「太る」「やせる」は体に出入りするエネルギーのバランスで決まります。摂取エネルギーが消費エネルギーを上回れば太ります。たんぱく質をとれば当然それなりのエネルギーを摂取することになりますが、エネルギー消費の要「基礎代謝アップ」のカギを握るのもたんぱく質です。基礎代謝とたんぱく質の関係や、たんぱく質はダイエットに適しているか、食べないダイエットと体の変化について、書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ』著者で理学博士の佐々木一さんに解説していただきました。

著者のプロフィール

佐々木一(ささき・はじめ)

理学博士。山形大学理学部生命学科卒業後、名古屋大学理学部大学院生物学専攻修了。乳業メーカーの研究員を経て、神奈川工科大学管理栄養学科教授に就任。2019年3月に定年退職。研究員時代にホエイたんぱく質の抗炎症作用を発見し、病院向け流動食として商品化。現在、乳清たんぱく質及び乳清ペプチドを用いた筋肉増強作用の研究を進めている。
▼専門分野・研究論文(KAKEN)

本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

イラスト/くにともゆかり、栗生ゑゐこ、Getty Images

ダイエットの敵?味方?たんぱく質は太る?やせる?

たんぱく質をしっかりとれば筋肉量が増えやせやすい体に近づく

「太る」「やせる」は体に出入りするエネルギーのバランスで決まります。
摂取エネルギー(食事でとり込むエネルギー)が消費エネルギー(体を動かすためのエネルギー)を上回れば太り、消費エネルギーが摂取エネルギーを上回ればやせます。

太る・やせるは体の収支バランスで決まる

食べ過ぎて太るのは、消費エネルギーを上回った摂取エネルギーが体脂肪になって蓄積されるから。

画像: 消費エネルギーが少なければ摂取エネルギーの方が多くなり、太る。

消費エネルギーが少なければ摂取エネルギーの方が多くなり、太る。

画像: 消費エネルギーが摂取エネルギーを上回れば、やせる。

消費エネルギーが摂取エネルギーを上回れば、やせる。

たんぱく質をとれば当然それなりのエネルギーを摂取することになります。ですが、エネルギー消費の要「基礎代謝アップ」のカギを握るのもたんぱく質なのです。

基礎代謝とは、体温を一定に保つ、内臓を動かすなど、生きていくのに必要不可欠なエネルギー消費のことです。
体が一日に消費するエネルギーの約60%は基礎代謝で、そのうちの約20%を担っているのが筋肉です。
筋肉が多くなれば、動かすためのエネルギーの必要量が増えるので、基礎代謝もアップします。
つまり、筋肉のもととなるたんぱく質をたくさんとれば筋肉量が増えてやせやすい体になるというわけ。

「太るから」と単純に食べる量を減らすと、摂取エネルギーだけでなく、たんぱく質量まで落とすことになりがちです。
そうなると筋肉も基礎代謝も落ちてしまいます。体重を落とすつもりが筋肉まで落ちてしまい、太りやすい体になってしまうのです。

基礎代謝の20%は筋肉

基礎代謝は筋肉量に比例して増える。

基礎代謝の約20%をになっている筋肉を増やすのがダイエットには効果的。

画像: ※NEAT=non-exercise activity thermogenesis 家事などの日常生活活動

※NEAT=non-exercise activity thermogenesis 家事などの日常生活活動

画像: 出典:厚生労働省 e-ヘルスネットより

出典:厚生労働省 e-ヘルスネットより

ダイエットには筋肉の材料となるたんぱく質をとることが欠かせない

本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

たんぱく質なら食べすぎても太らない?

摂取エネルギーに注意しつつ優先してとりたい栄養素

たんぱく質もやみくもに食べ続ければ当然太るでしょう。でも三大栄養素(炭水化物、脂質、たんぱく質)のうち、もっともダイエットに適しているのは事実。その理由はおもに3つです。

1つ目は、消化吸収の際に熱となって消費される割合(食事誘発性熱産生/DIT※)がとても高いという点。
食事に占めるたんぱく質の割合を高くすれば、食後の体があたたまりやすく、脂肪の分解と燃焼が早まり、やせやすいということです。

たんぱく質は熱を生む

食べものを消化・吸収するとき内臓が活発に活動すると熱が生まれ、エネルギーが消費される。これをDIT(食事誘発性熱産生)という。

食事のあと「体がぽかぽかする」と感じるのは、DITで体温が上がったから。よく噛めばDITも高まる。

画像: ※実際は栄養素単体で食べることはなく、混ぜ合わさったものが食事。食事のカロリーの約10%がDITになる。たんぱく質の割合が増えれば、食事としてのDITもあがる。

※実際は栄養素単体で食べることはなく、混ぜ合わさったものが食事。食事のカロリーの約10%がDITになる。たんぱく質の割合が増えれば、食事としてのDITもあがる。

2つ目は、脂肪に変換されにくいという点です。
余った脂肪や糖質は体内に蓄積されますが、たんぱく質はエネルギーとして消費され、余ってもほとんどが尿中に排出されてしまいます。

たんぱく質は脂肪になりにくい

たんぱく質はアミノ酸まで分解されると、内臓や筋肉を合成したり、エネルギー源として利用されたり、排出される割合が高い。

画像: ▼たんぱく質は脂肪になりにくい

このような理由から、必要なたんぱく質を優先的に食べるようにすれば、以前と同じ量の炭水化物や脂質をとることはむずかしく、自然に摂取カロリーは抑えられるでしょう。これが3つ目の理由です。
さらに付け加えれば、ゆっくり噛んで食べることで摂取カロリーを15%程度抑えられるともいわれているので、噛みごたえのある赤身肉などはとくにおすすめです。
このように、摂取エネルギーが過剰にならなければ、ダイエットの面からもたんぱく質は積極的にとりたい栄養素といえるでしょう。
※DIT=Diet Induced Thermogenesis

食べる量を減らすダイエットは太りやすくなる?

体はエネルギー不足=生命危機と判断。防衛本能が発動して太りやすい体に!

食べる量を減らせば、エネルギーを補うために体脂肪が消費され体重は落ちます。でも、それは最初だけの話。「やせた」と喜んでいるそのとき、体は「飢えがはじまる」と危機感を募らせているのです。

食事制限でたんぱく質量まで減らしてしまうと、筋肉の合成は滞り、足りないエネルギーを補うために、筋肉の分解だけがどんどん進行します。これは生き物にとって緊急事態。
体は基礎代謝と消費エネルギーを落とし、エネルギー補給が滞ってもしばらく生きていける、省エネモードに入ってしまいます。長い人類の歴史の中で、飢えは死に直結する恐ろしい事態でしたから、その対策がDNAにしっかりと刻み込まれているのです。
省エネモード継続中の体で前の食事量に戻せば、あっという間にエネルギーオーバーとなり、余剰分は脂肪として蓄えられることに。ダイエットを繰り返すたび、筋肉量が減り脂肪は増え、太ることになってしまうのです。

食べないダイエットがリバウンドの原因

食べないダイエットを繰り返すと、「飢え」を警戒して体が省エネモードに入る。ダイエットの度に筋肉量も減り基礎代謝量が減ってしまうので、やせにくくなり体重も右肩上がりに増える。

画像: ▼食べないダイエットがリバウンドの原因

健康的にやせるためには、三大栄養素の割合(PFCバランス)に注意して食事をとるようにしましょう。
「食事量はそれほど多くないのに太る」という場合は、PFCバランスが崩れている証拠です。

PFCバランスが重要

健康的にやせるためには、
P(=プロテイン、たんぱく質)、
F(=ファット、脂質)、
C(=カーボン、炭水化物)
のバランスが大切。

理想的PFCバランスは、たんぱく質15%、脂質25%、糖質60%とされているが(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」による)、糖質制限をするならば、そのぶんのエネルギーをたんぱく質や脂質でしっかり補う必要がある。

画像: ▼PFCバランスが重要

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なお、本稿は書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。ヒトの体の約60%は水分で、次に多いのが約20%を占めるたんぱく質。筋肉の原料となることはよく知られていますが、皮膚や髪、爪、血管、内臓に至るまで、たんぱく質から構成されていることはご存知でしたでしょうか。ダイエットの成功も、美しい肌や髪をつくるのも、心身の健康を保つのも、すべてたんぱく質がカギとなっているのです。本書では、たんぱく質のはたらきから、よりよい摂取方法、また摂取不足が引き起こす諸問題について、わかりやすく説明しています。難しい話は苦手という方でも、たんぱく質についてやさしく学べる内容となっています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

画像: 〈敵か味方か〉たんぱく質の摂取とダイエット効果の関係 脂肪になりにくい栄養素|PFCバランスが重要
イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! たんぱく質のしくみ
¥990
2021-12-07 10:19

たんぱく質は一日にどれくらい摂ればよい?卵は1日に何個まで食べてよい?の記事もご覧ください。



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