ネクスコ東日本とネクスコ中日本は、関東甲信地方と静岡県内における、年末年始の高速道路渋滞予測の傾向と対策をとりまとめた。「渋滞予報士」による東名高速道路をはじめとする首都圏の渋滞情報の分析と、渋滞はなぜ起こるのかという発生メカニズム、渋滞多発の「サグ部」での対策など、渋滞の回避方法を紹介する。
年末年始の高速道路の渋滞予測と対策
東日本高速道路株式会社(以下、NEXCO東日本)関東支社および中日本高速道路株式会社(以下、NEXCO中日本)東京支社・八王子支社は、関東甲信地方および静岡県内の高速道路の年末年始(令和元年12月27日~令和2年1月5日の10日間)における渋滞予測(10km以上の交通集中渋滞)の傾向と対策などをとりまとめた。
1月2日~1月3日に渋滞が多発
NEXCO東日本によると、今年の年末年始に渋滞が多発するのは、1 月2日と1月3日。一方、比較的渋滞が少ない日は、12月31日、1月1日、1月5日など(下図参照)。詳しい渋滞予測については、各高速道路会社の公式ウェブサイトや様々なツールを確認したい。
渋滞予測▶下りは12月30日、上りは1月2日と1月3日
特に混雑する場所▶下りは秦野中井IC、上りは大和TNなど
NEXCO東日本初の女性渋滞予報士が誕生
渋滞予報士とは?
渋滞予報士とは、渋滞のメカニズムをできるだけ易しく伝える、という目的で誕生。過去3年間の渋滞データをベースに、周辺情報や時節性を踏まえ、長期連休の渋滞を予測 。年末年始やゴールデンウィーク、お盆などの長期連休前には、渋滞予測を発表している。
渋滞予報士の役割
いつ・どこで・どのくらいの渋滞が発生するかを予測。混雑している日にち・ルートを避けた分散利用を呼びかけて渋滞を減らすことが目的。
渋滞予測の歴史
・昭和62年度▶渋滞予測の情報提供を開始(⽇本道路公団時代)
・平成19年7月▶渋滞予報士が誕生。渋滞予測や渋滞対策の専門家として、関東支社の渋滞担当者が「渋滞予報⼠」としてメディアに露出
・平成29年4月▶北海道・東北・新潟に渋滞予報⼠が誕生。現在、各支社に1名ずつ、計4名の渋滞予報⼠が活動
6代目 渋滞予報士
小宮奈保子さん
NEXCO東⽇本 関東支社 交通技術課所属。
茨城県ひたちなか市出身。大学で土木を学び、インフラを支える仕事を志望。高速道路が身近にあったこと、土木職として計画から維持管理まで携わることができることからNEXCO東⽇本へ入社。入社後、総合企画課で高速道路ネットワーク整備による交通の流れの変化や渋滞発生状況の変化に関する業務に携わり、円滑な交通を実現するということに興味を持ったことがきっかけで交通技術課を希望し、晴れて2019年夏、6代⽬渋滞予報⼠に就任。
渋滞予報士になるには?
「渋滞予報士」という呼称は、NEXCO東日本でのいわば愛称。国家資格や民間資格のようなものではありません。したがって、渋滞予報士になるためには、天気予報の「気象予報士」のように、正式な資格を持つ必要はなく、まずはNEXCO東日本の職員になる必要があります。
どうして渋滞が発生するの?
渋滞が発生しやす「サグ部」とは
「サグ」とは、「たるみ」「たわみ」を意味する英語のこと。道路における、下り坂から上り坂への変化点のことを指すのが一般的。この地点において、渋滞が多く発生することが知られている。
サグでは速度を落とさない
NEXCO東日本では、渋滞発生地点となっているサグにおいて、渋滞ポイント標識の設置を進めています。この標識を見かけたら渋滞予防運転の実践による渋滞緩和にご協力をお願いいたします。
渋滞ポイント標識を見かけたら…
(1)無意識な速度低下に要注意!▶わずかな速度低下が渋滞の原因となります。
(2)車間距離を確保!▶クッションの役割を果たし後続車にブレーキが伝わるのを防ぎます。
(3)むやみな車線変更を控える!▶むやみな車線変更は、後続車にブレーキを踏ませ、渋滞を発生または悪化させる原因となります。
(4)速やかな速度回復!(渋滞時)▶渋滞の先頭はもうすぐです。速度回復の準備を!
リアルタイムな渋滞情報の入手方法
渋滞ポイントを地図で確認
安全走行をするために
・走行中の故障トラブルを防ぐため、走行前に車の点検をする
・後部座席を含めて、必ず全ての座席でシートベルトを着用する
・ETCカードは確実に挿入する
・ETCレーンは、20km/h以下に減速して進入し、ETCレーン内は徐行する
・給油やトイレは早めに、適度な休憩を取って安全運転に心掛ける
・長時間の運転は事故のもと
・運転中に「眠気」や「疲れ」を感じたら、決して無理せず早めの休憩をする
・渋滞の末尾での追突事故が多く発生。わき見運転をせず、渋滞末尾では早めのハザードランプで後続車に合図をするなど、追突事故の防止に心掛ける。
・二輪車の事故が発生。交通・気象状況をしっかり把握し、十分な車間距離をとって、安全な速度で走行する。
・渋滞中の車両追い抜きは危険なのでやめる
・高速道路で人がはねられる事故が多く発生。事故や故障でやむを得ず車外に出る場合は、後方の車にハザードや発炎筒、停止表示器材で合図をし、ガードレールの外側など安全な場所への退避と、非常電話等で通報をする
・道路の異常は、非常電話または道路緊急ダイヤル『#9910』で知らせる
まとめ
この渋滞予測を参考に、渋滞のピークを避け、出発時間を調整するなど、年末年始の旅行計画づくりに役立ててほしい。なお、本予測は過去の年末年始の渋滞実績と、最近の交通状況を踏まえたものだが、事故や天候の影響などで実際の渋滞状況が予測と異なる可能性もある。出発前に最新の交通情報を確認したい。また、高速道路会社各社では、様々なツールで渋滞予測情報や道路交通情報を提供している。高速道路を利用する際はぜひ活用してほしい。