米ぬかに含まれるγーオリザノールには、自律神経調整作用や糖尿病や肝炎、アレルギー性炎症の予防・改善効果があることがわかっています。イノシトールには、動脈硬化予防や脂質異常症改善効果が、フィチン酸には強力な抗酸化作用があります。【解説】島村善行(島村トータル・ケア・クリニック理事長・医学博士)

解説者のプロフィール

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島村善行(しまむら・よしゆき)
島村トータル・ケア・クリニック理事長。医学博士。1946年、高知県生まれ。1972年、京都府立医科大学卒業。1977年、国立がんセンター研究所を経て、1980年、国立診療所松戸病院医長。1992年、国立がんセンター東病院医長。その後、千葉西綜合病院院長。2001年、千葉県松戸市に、島村トータル・ケア・クリニックを開院。院内に玄米菜食を扱うレストラン、介護老人施設を併設し、総合的な医療を実施。著書に『医師がすすめる野菜スープダイエット』(マキノ出版)など。

玄米を医療食にして大きな成果を上げる

私たちのクリニックでは、患者さんたちに栄養指導する際、必ず玄米菜食をお勧めしています。玄米食は、5分づき玄米や玄米がゆ、玄米スープ、玄米クリームなどさまざまで、患者さんの状況に応じて変えています。

当院の入院患者さんはもちろんのこと、併設されている老健施設でも、入居者さんたちに玄米を柱とした食事を提供することで、健康面で大きな成果を上げているのです。

玄米は、素晴らしい健康効果を有する食品です。では、玄米の効用としては、どんなものがあるでしょうか。

第一に、玄米では、豊富な栄養素をバランスよく取ることができます。

多くの方が食べている白米は、玄米から米ぬか(ぬかと胚芽)を取り除いたものです。白米に比べると、玄米には、約8倍のビタミンB1、約2倍のビタミンB2、約5倍の食物繊維が含まれています。他にも多数の有効成分があり、それらを含んだ米ぬかを、白米では捨ててしまっているのです。

「1日30品目をとろう」という健康スローガンがありますが、あれも、栄養バランスの悪い白米を食べているからこそ、足りない栄養を補う必要が出てくるのです。高齢になれば、1日30品目という多種類の食品を摂取することは到底できません。

高齢者は栄養不良に陥ると、フレイル(いわゆる虚弱の状態)から、認知症などを発症してしまう恐れがあります。

しかし、玄米を主食にすえて、後は具だくさんのみそ汁や納豆、漬物といった発酵食をとるようにすれば、栄養バランスの取れた食事が可能になります。特にたんぱく質不足の高齢者は、豆腐など大豆製品を食べましょう。

第二に、豊富な食物繊維の働きで、便秘が解消し、腸内環境も整います。腸内環境が改善すると、免疫力もアップします。

第三に、玄米には、多くの有効成分が含まれています。

玄米に含まれる有効成分
γ-オリザノール自律神経の調整 シミ、シワの予防
アラビノキシランNK細胞の活性化 抗酸化作用
イノシトール肝機能・脂質異常症の改善 動脈硬化の予防
フィチン酸抗酸化作用 老化遅延 排毒・排泄作用
GABA(γ-アミノ酪酸)精神安定作用 血圧安定作用
フェルラ酸認知症予防

米ぬかに含まれるγ(ガンマ)-オリザノールには、自律神経調整作用や、糖尿病や肝炎、アレルギー性炎症の予防・改善効果があることがわかっています。

同じく米ぬかのイノシトールには、動脈硬化予防や脂質異常症改善効果があり、フィチン酸には、強力な抗酸化作用があります。GABA(ギャバ)には、血圧安定作用があります。

これら複数の有効成分が生活習慣病全般にいい影響を及ぼします。その上、玄米菜食の食事では、同時に、肥満の予防・改善も図れますから、そのダイエット効果との相乗作用で、生活習慣病の予防・改善に役立つのです。

さらに、米ぬかのフェルラ酸には、認知症予防効果があり、先述のフィチン酸には、老化遅延効果もありますので、アンチエイジングのためにも有用です。

このような素晴らしい玄米を、私が医療食として取り入れるにあたっては、自分の体験が一つの契機となりました。

肥満、高尿酸値が改善

30代の前半頃、私は毎日のように大量の肉を食べていたために太ってしまい、身長168cmで、体重が74kgにもなっていました。尿酸値も高く、何度も痛風の発作に襲われました。45歳のとき、大腸ポリープを2回も摘出しています。

53歳のとき、なんとかしなければという思いから、1日3食のうち、2食を玄米菜食に切り替えました。すると、3ヵ月で7kgのダイエットに成功。その後も徐々に体重が減って、64kgとなり、以来、その体重を維持しています。

腸の調子もよくなり、よく眠れるようになりました。活力がみなぎり、カゼもひかない、疲れ知らずの体になったのです。大腸ポリープが再発することもありませんでした。

さらに特筆すべきは、動脈硬化が改善したことです。

私は、自分の動脈硬化の進行度合いを調べるために、内頸動脈(首の動脈)をエコーで計測してきました。そのデータによると、2008年には、内頸動脈の血管壁の厚みが1.4mmありました。通常は1mm未満とされていますから、動脈硬化が進行し、血管壁が厚くなっていたのです。

それが、2016年には、壁の厚みが0.9mmに。動脈硬化の起こっていた血管壁を明らかに改善することができたのです。食事によって動脈硬化を確かに改善させられたという極めて貴重なデータといえるでしょう。

こうした経験を踏まえて玄米菜食を取り入れたところ、クリニックや老健施設では、多くの成果が上がるようになったのです。

画像: 島村先生自身の頸動脈(首の動脈)を、内頸動脈エコーで2008年と2016年に測定。玄米菜食を続けた結果、プラークが大幅に減少した。

島村先生自身の頸動脈(首の動脈)を、内頸動脈エコーで2008年と2016年に測定。玄米菜食を続けた結果、プラークが大幅に減少した。

血糖値が正常値に

介護施設では、通常、入居して以降に、介護度が悪化することはあっても、改善例はごくごくまれなものです。それが、私たちの施設では、改善例が1割、現状維持が7割、悪化例が2割となっています。

これは、かなりの好成績です。改善例に加えて、現状をキープできている人が7割もいることにも注目していただきたいと思います。

2017年の例でいえば、要介護度が1ランク改善した人が7名、2ランク改善した人が6名も現れました。寝たきりや車イスから立ち上がり、歩くことが可能になった人が3名も出たのです。

生活習慣病についても、多くのよい結果が得られています。

例えば、61歳の男性は、血糖値が601mg/dl(正常値は110mg/dl未満)、ヘモグロビンA1c(過去1~2ヵ月の血糖状態がわかる指標、正常値は6.5%未満)が、14.5%もあり、当院に緊急入院した方でした。かなり危険な状態でした。

インスリン療法を続けながら、玄米菜食を開始したところ、3ヵ月後には、ヘモグロビンA1cが正常値内に落ち着き、インスリンを止め、飲み薬に変更することができました。まもなく血糖値も正常値内にキープできるようになったのです。

玄米を活用して元気な100歳を

さて、玄米を食生活に取り入れようとすると、「消化が悪い」「硬くておいしくない」「調理が大変」などと不平不満が出ることがあります。

しかし、それは、工夫次第でなんとでもなることではないでしょうか。私たちのところでは、玄米をさまざまな形で提供しています。

玄米スープや、玄米がゆ、玄米クリーム、5分づき玄米などなど、食べ方はいろいろあります。その中で、自分が食べやすく続けやすい、お好みの摂取方法でとることが大事です。

別記事では、玄米スープのことを「黄金スープ」と紹介していますが、これもお勧めです。

玄米スープは、飲むだけではなく、料理にも使うなど多彩な活用法があるようですから、大いに活用してほしいものです。

人生100年時代といわれますが、私は玄米の力を十分に活用すれば、100歳まで生き生きと生きることも夢ではないと思っています。

画像: この記事は『安心』2019年11月号に掲載されています。 www.makino-g.jp

この記事は『安心』2019年11月号に掲載されています。

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