私たちのおなかの中に、200種類以上、100兆個が生息しているという腸内細菌。どんな菌がいるかは人によってちがいますが、おもな種類とはたらきを知っておきましょう。また、腸内細菌を増やして善玉菌優勢の腸内環境にするために役立つ食材もご紹介します。書籍『子どもの幸せは腸が7割』(西東社)の中から、腸内細菌の種類と働きについてご紹介しましょう。

イラスト/大日野カルコ

腸内細菌の種類とはたらき

私たちのおなかの中に、200種類以上、100兆個が生息しているという腸内細菌。どんな菌がいるかは人によってちがいますが、おもな種類とはたらきを知っておきましょう。

善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3つの種類がある

200種類以上いる腸内細菌は、そのはたらきによって大きく3グループに分けられます。善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3グループです。

善玉菌
病原菌の繁殖を防ぎ、免疫を高める、消化吸収を促す、便の性質を改善するなど、体にいいはたらきをする

画像1: 善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3つの種類がある

悪玉菌
数が増えすぎると、下痢や便秘、肌荒れの原因になるなど体に悪さをはたらくが、体によいことをする菌もいる

画像2: 善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3つの種類がある

日和見菌
善玉菌が増えると善玉菌に加勢し、悪玉菌が増えると悪玉菌に加勢する。多くは土壌菌

画像3: 善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3つの種類がある

3つの理想バランスは2:1:7

理想的な腸内環境のバランスは、善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割ですが、食生活などによってバランスが変わります。善玉菌が優勢の状態を維持することが健康のカギです。善玉菌と悪玉菌はどちらも2割を超えることができないといわれていて、優勢なほうに加勢する日和見菌の重要性が注目されています。

画像: 3つの理想バランスは2:1:7

腸内細菌は大きく4つの「門」で構成される

生き物はすべて、界>門>綱>目>科>属>種で細分されます。たとえば人間は、動物界>脊索動物門>哺乳綱>サル目>ヒト科>ヒト属>ヒト種、というわけです。細菌(バクテリア)は大まかに分けて30門に分かれていますが、じつは、人間の腸内細菌はそのうちのほぼ4門のみで構成されています。私たちの体にいちばん多くすんでいるのは「フィルミクテス門」で、年をとると「プロテオバクテリア門」が増えます。

画像: 腸内細菌は大きく4つの「門」で構成される

グループ①善玉菌
アクチノバクテリア門
善玉菌の代表格であるビフィズス菌が含まれる

グループ②悪玉菌
プロテオバクテリア門
大腸菌やピロリ菌などが含まれる

グループ③日和見菌
フィルミクテス門
悪玉菌が好きな日和見菌が多く、太った人に多い

グループ④日和見菌
バクテロイデス門 
善玉菌が好きな日和見菌が多く、やせている人に多い

じつはまだ解明されていない菌が多い

腸内細菌の研究では、ここ数年で新しい発見が相次いでいます。今明らかになっている腸内細菌は200種ほどですが、まだまだ未知の菌がいることがわかり、最終的には3万種ほど見つかるのではないかともいわれています。培養が難しくてまだ解明されていない細菌も多く、善玉菌とも悪玉菌とも断言できない場合は、とりあえず日和見菌に分類されているのが現状です。

画像: じつはまだ解明されていない菌が多い

菌を選別して腸内バランスを守るのはIgA抗体

アレルギー物質や異物を追い出すためにはたらく物質として知られていましたが、近年、腸内環境を決める役割があることもわかってきました。

はたらき
体を病気から守るだけでなく、腸内に入ってきた菌を選別し、よい菌が優位になる環境へと導く

増やすには
母乳からもらうほか、漬物やキムチ、チーズ、ヨーグルトなど乳酸菌を継続的にとることでも分泌が増える

画像: 菌を選別して腸内バランスを守るのはIgA抗体

おもな善玉菌

ビフィズス菌
強い殺菌力で悪玉菌を抑える

画像: ビフィズス菌 強い殺菌力で悪玉菌を抑える

人の腸内(大腸)に最も多くすんでいる善玉菌。生後4日くらいからどっと増えて、悪玉菌の増殖を抑制。母乳のオリゴ糖から免疫系の発達に重要な短鎖脂肪酸をつくり出します。

はたらき
強い殺菌力で悪玉菌がすみづらい環境をつくり出して、病気の感染を防いだり、腸の蠕動運動を活性化して便秘を改善する

食事で増やすには
ビフィズス菌の入ったヨーグルトを継続してとる。食後にとることで効果が高くなる

乳酸菌
おなかの調子を整えアレルギーを改善

画像: 乳酸菌 おなかの調子を整えアレルギーを改善

ブドウ糖や乳糖などの糖類を分解して乳酸をつくり出す細菌の総称。腸の中を酸性にすることで、もともとすんでいるビフィズス菌を増やしたり、免疫細胞を活性化させたりします。

はたらき
有害な菌や雑菌の繁殖を抑えるので、整腸作用や免疫の活性化、アレルギーの改善などに効果がある

食事で増やすには
エサになるオリゴ糖や食物繊維をとったり、ヨーグルトや味噌、納豆などの発酵食品を継続してとる

本稿は『子どもの幸せは腸が7割 3才までで決まる!最強の腸内環境のつくりかた』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

おもな悪玉菌

ウェルシュ菌
腹痛や下痢を引き起こす

画像: ウェルシュ菌 腹痛や下痢を引き起こす

食中毒の原因として知られています。体外からたくさん摂取したり、体内で過度に増えると食中毒の原因に。

はたらき
腸内にある未消化の食物中のタンパク質などを腐敗させ、有害な物質やガスを発生させる

なぜ増える?
調理後しばらく放置していた肉類などを食べること。乳酸菌などの減少も原因に

大腸菌
多くは無害だが一部は病原性あり

画像: 大腸菌 多くは無害だが一部は病原性あり

ほとんどの大腸菌は無害で、体にとって大切なはたらきもしていますが、一部の菌は、下痢や腸炎などの原因に。

はたらき
病原性大腸菌の外からの侵入を防いだりするが、数が増えすぎると下痢などの不調の原因に

なぜ増える?
肉を中心とした高たんぱく・高脂質の食事のとりすぎや、食物繊維などの不足により増加

日和見菌の2つのグループ

フィルミクテス門
エネルギーを脂肪として蓄える

画像: フィルミクテス門 エネルギーを脂肪として蓄える

悪玉菌に味方しがちで、太っている人から多く検出されます。本来は、人が飢餓におちいったときにはたらく菌。

はたらき
わずかな食べものから多くのエネルギーをつくる。余ったエネルギーを脂肪として蓄える

増やすには
炭水化物や甘いもの、肉類、高カロリーで食物繊維の少ないものを食べると増える

バクテロイデス門
「ヤセ菌」として期待が集まっている

画像: バクテロイデス門 「ヤセ菌」として期待が集まっている

善玉菌寄りで、免疫力向上に役立っています。やせている人に多いので「ヤセ菌」として注目されています。

はたらき
短鎖脂肪酸をつくり出し、腸の動きをよくしたり、アレルギー反応の抑制、肥満防止など

増やすには
野菜や果物などを中心に、低カロリーで食物繊維の多いものを積極的にとる

腸にいい食べもの

腸内細菌を増やして、善玉菌優勢の腸内環境にするために、役立つ食材を紹介します。一日だけでなく、継続的に食べ続けることが大切です。

食物繊維

大腸を掃除してくれて、便をやわらかくしたり、有害物質を追い出すなどよい効果がたくさん。水に溶けるものと溶けないものの2種類があります。

水溶性食物繊維

水に溶けるとゲル状になり、腸内をゆっくりと移動。ビフィズス菌など善玉菌のエサになるうえ、肥満や炎症を防いでくれます。

画像1: 食物繊維

不溶性食物繊維

水分を吸収すると数倍~数十倍に膨れ上がり、便の量を多くしたり、腸の運動を盛んにしてくれます。肥満防止や便秘の予防・改善に効果が期待できます。

画像2: 食物繊維

発酵食品

昔ながらの日本食に多い発酵食品。発酵に関与した善玉菌が含まれています。善玉菌は胃酸で死んでしまう場合も、生きて腸に届く場合もあります。

ヨーグルト
乳酸菌、ビフィズス菌などが含まれている

画像1: 発酵食品

味噌
麹菌、酵母菌、乳酸菌の3つの善玉菌をとれる

画像2: 発酵食品

納豆
納豆菌は熱や胃酸につよく生きて腸に届きやすい

画像3: 発酵食品

ぬか漬け
乳酸菌や酪酸菌などさまざまな善玉菌が含まれる

画像4: 発酵食品


免疫を整える働きがある酢酸菌を使って製造される

画像5: 発酵食品

キムチ
生きたまま腸に届く「植物性乳酸菌」がたっぷり含まれている

画像6: 発酵食品

かつおぶし
鰹節菌という麹菌を使って発酵させている(本枯節)

画像7: 発酵食品

きのこ類

水溶性食物繊維の一種であるβ-グルカンが豊富に含まれていて、免疫力を活性化。アレルギーを抑制したり、がん細胞の増殖を防ぐといわれます。

画像: きのこ類

オリゴ糖

ビフィズス菌などのエサとなって善玉菌を増やす効果があり、ヨーグルトなどといっしょにとると相乗効果が期待できます。とりすぎると便がゆるくなることも。

画像: オリゴ糖

オメガ3脂肪酸

腸の中の炎症を抑え、善玉菌が増えやすい腸内環境に整えてくれます。体の中で合成できないので食事からとる必要あり。

画像: オメガ3脂肪酸

著者のプロフィール

藤田紘一郎(ふじた・こういちろう)

1939年、旧満州生まれ、東京医科歯科大学卒業、東京大学医学系大学院修了、医学博士。テキサス大学留学後、金沢医科大学教授、長崎大学医学部教授、東京医科歯科大学教授を経て、現在、東京医科歯科大学名誉教授。専門は、寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。1983年寄生虫体内のアレルゲン発見で、小泉賞を受賞。2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労章、国際文化栄誉賞を受賞。主な著書に、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(大和書房)、『脳はバカ、腸は賢い』(三笠書房知的生きかた文庫)、『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』(ワニブックスplus新書)など多数。2021年5月死去(81歳)。従四位、瑞宝中綬章を授与。

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なお、本稿は書籍『子どもの幸せは腸が7割 3才までで決まる!最強の腸内環境のつくりかた』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。「病気になるのも元気になるのも、じつは腸がすべてを決めている」という仮説のもと、さまざまな事例を挙げ、その真相に迫った良書です。腸内細菌は、生後3年までに、どんな菌が腸にすみつくのかで決まります。では3才までにどうすれば多種多様な腸内細菌を取り込むことができるか。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

画像: 【腸内細菌の種類】善玉菌・悪玉菌・日和見菌一覧 腸内細菌を増やす腸に良い食べ物はコレ!
子どもの幸せは腸が7割 3才までで決まる!最強の腸内環境のつくりかた
¥1,430
2021-10-15 7:49

※②「腸と脳の深い関係~子供の幸せは腸内環境が左右する?」」の記事もご覧ください。

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