【花粉対策と空気清浄機】都心に飛来した花粉はサイズが違う?都市エリアはウイルス対策並みで行うのがベター

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空気清浄機で花粉対策をする場合、今までは山間エリアでも都市エリアでも、スギ花粉のサイズから想定されていました。しかし、都市に飛来するまでに花粉はそのサイズを変えるというのです。都市エリアでは、かなり強化した方がいいことがわかってきました。

日本の国民病ともいえる「花粉症」

日本の国民病と言われ、3人に1人は花粉症と言われる時代です。しかし、まだ花粉症に対して完全な治癒薬はありません。

ただただ対処療法で凌ぐだけです。そして予防方法ですが、今までは山間エリアでも都市エリアでも、スギ花粉のサイズから想定された方法が用いられてきましたが、実は都市エリアでは、かなり強化した方がいいことがほぼ確実になりました。

なお、当レポートは、2022年2月に行われたダイソン・ジャパンの花粉セミナーの埼玉大学大学院理工学研究科教授 王青躍先生(環境科学、花粉症原因物質研究の第一人者)発表を元にしています。

JIS規格の花粉は30μm

世の中にJIS規格というものがあります。このコロナ禍、不織布マスクのJIS規格も2021年にようやく決まりました。

「微小粒子捕集効率(PFE)」「バクテリア飛まつ捕集効率(BFE)」「ウイルス飛まつ捕集効率(VFE)」「花粉粒子捕集効率」の4項目に関して、テストし、どれをクリアしたかを明示して性能を示すのです。

4項目に分かれているのは、それぞれ対象サイズが異なるからです。当然テスト方法も異なります。微小粒子捕集効率(PFE)は、粒径0.1μmのポリスチレンラテックス粒子、バクテリア飛まつ捕集効率(BFE)は、バクテリアを含むエアロゾル、3.0μmの粒子、ウイルス飛まつ捕集効率(VFE)は、ウイルスを含むエアロゾル、3.0μmの粒子、花粉粒子捕集効率は30μmの粒子でテストします。スギ花粉の平均値に基づいていますが、他のマスクで濾すべきものに比べると、かなり大きいです。

資料提供: 埼玉大学大学院 王青躍教授

花粉は都市部に来るまでにサイズが変わる

この時期、山間、杉林の近くに駐車していますと、数時間でクルマは黄色に染まります。要するに花粉に塗れるわけです。大袈裟に話しているのはありません。実際のお話です。

しかし、この花粉、直接呼吸深部に侵入することはできません。大きすぎるのです。空気中飛散物で
PM2.5というものがあるのは、皆さんもご存知のことと思います。PMは粒子状物質、2.5はそのサイズ、2.5μm以下を示します。そして、ポイントはサイズ、成分は何でもいいのです。なぜ、どんな成分でも問題になるのかというと、このサイズだと容易に、呼吸器の深部、肺胞まで到達するので、健康影響の問題が出てくるのです。当然、その時、有害物質だけ選り分けることなどは不可能です。このため、全部取り除く算段をした方がいいということで、問題視されています。

人は自己防御のため、有害なものは極力体内に入れないメカニズムがあります。呼吸系で言うと鼻毛があります。空気が汚い場所で暮らしていると鼻毛がすごーく伸びます。これは鼻毛が有用だからです。そして粘液も同様に、呼吸器を守ります。(そうではないという主張する人もありますが、私は経験によりそう思います。)

しかし、粒径が10μm(1μmは1mの100万分の1)以下のもの、産業革命以降出てきたもの(それまでは火山の噴火など特殊な時以外なかったもの)に対し、人類は、生物的に防衛することができないのです。それからいうと、現代という時代が、いかに尖った、逆説的な言い方をすると、歪な状態であるかがわかります。

それは置いておくとして、「スギ花粉は30μmだから、問題ない」と言うのも、ちょっと違いますね。都会に運ばれてくる間に、色々な変貌を遂げるのです。

資料提供: 埼玉大学大学院 王青躍教授

ちなみに、花粉症を発症させるのには、スギ花粉丸ごとが必要なわけでなく、花粉表面にあるCry j1、花粉内部にあるCry j2がアレルゲンです。このため、スギ花粉はサイズは変わっても、アレルゲンです。しかもダイレクトに肺、体の深部まで到達します。

厄介な話です。

何故、都心でサイズが変わるのか?

スギは風媒生殖をします。スギの花粉(牡)の中の精子がスギの雌蕊(雌)に着くことにより受精します。花粉というのは、精子の入れ物なのです。このため、いつかは花粉は破れます。スギにとって重要なのは花粉であることでなく、精子を届けることですから。

例えば、膨張により破けることも知られています。

資料提供: 埼玉大学大学院 王青躍教授

SEMというのは、SEMというのは走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)のことです。この膨潤後、花粉は破裂するのですが、実に素晴らしい写真です。SEMはサンプルを作るのが難しいので、このような写真はなかなか撮れません。

では、その他に小さくなる原因はないのか?というとあります。工場、クルマが排出する有害物質NOx(※)です。

※ノックス。一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)等の窒素酸化物のこと。工場、事業所及び自動車における物の燃焼などに伴い排出されます。 またNOxは酸性雨や光科学汚染の原因となり、二酸化窒素(NO2)は人体に対して特に有害であり、呼吸器系の病気を引き起こします。

ノックスは人体に影響を及ぼすくらいのパワーを持つ物質です。当然、花粉も侵します。殻を破り、小さくなったアレルゲンを空中にぶちまけます。それどころか、それより酷いことも行われているようです。

複合汚染の可能性

複合汚染という言葉があります。硫黄酸化物や窒素酸化物などの共存による環境汚染。相乗作用によって単独の場合より被害が増大することを意味しますが、化学物質の相乗作用により、一つ一つは無害でも、合わさって有害物質を作るときにも使われます。

この言葉が有名になったのは、1974年に、有吉佐和子が、このタイトルで公害問題、化学物質汚染に対する作品を朝日新聞で連載したためでしょうか。

実は、スギ花粉にも同様なことが起こっているのではと言われています。

資料提供: 埼玉大学大学院 王青躍教授

実は、都市エリアでは、スギ花粉の8割は原型を留めていない、小さくなっているとというデーターが出揃いつつあります。となると、花粉の殻は割れて中の化学物質は剥き出しの状態です。十分あり得る話です。

都会では、花粉アレルゲンは、サイズも違いますが、特性も変わっている可能性があるのです。

都会の花粉症対応

スギ花粉対策で大きな役割をするのは、「マスク」と「空気清浄機」です。マスクは2021年にJIS規格が定められたのは前述の通りですが、そのマスクに「花粉テストクリア」と書かれていても、壊れ、サイズが小さくなった花粉には無力です。最低でも「バクテリア飛まつ捕集効率(BFE)」「ウイルス飛まつ捕集効率(VFE)」をクリアしたマスク。できれば、「微小粒子捕集効率(PFE)
」をクリアしたものを使いたいです。

空気清浄機も同様。HEPAフィルター(0.3μmを99%以上トラップすることができるフィルター)を使っているものがいいです。

そして、この2つはコロナ禍、ウイルス対策に必要なモノと同じです。だからこそ春の名物である「花粉症」は猛威をふるわなかったのではないでしょうか?

空清は365日使えるものがいい

では、空気清浄機はどんなものがいのでしょうか? 今回はスギ花粉について話をしていますが、花粉症をもたらす花粉はスギだけではありません。私は「ブタクサ」に弱いです。そして、花粉が飛ぶ季節は秋口です。

となると空清は出しっぱなしになります。そんなときに便利なのが、ハイブリッド型。他の空清機器の特徴を持ったタイプ位です。そしてやはり、デザインもちょっと凝りたい。となると、解答は、「ダイソン」です。例えば、最新機種の「Dyson Purifier Humidify+Cool Formaldehyde」などはどうでしょうか?

Dyson Purifier Humidify+Cool Formaldehyde™
加湿空気清浄機
ホワイト/ゴールド (PH04 WG N)

ちょっとお高いのですが、加湿器としても空気清浄機としても使えます。微細なPM 0.1までも99.95%除去しますので、都会で変貌した花粉にも対応します。また加湿時気になる水質汚染。これにも万全な対応がなされています。なんせ、水蒸気にする前の水路をUV-Cで徹底的に綺麗にします。

あと、モダンなデザインも都会にピッタリですね。欠点は、ちょっとお高いことですいが、つくりもしっかりしていますし、長く使うとしたら良い買い物だと思います。

最後に

マスクでは花粉のJIS規格が作られていますが、今回、都会の近くに住む人は、それは不十分という話をさせていただきました。

このように、今までの常識がひっくり返ることなど、今からはよくあるパターンだと思います。その分、環境の変化により、前提があてにならないのですね。

皆様も情報には注意して、お過ごしくださいね。

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング、ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散策とラーメンの食べ歩き。

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