外付けフラッシュ(ストロボ)というと、業務用機材だとか作品づくりをするひとたち、あるいは「カメラ沼の住人」のようなカメラが特に好きなユーザー向けのものだ、とみなさんは思われるかもしれません。でも、レジャーに楽しく使えそうなレトロデザインのGODOX Luxシリーズという、レトロデザインが素敵な製品もあります。むかしのフィルムカメラに使うこともできます。本稿ではこのGODOX Lux SeniorとJuniorと、その楽しい使い方についてお話していきます。
執筆者のプロフィール
千秋(ちあき)
インドアな仕事をしながら、最近になってアウトドア・レジャーもいいなと思い始めたものの、本格的な登山をするほどではない「やわらかアウトドア」派。どちらかというとやや陰キャ。カメラ、コンピューター、デジタルガジェットも好きで、ネットショップ、ホームセンターあるいは百円ショップでも「安いけどお得な感じ」なものはないかと考えるのが好き。
外付けフラッシュに興味はありますか?
業務ユーザーや「カメラ沼の住人」だけのものにあらず
読者のみなさんは、カメラ用の外付けフラッシュ(ストロボ)をお持ちでしょうか。暗いところなどで写真を撮るときに使う、シャッターが開く瞬間にあわせて発光させるあの道具です。
フラッシュはプロ用フラッグシップ機やレトロテイストデザインのカメラをのぞいては、いまではカメラやスマホに内蔵されていますよね。そして、暗いところでフラッシュなしでもきれいに撮影できる機種も増えました。だから、外付けフラッシュを持っているという方は、そう多くはないかもしれません。
「フラッシュ」の正式な名称は「エレクトリックフラッシュ」といいます。それ以前に使われていた閃光電球(フラッシュバルブ)と区別するために「エレクトリックフラッシュ」と呼ぶようになったものが、閃光電球とそれを使う発光器(フラッシュガン)が使われなくなり、短く「フラッシュ」と略されているようです。日本では「ストロボ」という言い方も。カメラ専門誌では「ストロボ」と呼ぶことが多いようです。さらに「スピードライト」などという名称を使うメーカーもあります。「外付けフラッシュ」「外部フラッシュ」などという表現も。迷ったのですが、本稿では「外付けフラッシュ」と記していきます。
外付けフラッシュはどちらかというと、スタジオで商品撮影をする、あるいは取材をする新聞記者や筆者などのように説明写真を撮る業務ユーザー、作品づくりをする本格ユーザー、つまりは「カメラ沼の住人」向けの機材だとみなさんに思われているのではないでしょうか。
でも、今日はみなさんにあえてご紹介したい外付けフラッシュがあるのです。レトロデザインが素敵なGODOX Lux(ゴドックス・ルクス)シリーズの2製品です。
レトロデザインが楽しいGODOX Luxシリーズ
スタイリッシュで遊び心いっぱい
一般的な外付けフラッシュは「撮影機材」といったおもむきの製品ばかりです。機能美は感じさせても外観デザインが素敵だとは、思ったことがありませんでした。業務ユーザーであり「カメラ沼の住人」でもある筆者であってもです。
11月25日より日本国内で販売が始まったGODOX Luxシリーズは、レトロなデザインが特徴で、カメラ上部に取り付けるクリップオンフラッシュです。外観写真を見てもらえばわかると思うのですが、遊び心に満ちているところが興味深いのです。
GODOXはハイスペックな業務用ストロボ製品で知られています。中国・深センに本社がある照明器具メーカーです。日本では株式会社ケンコープロフェッショナルイメージング(KPI)が正規代理店です。KPIの正規輸入品には国内保証書と日本語の取扱説明書も付属します。
リフレクターが特徴の
Lux Senior(ルクス・シニア)
Luxシリーズには2製品が用意されています。まず、Lux Senior(ルクス・シニア)(税別22,500円)は発光部が収納式になっています。フタを開けてリフレクター(反射板)を開き、発光管をポップアップさせて使います。
これは、1960年代(昭和30年代から40年代)に使われていたリフレクターのある発光器(フラッシュガン)に閃光電球(フラッシュバルブ)を装着した姿を模しています。大容量のエレクトリックフラッシュが実用化されるまえに用いられていた道具で、いちど発光させたらそのたびに電球を交換する必要がありました。
フラッシュバルブをじっさいに使ったことのある方は、いまやそう多くはないでしょうが、昔の映画などで見たことがある方は少なくはないはず。
【クラシックなデザインとシンプルな操作性を実現】60年代を想わせるリフレクターやフラッシュバルブ、クラシックなデザインを採用。オートあるいはマニュアルモードを選択するだけで簡単にライティング演出が可能。
【あらゆるカメラで使用可能】オートフラッシュモードで適正露出を計算して発光が可能。デジタルカメラだけでなくフィルムカメラにもお使いいただけます。
【安心の国内正規サポート対象商品】本製品は株式会社ケンコープロフェショナルイメージング(KPI)取扱の国内正規品です。ご購入後も安心してお使いいただけます。※…
コンパクトでかわいい
Lux Junior(ルクス・ジュニア)
そしてLuxシリーズのもうひとつはLux Junior(ルクス・ジュニア)(税別12,800円)という名前の小型クリップオンフラッシュです。1980年代(昭和50年代から60年代)のフィルム一眼レフカメラといっしょに使われていたフラッシュのようなデザインです。
どちらも、シルバークロームと革張りの装飾がレトロでスタイリッシュですよね。レトロテイストデザインのデジタルカメラには非常によく似合いますし、フィルムカメラにもバッチリ合います。もちろん、ふつうのデザインのデジタル一眼レフやミラーレスカメラにつけてもとてもおもしろいはず。
Lux Seniorは充電式のリチウム電池を内蔵しています。USB-TypeC規格のケーブルも付属します。パソコンやモバイルバッテリーから充電します。いちどの充電で最大150回まで使用できます。
Lux Juniorのほうは単4乾電池を2本使用します。充電式の乾電池を使うこともできます。
【シンプルなデザインと操作性を実現】80年代を想わせるレトロクラシックなデザインを採用。オートあるいはマニュアルモードを選択するだけで簡単にライティング演出が可能。
【あらゆるカメラで使用可能】オートフラッシュモードで適正露出を計算して発光が可能。デジタルカメラだけでなくフィルムカメラにもお使いいただけます。
【安心の国内正規サポート対象商品】本製品は株式会社ケンコープロフェショナルイメージング(KPI)取扱の国内正規品です。ご購入後も安心してお使いいただけます。※販売元、出荷…
使い方もむかしのフラッシュのよう
デジタルカメラならば、まず撮ってみればいいじゃない
「でも、外付けフラッシュって設定が難しいんでしょう」と思われるかもしれませんが、Luxシリーズの設定は、むかしのフラッシュふうといいますか。慣れれば簡単です。
カメラメーカーの純正フラッシュのように、カメラボディ側とは連動はしません。そのおかげでカメラ上部にJIS規格のホットシュー(フラッシュ接点)のあるカメラならば、メーカーを問わずに使うことができます。古いフィルムカメラでも使用できます。
設定する必要があるのは、フラッシュ側で発光量を自分で設定するマニュアルフラッシュ(M)モードか、発光量を自動制御するオートフラッシュ(A)モードのどちらかに合わせることくらいです。
カメラの露出モードは絞り優先AEモード(A)モードかマニュアル露出(M)モードにしておきましょう。シャッター速度は機種ごとにことなるので、お使いになるカメラの説明書に「フラッシュ同調シャッタースピード」(メーカーにより「X同調速度」「フラッシュ同調速度」「シンクロ同調速度」とも)と書かれているシャッター速度よりも遅く設定します。現代のカメラだと1/250秒くらいの機種が多いはず。
フラッシュ側のオートフラッシュ(A)モードの初期設定では、ISO100/F2.8で制御されます。そこで、カメラボディのISO感度は100に、絞り値はF2.8に設定します。ズームレンズなどのF2.8よりも開放F値が暗いレンズで使うならば、ISO400/F5.6と考えて設定してください。つまり、カメラのISO感度は400にして、絞り値はF5.6にします。
被写体の距離が4m以内でないと光は届きません。ピントを合わせるとレンズに被写体への距離が表示される機種ならば、被写体への距離はそこでわかります。でも、あまり厳密にわかる必要はないので、目測でもだいじょうぶです。
上記の説明でも「やっぱりむずかしい」とひるんでしまう方がいないか心配になります。だから、あえておおざっぱな感じにいうと、撮影結果がすぐにわかるデジタルカメラならば、フラッシュ側をオートフラッシュ(A)モードにして、とにかくいちど撮ってみるのが手っ取り早いでしょう。
シャッターに合わせて発光したかどうかたしかめながらまず一枚撮ってみましょう。再生してもし光量がねらっていたものとちがっていたら、マニュアルフラッシュ(M)モードに変更して、発光量を調節してみればいいのです。この光量調節は、フル発光から1/64までの7段階で調節ができます。
レジャーに持ち出してみよう
フラッシュがコミュニケーションツールになるかも
どちらのフラッシュもレジャーに持ち出すのがおすすめ。少し暗い場所や、逆光で被写体の顔が影になってしまう場所などでも、表情を明るく写すことができます。ただし、施設によってはフラッシュの使用を禁止している場所もありますので、そこは指示に従いましょう。
Lux Seniorのほうはとくにめずらしいデザインなので、使っていても楽しいですし、操作するのもおもしろい。
筆者も試用中に「そのフラッシュはいったいなあに」と何人かの方に興味を持ってもらえて、原稿用の写真を楽しく撮ることができました。コミュニケーションツールにもなるかもしませんね。パーティに持っていけば話題にもなりそう。
フラッシュの光量を強めに設定すると、直射光であることも手伝って、なにかのドキュメンタリーのようにドラマチックな雰囲気にも撮影できます。ファッション写真やグラビア撮影などでも、意図的に強いストロボの直射光を使って、報道写真のように仕上げる作風のカメラマンがいます。手軽にそういう雰囲気で遊ぶことができるのは、レジャーの思い出になるのではないでしょうか。
おうち時間でテーブルフォトにも使える
光の向きを工夫して変えたらもっとよくなる
昨今の情勢によりなにかと自宅で過ごす機会が増えている方も少なくないはずです。そういう際に試してほしいのは、自宅でのテーブルフォトです。
レンズ交換式の一眼レフカメラやミラーレスカメラと外付けフラッシュがあれば、お気に入りの花や小物、コレクション、料理や自作したお菓子などをきれいに撮ることができます。
フラッシュの光量はガイドナンバー(GN)と表示されます。Lux SeniorはISO100でGN14、Lux JuniorはGN12と、カメラの内蔵ストロボと同程度ではあり、そう大きい光量ではありません。そして、発光部分が固定式です。
光の質感や出力を制御しながら商品撮影を何百カットも効率的に本格的に行うならば、充電時間が短く発光部分が首を振る大型フラッシュや、大型の反射傘などがあるほうがいいことは確かです。
ただLuxシリーズは外付けフラッシュであるために、工夫をすればカメラから光の向きを変えることはできます。カメラの内蔵フラッシュよりも光の向きや調子を制御しやすいのです。
Luxシリーズには15cm程度のシンクロケーブルが付属します。ただし、このケーブルを使うには前述のようにカメラ側にシンクロソケットと呼ばれる接点が必要です。
また、付属品よりもより長く、カメラ上部のホットシューとストロボ下部の接点に装着できるシンクロケーブルも別売にはなりますが、数千円程度で入手できます。
さらに、Luxシリーズにはカメラの内蔵フラッシュに反応して自動的に発光させる光通信機能もあります。
こうした機能や道具を使ってフラッシュをカメラから離して、向きを変えて使うことができると、撮影方法に変化がつきます。
天井が白い部屋であれば、ストロボの光だけを天井に向けて反射させると被写体の周囲に濃い影の出ない、テーブルフォトに向いたやわらかい光を得ることができます。バウンスというこの方法は覚えておくと便利です。天井が白くない場合はスケッチブックに反射させれば代用できます。
小さい子どもやペットなどにはフラッシュの強い直射光をあてるのは目によくないので、天井バウンスを使ってほしいと思います。
テーブルフォトにはできれば三脚か、ストロボを固定するスタンドなどがあるほうが効率的ではあります。ハマりだすと、近接撮影にとくに向いていて、ぼけもきれいなマクロレンズも欲しくなるかもしれません。
まとめ
趣味なら楽しい道具で写真を撮りたい
【クラシックなデザインとシンプルな操作性を実現】60年代を想わせるリフレクターやフラッシュバルブ、クラシックなデザインを採用。オートあるいはマニュアルモードを選択するだけで簡単にライティング演出が可能。
【あらゆるカメラで使用可能】オートフラッシュモードで適正露出を計算して発光が可能。デジタルカメラだけでなくフィルムカメラにもお使いいただけます。
【安心の国内正規サポート対象商品】本製品は株式会社ケンコープロフェショナルイメージング(KPI)取扱の国内正規品です。ご購入後も安心してお使いいただけます。※…
筆者は業務ユーザーであり、かつ「カメラ沼の住人」でもあります。それなりにいろいろ知っているつもりでも、デザインが素敵で操作が楽しい外付けフラッシュには、いままで出会ったことがありません。Lux Seniorははじめて出会った「デザインと操作が楽しいフラッシュ」です。
Lux Seniorのリフレクターを開く動作は何度行っても新鮮で楽しいですし、Lux Juniorは中高生のころに使っていたフラッシュを思い出して、なつかしく感じます。
趣味の道具に求められるのは機能性だけではないはず。持ち歩いたり使っていて楽しいかどうか、あるいは持ち歩きたいかどうかというデザインも重要なのではないでしょうか。だって、楽しい道具を使うほうが気分がアガるじゃないですか。業務ではないですしね。
GODOX Luxシリーズストロボをご紹介したのは、写真を撮るならば、お気に入りの道具で楽しみたいですよね、という気持ちを共有したくなったからです。本稿がみなさんの写真生活をより充実させるヒントになれば、と思います。