東洋医学は「排泄の医学」とも言われます。便や尿、汗といった老廃物をしっかり排出できていれば病気にはならないと考え、排泄力の改善を重視します。ふくらはぎをほぐすと、腎臓や副腎の働きがよくなり、排泄がスムーズになり免疫機能も改善します。つまり根本の“生命力”が底上げされるのです。【解説】福辻鋭記(アスカ鍼灸治療院院長)

解説者のプロフィール

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福辻鋭記(ふくつじ・としき)
1944年生まれ。アスカ鍼灸治療院院長。日中治療医学研究会会員・日本東方医学会会員。東洋鍼灸専門学校を卒業後、鍼灸が美容に効果的であるという一面に興味を持ち美容術の技術と理論について研究。カイロプラクティック、整体などの技術も学び、1985年に五反田にアスカ鍼灸治療院を開設。美容鍼灸の草分け的存在で、女性雑誌・健康雑誌・テレビ等でも活躍中。著書多数。

心の不調はふくらはぎに現れる

私が患者さんを治療する際に、まず診るのが「ふくらはぎ」です。
ふくらはぎには、その人の健康状態や疲れ具合が現れるからです。

健康な人のふくらはぎは、弾力があり引き締まっています。こうしたふくらはぎの持ち主は、体の調子が一時的に悪化しても、すぐに回復します。

反対に、ふくらはぎがカチカチで押すと痛い人や、ふくらはぎの筋肉がボコッと張り出ている人、逆にふくらはぎの筋肉にハリがなくたるんでいる人は、注意が必要です。

こうしたふくらはぎには、次の不調の兆しが現れています。
・疲れが溜まっている
・内臓の働きが悪くなっている
・ウイルスや病原菌を撃退する力(免疫力)が下がっている

ふくらはぎが硬いと、精神面でも不安定になりがちです。
例えば、気分がふさぎやすい、緊張しやすい、いつもイライラしている、寝つきが悪い、よく眠れない、といった症状です。 

心と体はつながっています。筋肉が硬くなると、心もキュッと閉じてしまうので、落ち込んだり、不安になったりしやすいのです。

こわばったふくらはぎをほぐすと、心が落ち着きます。私の治療院の患者さんには、不眠症のかたが多いのですが、筋肉をゆるめてあげると、その場で眠ってしまいます。

特に、ふくらはぎのような大きな筋肉には、体と心の調子がはっきりと現れます。
なかでも、ふくらはぎは、ほかの筋肉より硬くなりやすいので、患者さんの体と心の調子を診るのに向いているのです。

ふくらはぎほぐしで生命力を底上げする

私の専門である、鍼灸などの東洋医学では、「おなかや腰の状態は脚に出る」と言われます。

この脚とおなかのつながりを利用して、実際の治療では、脚に鍼を打ち、おなかや腰を治していきます。これは、東洋医学の常套手段です。

ですから、ふくらはぎ(脚)が硬いのは、おなかや腰の状態が悪く、内臓全般が弱っている証拠です。内臓の中でも、ふくらはぎには、「腎臓」と「副腎」の状態が最もよく現れます。

東洋医学は「排泄の医学」とも言われます。便や尿、汗といった老廃物を、しっかり排出できていれば、病気にはならないと考え、排泄力の改善を重視します。

排泄には、腎臓の働きが欠かせません。そのため、腎臓の調子が悪いと、体内の老廃物が排出できなくなり、不調に直結します。

一方、副腎は、免疫機能やストレスへの対抗力に関わります。
副腎が弱ると免疫機能が不安定になるので、カゼを引きやすくなり、花粉症やアトピー性皮膚炎など、アレルギー症状を発症しやすくなります。

ストレスへの対抗力が落ちるので、心が弱り、うつのようになったり、寝ても疲れが取れなくなったりします。

ふくらはぎをほぐすと、ふくらはぎとつながった腎臓や副腎にも刺激が伝わり、腎臓や副腎の働きがよくなります。

その結果、排泄がスムースになり、免疫機能も改善します。つまり、根本の“生命力”が底上げされるのです。

また、ふくらはぎをほぐすと、心が楽になったり、よく眠れるようになったりします。これは、副腎の働きがよくなって、ストレスへの対抗力が高まるからです。

最大血圧200が130に!血糖値も下がった

ほかにもふくらはぎには、下半身に滞った血液を心臓へと押し戻す、ポンプのような役割があります。

そのため、ふくらはぎを動かさないと、血液の流れが悪くなります。血管に余計に圧を加えないと、血液が流れないので、血圧の上昇につながります。

私の治療院には、高血圧の患者さんもよく来られます。患者さんのふくらはぎをほぐすだけで、血液の流れが改善して、血圧が10〜20㎜Hg下がるケースが珍しくありません。

ある会社経営者の男性は、多忙なうえ、生真面目な性格も相まって、血圧が上がりっぱなしでした。
予想どおり、ふくらはぎや足首が硬かったので、普段から自分でほぐしてもらったところ、200㎜Hgほどあった最大血圧が、今では130㎜Hgほどに下がりました(正常値は最大血圧140㎜Hg以下)。

糖尿病の高齢女性は、ふくらはぎをほぐすことで血糖値が下がり、医師から「いい状態です」と検査結果をほめられて喜んでいました。

糖尿病では、血液中に余分な糖がたまっています。ふくらはぎほぐしで血液の流れをよくすると、血液中に滞っていた糖が吸収されるようになるので、血糖値も下がるのです。

私が勧めるふくらはぎほぐしは、ひざにふくらはぎをのせて、足首を曲げ伸ばしたり回したりして、ふくらはぎを刺激する方法です(下)。

試してもらうとわかりますが、足首を動かすだけで、ふくらはぎのいろいろな部位を刺激できます。
別記事「ふくらはぎほぐしのやり方」を基本に、ぜひこちらもお試しください。

片足につき1〜2分行うのが目安

画像: 足首を回しながらふくらはぎほぐし

足首を回しながらふくらはぎほぐし

画像: 足首を前後に動かすふくらはぎほぐし

足首を前後に動かすふくらはぎほぐし

画像: この記事は『ゆほびか』2019年1月号に掲載されています。

この記事は『ゆほびか』2019年1月号に掲載されています。

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