全身に疲労が溜まったらマッサージチェア。これは普通です。しかし、朝起きたらマッサージチェアでストレッチをと言ったら意外でしょうか。そちらの方がケガなく、健康に過ごせる。今回は「健康に過ごすこと」にこだわる、ファミリーイナダのマッサージチェアのレポートです。
家庭用医療機器『LUPINUS ROBO(ルピナス ロボ)』
アニメ「機動戦士ガンダム」の超人気キャラクター「シャー」専用のスペシャルモデルを押し出しに使いながら、発表されたモデル。しかし「New Type(ニュータイプ)」の語感がこれほど当てはまる機種は珍しいです。
その位コンセプトなどは素晴らしいのですが、しかし2018年秋の発表時点では、完全稼働品が用意されていなく体感できませんでした。このため今回、大阪なんば スカイオ5Fのショールームで、ファミリーイナダの最新マッサージチェア「LUPINUS ROBO」(ルピナス ロボ)を体感してきました。家庭用医療機器です。
「ロボ」という、椅子という概念から離れた名前は、座る前からそれが相応しいことが分かります。「Zガンダム」のコックピットを思わせるようなその形状は、いままでにないものです。それは、施術中、人の目を寄せ付けないようにするためですが、私が一番近いと思ったのは、飛行機のファーストクラスで寝た時です。
座ると、まずはロボから質問をされます。
「身長」「体重」「年齢」「性別」。肩位置、こり具合を割り出すのはセンサーなどで行いますが、情報は多ければ多いほど、正確度が増します。そして、揉んで欲しくないところなども聞いてきます。ケガなどしていて痛いところは、マッサージしない方がイイですからね。
魅惑の「つかみモミ」と「押し」
感嘆したのは「つかみモミ」ができることです。
マッサージチェアのマッサージは、モミ玉とエアバッグで、こねる、押すが基本です。
それに対し、ロボは「つかみモミ」。これは「指の第二関節まで持ったメカ」と、ファミリーイナダご自慢のメカです。
マッサージ師のマッサージでも、背中、腰に時間を掛けるあまり、手、膝上、ふくらはぎの上部などはあまり時間を掛けないことが多い。
しかし、その部位で多用される「つかみもみ」は非常に気持ちがイイものです。テスト中、余りの心地よさにちょっと声を上げたくらいです。このメカは大いに魅力的です。
また、AIの押しコントロールも見事です。
押しというのは、軽く押した後、ぐっと押し込むと効果的と言われています。そして、そこで止める。で、ゆっくり元に戻す。これをコリに強さに合わせ見事にやってのけます。
水泳の北島選手だったら、間違いなく「気持ちイイ。すげー気持ちイイ」と叫ぶところでしょう。
マッサージ師とロボ、どちらが気持ちいいか
マッサージ師とロボ、どちらが気持ちイイか。実は、15分の施術を20〜70代の616名に行い、内30名を無作為抽出して競わせた評価結果があります。
首・肩、腰、腕、足裏・ふくらはぎの各部位の心地よさに加え、利便性を加味した結果ですが、腕、足裏・ふくらはぎは、ロボ:55%、59%と他の部位を上回っています。
それだけ「つかみもみ」が評価されたわけです。私の場合、ふくらはぎ上部は痛みに弱いのですが、それが気持ちいいですので、当然高評価です。
ストレッチの効能を味わえるコースが充実
ファミリーイナダのイイところは、これから増える高齢者社会への提案があることです。
「疲労を残さず、明日も元気よく」は、どのマッサージチェアも共通ですが、ファミリーイナダは、「姿勢」「座禅」「トータルストレッチ」「前屈&反りストレッチ」「左右ひねりストレッチ」「伸ばしストレッチ」「ゆかり先生ヨガ」そして子供コースの「集中力アップ」「ストレッチと疲労回復」「音楽とリラクゼーション」「姿勢調整」など、ストレッチの効能を、ほどよく、手軽に味わえる様にコースが充実しています。
これを仕事、勉強する前に行うと、より動きがなめらかにするわけです。高齢者はケガ予防につながります。
ファミリーイナダ
ルピナスロボ FMC-LPN30000
AI健康アドバイザー、管理栄養士からアドバイスがもらえる
高齢者が多く付けるモノの一つに「万歩計」があります。
これが進化したのがフィットビットに代表される「活動量計」。ところが、フィットビットのデーターに血圧などを取り込む余地はありません。これらは一元管理した方がベターですし、関連性が分かれば、努力も深まります。
ファミリーイナダは「INADA MEDEICAL AI クラウド」を設け、それに対応しようとしています。
専用のアクティブメジャー(活動量計)で、運動、睡眠、脈拍を、「体組成計」では体重、脂肪などを、「手首血圧計」で血圧を、上げてもらい一元管理するわけです。
結果、AI健康アドバイザーから健康状態のアドバイスももらえますし、管理栄養士からのアドバイスももらえます。
また、その人に合ったプログラムをロボにバージョンアップもしてくれます。それに加えて、父母もロボを使っていると「見守り」もしてくれます。
マッサージチェアにおける、AIとIoTの見事な融合を見せてくれます。
高齢化社会の「必要家電」となるか?
現在、マッサージチェアは、「必要」というより「あったらイイね」に位置づけられています。しかし、今後もそうでしょうか?
高齢者になると、新陳代謝が衰えるため、朝、体を温めることが必要です。それとともに、体を動かし、日々の動きがきちんとできる様にしなければなりません。
ファミリーイナダのマッサージチェアを「過剰」と感じる人もいると思いますが、ヒーター、ストレッチ機能が付き、しかもリラックスしながらできる。それができるマッサージチェアは、介護などがギリギリ必要な人にとって甚だ便利な家電と言えます。
来たるべき未来。
リビングの椅子の一つは「マッサージチェア」。ルピナスロボは、そんなことを予感させるマッサージチェアです。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング、ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京散歩とラーメンの食べ歩き。