により視界の中心部が見えづらくなる病気)の予防に有効です。
2015年、米国・ハーバード大学で行われた疫学調査(地域や集団を対象として、病気や健康などの原因を統計的に明らかにする調査)によって、にんじんの継続摂取が加齢黄斑変性に有効というデータが明らかになりました。
また、β‐カロテンは、強力な抗酸化作用を持ち、目や全身のアンチエイジングにも役立ちます。
加齢黄斑変性と同様に、老眼や飛蚊症(目の前を蚊が飛ぶように見える症状)、白内障(目のレンズに相当する水晶体が濁る病気)といった目の病気は、やはり加齢によって引き起こされます。
これらの進行が、β‐カロテンの抗酸化作用によって抑えられるのです。
そのほか、にんじんに含まれるビタミンB1やB2は代謝アップ、B2は神経の働きをスムーズにしてくれ、目の周りの血流を改善します。
さらに、ミネラルは目の浸透圧の調整に必要で、目の乾燥を和らげてくれる作用があります。
東洋医学の観点では、にんじんは、血液を増やし、体を温めます。体が温まり、目の周辺の血行がよくなることも、目の健康維持にはとてもたいせつなのです。
にんじんもリンゴも皮ごとジュースに
にんじんジュースは、ミキサーではなく、ジューサーで作りましょう。ビタミンやミネラルの吸収が早くなるので、体に素早く栄養素を行き渡らせます。
東洋医学では、にんじんと同じく、リンゴも体を温める「陽性食品」で、代謝をアップさせ、血流が改善し、あらゆる病気の予防に役立ちます。
にんじんとリンゴの皮には活性酸素を除去してくれるポリフェノールが多く含まれているので、作る際にはぜひ皮ごと使ってください。
とくにリンゴの皮には「アントシアニン」が多く含まれ、網膜にあるたんぱく質の再合成を促します。それが視界がぼやけたり、目がショボついたりするなど、疲れ目を改善するのです。
酸化を防ぐため、にんじんジュースは飲むたびごとに搾りましょう。私は朝食代わりににんじんジュースを飲んでいるため、朝、起きるとすぐに搾るようにしています。
朝食で固形物を食べず、胃腸を休めると、体内の老廃物を排泄する力が増します。栄養価も高く、にんじんとリンゴに含まれている糖分が脳のエネルギー源となるため、ほかのものを食べなくても大丈夫なのです。
重い体重が気になる人は、ダイエットにも最適なので、ぜひ試してみてください。
このにんじんジュースだけで目の健康にはじゅうぶんですが、さらに効果をアップしたい人は、ブルーベリーやオイル(エキストラ・バージン・オリーブ油、エゴマ油、アマニ油、MCT油など)など、目によい食材を足してみるといいでしょう。
目が健康になれば肌もキレイになる
にんじんジュースで目の周りの血行がよくなると、クマも改善し、肌のトーンも明るくなります。
また、物が見えづらくて目を細めたり、眉間を寄せたりしていた人は、周囲がよく見えるようになることで、そうする必要がなくなります。結果、眉間のシワも薄まるでしょう。
今回、私の提案する新しいにんじんジュースで、目の健康と体の健康を取り戻し、元気な毎日を過ごしてください。
「シン・にんじんジュース」レシピ
基本のにんじんジュース
【材料】(1人分:出来上がり300〜400ml)
にんじん……2本
リンゴ……1個
レモン汁 ……1/2個分
【作り方】
❶にんじん、リンゴを水でよく洗う
❷(1)の皮をむかず(リンゴの種は取らない)に、ジューサーに入る大きさに切ってから、ジューサーにかける
❸(1)のジュースにレモン汁を加えて完成
※ジューサーのカスは捨ててよい
目によい成分をさらにプラス!
ブルーベリー:アントシアニン(眼精疲労の回復、視力の改善)
油:オメガ3(目の網膜強化)
ゴマ:ビタミンB2(目の毛細血管強化)
キウイ:ビタミンC(白内障の予防)
ブルーベリーのにんじんジュース
【材料】
基本のにんじんジュース……300〜400ml
ブルーベリー……適量
【作り方】
基本のにんじんジュースにブルーベリーを加えて完成
プルプルにんじんジュース
【材料】
水……大さじ2
ゼラチン……1袋(5g)
基本のにんじんジュース……300〜400ml
ヨーグルト……大さじ2
キウイフルーツ ……1/2個分(皮をむき、小さくカットする)
【作り方】
❶400mlのにんじんジュースが入る大きめの耐熱のボールに、水大さじ2を入れる。ここにゼラチンを振り入れ、よく混ぜ、ゼラチンに水を吸わせる
❷電子レンジ(600W)で約40秒加熱し、ゴムベラでよく混ぜる
❸(2)のゼラチン液が透明になったら、基本のにんじんジュースを少しずつ加えよく混ぜる。冷蔵庫に入れ、2〜3時間以上冷やす
❹(3)が固まったらスプーンでグラスに入れ、ヨーグルトとキウイフルーツを添えて完成
黒すりゴマとアマニ油のにんじんジュース
【材料】
基本のにんじんジュース……300〜400ml
黒すりゴマ、アマニ油……各適量
【作り方】
基本のにんじんジュースに黒すりゴマを加え、アマニ油をたらして完成
■料理/古澤靖子(料理研究家)
■この記事は『ゆほびか』2020年7月号に掲載されています。