簡単な手順【鼻うがいのやり方】副鼻腔炎・後鼻漏の症状改善におすすめ 鼻洗浄の市販品も

美容・ヘルスケア

前回の記事では、長引く咳の原因が「鼻の炎症」にあり、それが慢性副鼻腔炎だった場合の治療法について、呼吸器内科専門医の杉原徳彦医師に解説していただいた。今回は、慢性副鼻腔炎や後鼻漏の治療効果を高めるセルフケアとして、杉原医師監修のもと「鼻うがい」のやり方を紹介する。

解説者のプロフィール

杉原徳彦(すぎはら・なるひこ)
医療法人社団仁友会仁友クリニック院長。医学博士。専門は呼吸器内科。日本内科学会認定医、日本アレルギー学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、全日本スキー連盟アンチドーピング委員。著書に『つらいせきが続いたら鼻の炎症を治しなさい』(あさ出版)などがある。
論文(NII学術情報ナビゲータ)

副鼻腔炎の症状改善に「鼻うがい」が役立つ

長引く咳や、その原因となっている鼻の不調を改善・解消、あるいは予防するために、みなさんがご自分でできるセルフケアをご紹介しましょう。

慢性副鼻腔炎は、正直なところ、治りにくい病気ですが、その治療効果を高めてくれるセルフケアはあります。

それは、「鼻うがい」です。

当院でも、薬を使った治療と同時並行で、患者さんには鼻うがいをおすすめしています。
そして、それを習慣にするようになった方からは、副鼻腔炎の症状である痰がらみや後鼻漏などをあまり感じなくなった、という感想を数多くいただいています。

軽い副鼻腔炎の人の場合、鼻うがいだけで治るケースもあります。
そのため、妊娠中など、薬物治療を避けたほうがいい場合などで、症状の軽い患者さんの場合、食塩水による鼻うがいだけで治していただく場合もあります。

鼻うがいで副鼻腔炎の症状がやわらぐのは、1%の食塩水で鼻腔や咽頭あたりを洗うことで、炎症性の物質が薄まるからです。

その結果、副鼻腔炎で生じやすいネバネバした鼻水がすっきりしたり、後鼻漏をあまり感じなくなったり、といったことが起こるのです。
気管支等に流れ込む炎症性の物質が薄められることで、炎症の悪化を抑え、ぜんそく等の気管支や肺に関連する疾患の症状も、やわらげることができます。

そのほか、アレルギーの原因物質やウイルス・細菌なども除去することができ、アレルギー性鼻炎やぜんそくの症状の予防にもつながります。

一般的には、約0・9%の生理食塩水が用いられますが、私はそれよりもやや濃い1%の食塩水をおすすめしています。塩による粘膜の引き締め効果をしっかり出すためです。

鼻うがいのやり方と手順

粘膜が引き締まることは、鼻づまりの解消につながります。高血圧等で塩分の摂取に注意が必要な方は、生理食塩水を用いることをおすすめします。
自分でつくるのが大変であれば、市販の鼻うがい薬を使ってもいいでしょう。
中には、重曹入りや、ハッカ入りのものなどもあり、患者さんたちの話では、食塩水だけのものよりも鼻の中がスッキリするそうです。

<編集部より>例えばこんな商品があります

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より効果を高めるには、行う「タイミング」も重要です。

おすすめしているのは、「寝る前」と「起きた後」の2回です。
副鼻腔で産出される炎症性の物質を含んだ鼻水や膿は、寝ている間も上気道や下気道へと流れていきます。

そこで、寝る前の鼻うがいで、炎症性の物質を薄めておくのです。そうすれば、鼻腔より下に炎症が飛び火するのを防ぎやすくなります。

また、1日の活動で鼻腔内に溜ったハウスダスト等を、鼻うがいで洗い流す効果もあります。
朝起きたあとにも鼻うがいをするのは、寝ている間に溜った炎症性の物質を洗い流していくためです。
2つのタイミングで行うことで、鼻腔内がよりきれいになり、その結果、上気道から下気道への炎症もやわらげることができます。

気軽に使えるスプレーの「鼻うがい」

また、最近は「スプレー」タイプのものもあります。
鼻の中にノズルで食塩水を流し込むのが苦手な患者さんには、「サイナスミスト」(ニールメッド株式会社)のような、スプレータイプのものをおすすめしています(ネット通販で購入できるので、ぜひ試してみてください)。

この場合、手順が通常の鼻うがいとやや異なります。

まず、鼻の穴に液体をスプレーした後、頭のてっぺんを床側に向けるように深くおじぎをし、20秒ほど待ちます。
こうすることで、鼻腔の粘膜全体に液体を浸透させることができます。
そして、もとの姿勢に戻し、鼻をかんで鼻の中の液体を出します。

ニールメッド
サイナスミスト
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鼻うがいの頻度(スプレータイプも含む)は、1日2回くらいで、それ以上は行わないほうがいいでしょう。
頻繁に行うと食塩水が耳に入るリスクを高めてしまい、中耳炎等の原因になりかねないからです。

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◆杉原徳彦(すぎはら・なるひこ)
1967年8月13日生まれ。杉原家は江戸時代から続く医師の家系で、17代目の医師になるものとして生を受けるが、レールの敷かれた人生に反発し、高校時代は文系を選択。部活のスキーの大会で肩関節を脱臼し手術を受けたことで、医師の仕事のすばらしさに目覚め医師を志す。94年、杏林大学医学部を卒業。2001年、同大学院修了。東京都立府中病院(現・東京都立多摩総合医療センター)呼吸器科勤務を経て現職。自らも喘息を患った経験があり、教科書通りの医療では良くならない患者がいることに疑問をもち、上気道と下気道の炎症に着目した独自の視点で喘息診療を行っている。仁友クリニックを設立し、喘息治療で功績を残した杉原仁彦は祖父にあたる。

※この記事は書籍『つらいせきが続いたら鼻の炎症を治しなさい』(あさ出版)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。

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