〈たんぱく質と筋肉の深い関係〉プロテイン摂取は筋トレの前?後?BCAAって何?|イラスト図解

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体の中で毎日進行している筋肉代謝。筋肉量を増やすには、分解される量より合成される量を多くする必要があります。そのためにはトレーニング、たんぱく質、休養が欠かせません。また「筋トレ中は、高たんぱくで脂質の少ない食事を」といわれるのはなぜでしょうか? 筋トレやダイエット成功への近道について、書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ』著者で理学博士の佐々木一さんに解説していただきました。

解説者のプロフィール

佐々木一(ささき・はじめ)

理学博士。山形大学理学部生命学科卒業後、名古屋大学理学部大学院生物学専攻修了。乳業メーカーの研究員を経て、神奈川工科大学管理栄養学科教授に就任。2019年3月に定年退職。研究員時代にホエイたんぱく質の抗炎症作用を発見し、病院向け流動食として商品化。現在、乳清たんぱく質及び乳清ペプチドを用いた筋肉増強作用の研究を進めている。
▼専門分野・研究論文(KAKEN)

本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

イラスト/くにともゆかり、栗生ゑゐこ、Getty Images

筋肉を大きくしたい!効率よく筋肉アップするには?

筋肉に強い負荷がかかる運動をしたあとたんぱく質をとり、筋肉を休める

体の中で毎日進行している筋肉代謝。筋肉量を増やすには、分解される量より合成される量を多くする必要があります。
そのためにはトレーニングたんぱく質休養が欠かせません。

筋肉に負荷をかけるトレーニング(いわゆる筋トレ)をすることで、筋力は格段にアップします。
それは筋肉には、「壊れた筋肉を治癒する際、元の筋肉以上に強くなる」という性質があるから。これを「超回復」といいます。
つまり筋トレは筋線維を破壊する作業なのです。強い負荷をかけてわざと筋線維を壊した(トレーニング)あと、筋肉の原料となるたんぱく質をとり(栄養補給)、しばらくは筋肉に負荷をかけないように放置(休養)することで、体を「壊れた筋線維を前よりも強くなるように修復する」モード(超回復)に仕向けているわけです。

トレーニング・栄養補給・休養はセット

筋トレ後、十分なたんぱく質補給と休養をとると筋肉合成が優位になる。

壊れた筋線維が修復されるまでには48時間~72時間かかるといわれています。この間にトレーニングを続けても、分解が進むばかりで合成が追いつかないため、筋肉を大きくすることはできません。
筋肉を効率よく大きくするためには、トレーニング後、筋肉が超回復するまでしっかり休養すること、そして筋肉修復速度が落ちないよう十分にたんぱく質をとることが重要なのです。

筋トレ中の食事の定番はなぜ鶏むね肉?

脂質が少なく消化のよいたんぱく質ほど効率よく筋肉がつくられる!

「筋トレ中は、高たんぱくで脂質の少ない食事をとりましょう」といわれるのはなぜでしょう?

私たちが食べたたんぱく質はそのまま筋肉になるわけではなく、アミノ酸に分解されたのち吸収され、筋肉がつくり出されます。
ということは、いくらたんぱく質を食べても消化吸収がうまくできなければ筋肉はつくれず、逆にたんぱく質の消化吸収率が高いほど効率よく筋肉はつくられるということです。

たんぱく質の吸収率が高いのは、植物性よりも動物性のたんぱく質。お肉でいえば豚肉も牛肉も赤身は高たんぱくですが、脂質が多いと消化に時間がかかります。
高たんぱく・低脂質という条件を一番高いレベルでクリアしているのは鶏むね肉というわけです。

吸収率が高いのは動物性たんぱく質

食べたたんぱく質がどれだけ体に吸収されるかは、食品によって異なる。

大豆や小麦などに含まれる植物性たんぱく質は体への吸収率が84%程度。一方、卵、肉、牛乳などに含まれる動物性たんぱく質は吸収率90%以上だといわれている。

出典:文部科学省 日本食品標準成分表2020年版より

また、鶏むね肉のたんぱく質にはイミダペプチドという物質が豊富に含まれています。イミダペプチドには、疲労の原因となる酸化ストレスを緩和する作用があり、疲労回復に効果があります。

ただし、同じものを食べ続けると栄養が偏るもの。消化吸収率を考慮したたんぱく質の評価指標DIAAS(消化性必須アミノ酸スコア)を参考にいろいろな食材をとるようにしましょう。
消化をスムーズにすると、より効率がアップします。

本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

消化をスムーズにする工夫

消化のよい食べ方も知っておくと効率アップ。

筋トレやダイエットによいたんぱく質がある?

筋肉合成に関わるBCAAを含むたんぱく質に注目!

たんぱく質の種類や質の評価についてお話してきましたが、もっとピンポイントに「筋肉アップに効果的なたんぱく質」はあるのでしょうか。実はあります。

筋トレをしているときやダイエット中に意識してとりたいのが、BCAAです(日本語では分岐鎖アミノ酸と呼ばれます)。BCAAとは、%%バリン、ロイシンイソロイシンという3つの必須アミノ酸のこと。なんと、筋肉をつくるたんぱく質に含まれる必須アミノ酸の約35%を占めています。この3つのアミノ酸は、ほかのアミノ酸に比べ筋肉の合成を促進する効果が高く、しかも筋肉分解を抑制する効果もあるのです。

BCAAってなに?

「Branched Chain Amino Acids」の略称で、バリン、ロイシン、イソロイシンという3つの必須アミノ酸を指す。日本語では分岐鎖アミノ酸。

筋肉に有効にはたらくBCAAは以下の食品に多く含まれる。体づくりに役立てよう。

出典:文部科学省 日本食品標準成分表2020年版より(100gあたりの含有量)

なかでもロイシンは、筋肉合成の指令を出す物質のはたらきに関与しています。最近の研究で、ロイシンの血中濃度があるレベルに達すると、筋肉の合成がスタートすることがわかってきました

摂取エネルギーに気をつけつつ、BCAAが多く含まれる肉や魚、卵、乳製品などを積極的にとることが筋トレやダイエット成功への近道です。たとえば、運動前にBCAAを摂取すると、トレーニング中の筋肉分解を抑制、疲労回復を促進し筋肉痛を軽減させる効果もあるようです。

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なお、本稿は書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。ヒトの体の約60%は水分で、次に多いのが約20%を占めるたんぱく質。筋肉の原料となることはよく知られていますが、皮膚や髪、爪、血管、内臓に至るまで、たんぱく質から構成されていることはご存知でしたでしょうか。ダイエットの成功も、美しい肌や髪をつくるのも、心身の健康を保つのも、すべてたんぱく質がカギとなっているのです。本書では、たんぱく質のはたらきから、よりよい摂取方法、また摂取不足が引き起こす諸問題について、わかりやすく説明しています。難しい話は苦手という方でも、たんぱく質についてやさしく学べる内容となっています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ
¥990
2021-12-07 10:48

たんぱく質とダイエット【理想的なPFCバランスとは】の記事もご覧ください。

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