万年筆のキャップには、大きく分けて「ネジ式」と「嵌合(かんごう)式」2通りの方式があります。どちらも上向きでゆっくり開けるのは共通。また、万年筆の一部にはキャップなしでボールペンのようにノックや回転でペン先を繰り出す機構を持つものがあります。
キャップの開け方はどうやる?
ネジ式と嵌合式の2つがあるが、上向きでゆっくり開けるのは共通
万年筆のキャップには、大きく分けて2通りの方式があります。1つは「ネジ式」で、本体とキャップの内側に彫ってある溝を、ボルトとナットのように回転させながらかみ合わせて固定するものです。外すときは逆回転させます。このとき、ペン先を上に向けて、ゆっくりと回転させましょう。
もう一方の「嵌合(かんごう)式」は、本体とキャップ内側の凸と凹を噛み合わせて固定するもので、外すときは少し力を入れて噛み合わせを外します。音が鳴るので「パッチン式」とも呼ばれます。嵌合式で注意が必要なのは、力を入れすぎると一気にキャップが抜けて、このときに発生する負圧でインクが吹き出す可能性がある点です。必ずゆっくりと動かして、かみ合わせが外れたところで、いったん動きを止めましょう。
キャップのない万年筆ってないの?
国内外の各社から発売中外出先で手早く書けるので便利
ほとんどの万年筆はキャップを外して使用する方式ですが、一部にはキャップなしでボールペンのようにノックや回転でペン先を繰り出す機構を持つものがあります。パイロットの「キャップレス」シリーズはラインアップが豊富で、繰り出し方式も2種類から選択できます。
パイロット「キャップレス」シリーズ
●価格:1万6500円から2万7500円。
プラチナ万年筆の「キュリダス」はノック式のみですが、価格がお手頃です。海外メーカー製では、ラミーの「ダイアログ3」などが有名で、こちらは回転繰り出し式です。
プラチナ万年筆「キュリダス」(PKN-7000)
●価格:7700円
キャップのない万年筆は、構造が複雑で故障しやすいのではないかと心配するかもしれませんが、現在では信頼性が向上しています。特に、国内メーカーのものは耐久性の高さが評価されているようです。なお、ペン先はクリップの付いている側から出てきます。
万年筆のキャップは後ろに差すべき?
筆記時の重量バランスの好みで付けるか外すかは個人の自由
万年筆を使うとき、キャップを本体の後ろに差しておくべきか、あるいは外した状態で書くべきかについては、決まりはありません。書く人の好みと、万年筆の重量バランスに応じて、持ち方を決めていけばいいでしょう。
国産の製品は、本体が軽いものが多いため、キャップを付けた状態でも書きやすいと言えます。
一方で、胴軸やキャップに金属がふんだんに使われた海外メーカーの製品では、キャップを付けると、重心が後ろに行きすぎるため、キャップを外したほうが書きやすく感じるかもしれません。例えば、ファーバーカステルの「伯爵コレクション」シリーズはキャップ全体が金属製のため、キャップを付けた場合、かなり後ろに重みを感じます。
◆監修者:高畑正幸
※価格は記事作成当時のものです。
※この記事は『「手書き」をとことん楽しむ万年筆・ガラスペン入門 』(マキノ出版)に掲載されています。