効率的に片づけられて、しかも片づいた部屋をキープしやすい「片づけの流れ」を覚えましょう。合理的な工夫で片づけがストレスにならないよう、ズボラ&ラクチンワザをフルに活用します。【解説】村越克子・笠原恭子
著者のプロフィール
村越克子(むらこし・かつこ)
編集会社勤務を経てフリーライターとして生活情報誌を中心に家計・家事・家族関係などをテーマに執筆活動を続ける。主著に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』『いつのまにかお金がなくなる人のための今度こそ貯金ができる方法』(永岡書店)。
笠原恭子(かさはら・きょうこ)
出版社勤務を経てフリーランスに。面倒くさがり屋でもできる工夫生活の楽しさに目覚め、片づけ・収納ほか、さまざまな家事のアイデアについての記事を執筆。著書に『リメイクッキング』(しょういん)。
本稿は『汚い部屋から今度こそ絶対抜け出す本』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。
ルール(1)「片づけの流れ」を覚えよう
「順番」を間違えると途端に面倒くさくなる
片づけがしたくなったから、といって、いきあたりばったりに手をつけてもうまくいきません。たとえば、「本を棚に並べ始めたけれど、量が多すぎて入りきらず途方にくれ、結局片づけるのを諦めた」とか、「きちんとしまえるように収納家具を買ったのに、出し入れしにくい場所にしか置けず、結局使わなかった」など。
片づけはいったん流れを間違えると、とても面倒くさくてムダが多いものになってしまいます。しなくてもいいことに時間をかけてしまった、結局リバウンドした、ではせっかくのやる気もしぼんでしまいます。
では、どうやったら一番少ない労力と時間で片づけができるのでしょうか。 効率的に片づけられる、しかも片づいた部屋をキープしやすい「片づけの流れ」には次の4つのステップがあります。まずはこれを頭に入れましょう。
(1)モノを処分する
モノが少ない=片づけがラクになる、というのはすぐ想像がつきますよね。部屋にあるものをしまったり整理したりする前に、不用なものを処分すると片づけがぐっとラクになります。もっと言うと、この作業なしで片づけを始めても、絶対にうまくいきません。
ここでいう「処分」とはとにかくモノを捨てなさい、ということではありません。自分の価値観やライフスタイルに合わせて、本当に必要なものだけを厳選し、不用なものは家の外に出すこと。いろんなコツや方法があるのでぜひマスターしましょう。
モノを処分し始めると今までぎゅうぎゅうだった収納場所に空きスペースができ、「ここにあれを入れたい」などと考えてしまいがち。でも、処分の途中で中途半端に収納を始めてしまうと、後で二度手間になる恐れが。ここはぐっと我慢して、1つのコーナーの不用品をすべて処分してから、次のステップに移りましょう。
(2)定位置を決める
STEP(1)で不用品が処分され、部屋にあるモノが減りました。スペースにも余裕ができました。でも、どんなにモノが少なくても、置き場所が決まらなければ、いつまで経っても部屋は片づきません。
次のステップとして、残った大切なモノたちの「定位置」=「住所」を決めていきましょう。といっても、ただなんとなく決めたのでは、結局定位置に戻せず、すぐ散らかった部屋にリバウンドしてしまいます。持ち主である自分が一番ラクできる場所を選ぶことが大切。いくつかコツがあるのでしっかり理解しましょう。
(3)しまい方を決める
定位置が決まったら、どんな「入れ物」にどうやって入れるかを考えましょう。
片づけ下手さんの収納の合い言葉は「ラクチン&シンプル」。とにかく簡単ですぐに片づけられる「入れ物」と「入れ方」を覚えましょう。
また、部屋や場所によってもいろんな片づけワザがあります。自分の部屋にふさわしい「入れ物」と「入れ方」を見つけて、やりやすいようにアレンジしながら取り入れていきましょう。
(4)片づけた部屋をキープする
STEP(1)〜(3)でモノがスッキリ使いやすく片づいた部屋を実現できても、これでおしまいではありません。大切なのはこの状態をキープすること。
誰だって1年365日、ずっときれいな部屋をキープし続けるのはムリですが、散らかり始めの状態から早めに元の状態に戻すことを心がければ、片づいた状態をより長くキープすることは可能です。
そのためには、
(1)出したら定位置に戻す。
(2)モノを増やさない。
この2点を守ることがとても大切です。
最初は狭いところで試してみる
「片づけの流れはわかったけど、どこから手をつければいいかわからない……」。そんな人は多いはず。いきなり広い範囲を片づけようとしても、途中でイヤになってしまいますから、最初のステップ(1)〜(3)の3つのステップを、小さな範囲から試していくのがコツです。
おすすめは玄関や水回りなど、狭くて置くモノが限られている場所。ステップ(1)〜(3)まで、それほど時間はかからないし、片づけた後のステップ(4)もそう難しくはないはずです。
一度この4つのステップに沿って片づけが成功すると、自分の考え方までスッキリしてくるような気がするから不思議。1か所が片づくとはずみがついて、別の場所もがんばろうという気にもなれます。
そして、どのステップでも合理的な工夫をして、できるだけラクに片づくしくみとワザを考えることが何より大切。片づけがストレスにならないよう、ズボラ&ラクチンワザをフルに活用しましょう。
POINT
片づけの流れは、(1)モノを処分→(2)定位置を決める→(3)しまい方を決める→(4)きれいな部屋をキープ、この4ステップで!
ルール(2)住みたい「理想の部屋」をイメージ
「片づける」ことが目的になっていませんか?
「部屋を片づけなきゃ」という言葉、あなたは何度もつぶやいたことがあるかと思いますが、その都度どんな気持ちでしたか?
「面倒くさいけど、しょうがない」と、本心は片づけなんてしたくない自分を無理やり奮い立たせていたのではないでしょうか。そして、とりあえず目の前に散らかっているモノから寄せたり捨てたりし始めるものの、地味で面倒な作業の連続にイライラ。見た目だけ「さっきよりまし」くらいに片づけられれば上出来で、中途半端に投げ出してしまうこともしょっちゅう……なんていう人も多いですよね。「部屋を片づけたいという思いはあるけど、モチベーションが続かない……」そんなあなたは、もしかしたら「部屋を片づける」ことが目的になってしまってはいませんか?
「部屋でどう過ごしたいか」を先に考える
「片づけ」は日々の暮らしを快適にするための手段で、目的ではありません。「片づけ」の先にある本当の目的が見えていないと、モチベーションが続かないし、怠け者はなかなかがんばれません。
そこで提案。片づけを始める前に、まずは住みたい理想の部屋をイメージしてみてください。といっても、いきなり豪邸に住みたいなどと夢想するのではなく、自分がどんな暮らしをしたらハッピーなのか、それにふさわしい部屋はどんな感じか、と現状プラスαでイメージをふくらませてみましょう。
「週末に気軽に友人を呼んでパーティを楽しめる部屋にしたい」とか、「スッキリした環境で資格の勉強に打ち込みたい」とか、「彼が遊びに来たときに居心地いいねと言われたい」とか、いろんな夢や理想があるのではないでしょうか。ハッピーな暮らしの具体的なイメージを持つことができ、なんだかワクワクしてきたらしめたもの。「片づけること=自分の夢をかなえること」なのですから、モチベーションは確実にアップします。片づけに飽きたり、投げ出したくなったときも、自分の描いた理想の部屋のイメージに立ち返れば、またやる気が出てくるはずです。
▼理想の部屋をイメージするためのチェックシート
□1人きりで部屋にいるとき、一番幸せを感じるのは何をしているとき?
□部屋に一番招きたい人は誰? その人とどんなことをして過ごしたい?
□趣味はある? 部屋のなかにそれを楽しむスペースがほしい?
□打ち込みたいことはある? 部屋のなかに集中できるスペースがほしい?
□部屋でお気に入りの家具・雑貨はある? それはどれ?
理想の部屋をビジュアル化
人間は、見たことのないもの、経験したことのないことからは、イメージができません。そしてイメージが鮮明でないと、それを実現することもできません。「理想の部屋」も同じです。漠然と「こうだったらいいなあ」というイメージをつかんだら、さっそく具体的に目に見えるカタチでビジュアル化していきましょう。
まず用意したいのは、インテリアや収納に関する雑誌や特集記事。パラパラとめくって、憧れの部屋や気に入った収納方法が見つかったら、さっそくそれを切り抜くか、カラーコピーして、部屋のなかの目につくところに貼りましょう。
この作業は始めてみると本当に楽しい! 「こういう部屋もいいな」、「ああいう部屋もいいな」そんなふうに写真を選んでいると、時間が経つのも忘れてしまいます。
携帯電話のカメラで写真を撮るのもおすすめ。雑貨店やカフェに入って、こういうふうにモノを置くとオシャレ、と思ったらパチリ。インテリアショップの展示が気に入ったらパチリ。ホテルに泊まったとき、インテリアが素敵だったらパチリ。これもプリントアウトして、雑誌の切り抜きといっしょに貼りましょう。
「憧れの部屋」のビジュアルを毎日眺める
「理想の部屋といってもあまり現実味のない”すてき過ぎる部屋”を参考にしてしまったら、自分の部屋とは違い過ぎて参考にならないんじゃない?」と思う人もいるかもしれません。「インテリア雑誌やショップを眺めるくらい今まで何度も繰り返してきたけど、だからといって部屋はキレイにならなかったわ」と言う人もいるかもしれません。
でも今回は違います。今までのようにただ瞬間的に眺めて「いいな」と思うだけでは、すぐやる気が萎えてしまうのは当たり前。大事なのは、毎日必ず目に入るところに「自分が暮らしたい部屋」のビジュアルを貼る、ということ。「憧れの部屋」のビジュアルを毎日眺める、ただそれだけのことで、常に目標を意識することができ、自然にやる気をキープし続けることができるからです。実はこれ、潜在意識を味方につけた科学的にも裏付けのある夢実現のテクニック。写真を眺めるだけでOKなのですから、ズボラさんにはぴったり。ぜひ試してみてください。
「今の自分の部屋を憧れの部屋に近づけるにはどうしたらいいだろう」「これだったらマネできそう」とワクワク考え始めるようになったらしめたものです。「片づけがしたい」とスイッチが入るのは時間の問題です。いざ片づけを始めて、途中でイヤになったときも、あなたが集めた「理想の部屋のイメージ」の出番。くじけそうなあなたを励ます強い味方になってくれるはずです。
POINT
理想の部屋をイメージできれば、片づけの効率が上がるし、モチベーションもアップする。
ルール(3)簡単に「片づくコツ」を覚えよう
目標を設定して毎日楽しみながら片づける
片づけられない人の言い訳として、「毎日忙しくてヒマがない」「いつかはまとめて時間を取って片づけようと思ってるんだけど……」などがあります。もちろん、これではいつまで経っても片づきません。
よく「夢を実現するには、夢に期限をつけることが大切」と言われますが、片づけだってそう。理想の部屋を具体的にイメージできるようになり、どうやって片づけるべきかの流れを理解したら、いつまでに何を実行するか期限を決めて、片づけのスケジュールを立ててみましょう。これを生活に組み込むこと=ズボラ&ラクチンに片づく「しくみ」になります。
まずは一番大きな目標として、誰かを部屋に呼ぶ計画を立てます。気になっている男子や友人を個人的に招くほか、ホームパーティを開くことにしてもいいでしょう。さっそく日付を決め、あなたが愛用しているスケジュール帳に書き込みましょう。余裕を持った片づけスケジュールを組むためには3か月後ぐらいに設定するのがいいでしょう。もし片づけがはかどったら、前倒しすればいいのですから。相手に「うちに遊びに来て」と声をかける日も、予定日の1〜2週間前に設定し、これもスケジュール帳に書き込んでおきましょう。
次に決めるのは中目標です。4月10日〜17日は玄関、18日〜25日は脱衣所など狭い場所から始め、だんだん広い場所へと、片づける範囲を決めていきます。
そして最後に小目標を考えます。小目標はできるだけ具体的に、実際すぐ取りかかれそうなものにするのがコツ。たとえば「マイルームのテレビボードの引き出しの不用品処分」など、15分くらいでできることにしましょう。終わらなかったら翌日に回していいし、気分が乗ればそのまま続けてもOKです。
平日は1日15分×1〜2セット、週末で1日15分×2〜8セットが目安。自分のライフスタイルと気分に合わせて、ムリなくできそうなことをピックアップしていけばOKです。成果がわかりやすいよう、1か所を片づけたら、次は今済ませた場所の隣り合わせになるところを片づけるようにしてください。
毎日小さな目標を確実に実行できれば、片づけた場所は少しずつきれいになり、達成感を味わえます。「私にもできるかも」という自信と「やってよかった」という満足感を重ねながら、次の場所にチャレンジすることができるはず。楽しみながらムリせず少しずつスッキリ片づいた場所を増やしていきましょう。
「とりあえず」&「ついで」でOK
いざ片づけを始めてみると、つい止まらなくなって張り切ってしまう人もいるでしょう。でも、1日や2日で家中をキレイにするのはムリ。なんの計画性もなく、いろんな場所に中途半端に手を出してしまうと、「ここまで済んだ」という区切りがつかず、達成感も得られず、結局挫折する原因になってしまいます。片づけのスケジュールを決める=一度にがんばりすぎず、長く続けるためでもあるのです。
その上で、さらに工夫したいのが、片づけをふだんの生活のなかに組み込むこと。毎日「わざわざ」時間を取って片づけをするのではなく、「とりあえず」とか「ついでに」と考えて、気負わず片づけられるような工夫をしてみましょう。
たとえば、引き出しや収納箱の整理。引き出しや箱ごと自分が座るソファの場所まで持ってきて、不用品を入れる袋も近くに置いて、「とりあえずテレビでも見ながらやるか」ぐらいのお気楽さで整理すればいいのです。これならテレビで気が紛れるので、途中でイヤになりません。
モノが部屋に散らかり始めたときも、「とりあえず」大きめのカゴに入れ、テレビCMが終わるのを3分待つ「ついでに」定位置に戻す、とか、部屋を移動するときは手ぶらで動かず、いつも「ついでに」部屋から出張しているモノを持ち帰る、とか。そんな工夫だけでも、部屋はどんどん片づいていくはずです。
片づけが面倒くさくなくなる「ついで」と「とりあえず」の魔法、ぜひ試してみてください。
「片づけ」をがんばった自分にごほうびも用意
自分の決めたスケジュールで日々の片づけを一生懸命やれば、それだけでもかなりの充実感があります。夜寝る前に「きょうもまた少し部屋がスッキリした」と満足して眠りにつければ、それも立派なごほうびといえるでしょう。
でも、それだけではまだ怠け者の自分を奮い立たすごほうびとしては不十分。そう思うなら、「馬の鼻先にニンジン作戦」も効果的です。たとえば、「30分片づけをがんばったら、お茶を入れておいしいケーキを食べる」とか、「ベッド回りをキレイにしたらねっころがって読書」、「玄関の片づけが終わったら、そこに飾るおしゃれな雑貨を1つ買う」などと、片づけが一区切りつくたびにゲットできるごほうびを決めておくのはいかが? モチベーションがアップすること間違いなしです。「片づけをするといいことがある」と自分のなかにインプットして、片づけが楽しくなったらしめたものです。
片づけがすべて終わった後のシーンもぜひ想像してみてください。我が家に招いた友人や彼から、「すごいきれい」「センスよく片づいているね」とホメられる自分。これこそが最高のごほうびです。
POINT
「とりあえず」「ついでに」の積み重ねならあえて片づけの時間を作らなくてもOK!
なお、本稿は『汚い部屋から今度こそ絶対抜け出す本』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。
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