以前は「肉はダメで菜食がいい」と考えていましたが、悪いものを排除しようとすると攻撃的になりイライラします。それよりも、自分の消化能力や腸内環境をはぐくむことが大事なのではないか、発酵の力を借りて食べ物を分解、無害化すればいいのではないかと思ったのです。【解説】栗生隆子(発酵生活研究家)

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

栗生隆子(くりゅう・たかこ)
発酵生活研究家。自然食材の暮らし、家庭でできる発酵生活を実践したところ、長年患った腸の病気が完治。目に見えない菌が健康にも環境にもたいせつな役割をしていると知り、菌の世界から発酵への理解を深める。命のリレーをして細胞が続いていくように「つないでいく発酵」がテーマ。会員1万5000人を超えるFacebook「TGG豆乳ヨーグルト同好会」の管理人。著書の『豆乳グルグルヨーグルトで腸美人!』(マキノ出版)はベストセラー。ほかに『発酵生活で新しい私に生まれ変わる』(ヒカルランド)などがある。

発酵生活研究家となったきっかけ

私は14歳のときに潰瘍性大腸炎を発症しました。あらゆる薬や健康食品を試しましたが治らず、20年近くもの間、苦しんでいました。何を食べても腹痛や下痢が起こってしまい、外出もままならず、家に引きこもるしかない状態だったのです。

しかし、あるとき、糀を発酵させた甘酒を飲むと、腸が落ち着いて、喜んでいるのを感じました。それから発酵食品に興味を持ち、勉強していくと、発酵食品が腸内細菌のバランスを整えて善玉菌を増やすことがわかったのです。

私はそれまで、下痢止めの抗生物質を飲み続けていました。その結果、腸内の善玉菌が少なくなっていて、消化・吸収がちゃんとできていなかったのです。

みそを手作りするなどして発酵食品を毎日とるようになると、潰瘍性大腸炎が治まり、今では何を食べてもだいじょうぶな体になりました。

このように病を発酵食品で克服した経験から、「私たちは目には見えない菌の働きに助けられて生きている」と実感することができました。それは、「自分で自分の健康を守れるんだ」という自信につながっていき、発酵生活研究家として活動することになったのです。

画像: 毎日が“発酵生活”なので自家製の発酵食・発酵調味料を常備している。写真はその一部。左から発酵トマト、しょうゆ糀、黒豆みそ、発酵キャベツ、お米酵母

毎日が“発酵生活”なので自家製の発酵食・発酵調味料を常備している。写真はその一部。左から発酵トマト、しょうゆ糀、黒豆みそ、発酵キャベツ、お米酵母

発酵仲間にも人気のシンプルな発酵トマト

私は、豆乳と玄米で作るTGG(豆乳グルグル)ヨーグルトと発酵食品を楽しむためのフェイスブックのグループ「TGG豆乳ヨーグルト同好会」の管理人としても活動しています。

この同好会には現在、1万5000人以上ものかたが参加され、発酵生活の情報交換の場となっています。いろんな実験が行われ、失敗も共有し、体がどう変わったかなども報告されます。

今回ご紹介する「発酵トマト」も同好会で話題となっており、おいししくて、保存ができて、栄養価が高く、アレンジもしやすいという万能さが魅力となっています。

トマトを刻んで塩を入れるだけというシンプルな発酵で、失敗することはほとんどないので、発酵食を作るのが初めてのかたにもお勧めです。

作り置きできるので常備しておけば、野菜不足を感じたときにさっと食べたり、お料理に調味料として加えたりしやすいので便利です。

生きた菌の力をいただきながら保存できるのが、発酵トマトのいいところです。

よく「発酵しているものを加熱すると菌は死んでしまうのでは?」と質問を受けますが、それまでに菌が分解して作り出した栄養素は変わらず、加熱しても発酵を続ける熱に強い菌もいます。

また、菌にこだわらなくても、発酵トマトは、酵素の力で食材を柔らかくしたり、うまみを引き出したりしてくれるというよさがあります。

画像: 作って2日目のわが家の発酵トマト。生のトマトを食べると体が冷えていたが、発酵トマトにしてから冷えなくなった

作って2日目のわが家の発酵トマト。生のトマトを食べると体が冷えていたが、発酵トマトにしてから冷えなくなった

発酵トマトを食べると消化吸収がよくなる

発酵トマトを作って食べたかたからは、「便秘が治った」「疲れにくくなった」「肌がきれいになった」「よく眠れるようになった」などといった報告が数多く寄せられています。

トマトが持つもともとの栄養素と、発酵による菌の力が合わさって、体の不調を整えてくれるのでしょう。

発酵食品は、体内に菌をとり入れることで、消化吸収を助け、毒素を分解してくれるという働きがあります。発酵の過程で菌が栄養素を分解し、ビタミンなどの新たな栄養素を作り出してくれるのもすごい点です。

発酵トマトを、お料理に少し使うだけで、消化吸収がよくなり、胃もたれすることが少なくなるでしょう。

暑くて食欲がないときも、発酵トマトにコショウ、オリーブオイルを加えて、冷製スープとして飲めば、胃がスッキリし、栄養もとれます。

ヨーグルトとハチミツを合わせてスムージーにするのもお勧めです。

煮込みやパスタ、オムレツなど、トマト料理に使えば、うまみとコクが増して、おいしさが格段にアップします。

別記事で紹介しているレシピも簡単なものばかりです。ぜひ作って、発酵トマトを健康な食生活に役立てていただけるとうれしいです。

発酵食品を食べると心も元気になる

私のところには「発酵トマトを食べ始めてから、気持ちが前向きになった」という声もよく届きます。

その理由のひとつとして、体が健康になることで、やる気が出てきて、心も元気になるということが考えられます。

もうひとつの理由としては、発酵食品を食べて菌をとることで、体の中にいる菌が元気になって調和し、気持ちが穏やかになるのではないかと考えています。

私も以前は「肉はダメで菜食がいい」と考えていましたが、悪いものを排除しようとすると、攻撃的になりイライラします。

それよりも、自分の消化能力や、腸内環境をはぐくむことが大事なのではないか、それには発酵の力を借りて、食べ物を分解、無害化すればいいのではないかと思ったのです。

大事なのは排除ではなく、菌が助け合って生きている自然界と調和することだと発酵が教えてくれ、そのおかげで自分の体も人間関係も整ってきたように思います。

ふだんの食事で、発酵トマトのような発酵の力を借りること、それを食べて腸内環境が整って、心身ともに健やかな暮らしができることをいつも願っています。

画像: この記事は『ゆほびか』2019年6月号に掲載されています。

この記事は『ゆほびか』2019年6月号に掲載されています。

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