新型コロナの影響により、全国でマスクの品薄が続いています。そんな中、香港の化学博士が考案した「HK Mask」が話題になっています。自宅で簡単にでき、医療用マスクに匹敵する性能を持つ「HK Mask」の作り方に加え、布マスクのお手入れ方法、キッチンペーパーやティッシュペーパーを使った簡易用マスクの作り方を紹介します(動画あり)。子供用の小さいサイズの型紙もダウンロードできます。(2020年4月15日更新)
手作りマスクの感染予防効果は?
新型コロナウイルス感染症の影響により、全国各地のドラッグストアや薬局でマスクの品薄が続いています。それを受けて、文部科学省が小中高等学校の授業再開に合わせて布マスクの作成を推奨しています。しかし、少し気になるのが、布マスクの性能でしょう。
そんな中、香港の鄺士山(クウォン・シーサン)化学博士が、自宅で簡単にDIYでき、医療用マスクに匹敵する性能を持つ「HK Mask」を考案し話題になっています。
この記事では、「HK Mask」の性能、作り方に加え、裁縫道具や布がない緊急時に作れる簡易用マスクの作り方をご紹介します。
高機能DIYマスク「HK Mask」とは
一般家庭で手軽にDIYできるのに医療用マスクに匹敵するほどの高性能な「HK Mask」ですが、一般的な「布マスク」と異なっているのは、布マスクにキッチンペーパーやティッシュペーパーなどの「フィルター」を挟んでいるという点。
つまり、「HK Mask」は、公式の型紙を用いて作成した布マスクに、キッチンペーパーやティッシュペーパーなどのフィルターを挟むだけで簡単に作ることができます。しかし、シンプルだからと言って侮ってはいけません。間に挟むフィルターの選択次第では0.3µmの試験粒子を85~90%まで捕集できるレベルまで防御力をあげることができます。つまり、結核等の患者に使用される「N95」マスクの最大91.3%の性能を持たせることが可能になるということです。
HK Mask作成時に必要な型紙は、赤ちゃん用から成人男性用まで、5種類の型紙が用意されており、無料でダウンロードすることができます。
「HK Mask」の作り方
材料(マスク1枚分)
作りたいサイズの型紙1種類、表生地・裏生地各1枚ずつ、ゴム紐2本、テープ2本、鼻当て用ワイヤー1本、フィルターお好みのもの1〜2枚。
フィルターの選び方は、クウォンさんによる公式画像を参考にしてください。
作り方
HK Maskは型紙通りに布を切り、縫い付けるだけで簡単に作れますが、クウォン博士公認の作り方動画も公開されています。お手本を見ながら作れるのでとてもわかりやすいです。
布マスクのお手入れ方法
洗い方
「HK mask」をはじめとする布マスクのいいところは、洗えば何度でも使えること。でも、適切な洗い方をしなければ、マスクに付着したウイルスをきちんと除去できなかったり、マスクが痛んでしまったりします。適切な洗い方をしっかりマスターしてください。
マスクの洗い方
(1)標準濃度の衣料用洗剤(使用量の目安に従って洗剤を水に溶かしたもの)に
マスクを10分ひたし、水道水でためすすぎをしたあと、マスクの水気をきる。
(2)塩素系漂白剤15mlを水1Lに溶かして、マスクを10分ひたす。
(3)水道水を用い充分にすすぐ。
(4)清潔なタオルに挟んで水分を吸い取る。
(5)形を整えて干す。
(出典:花王衛生化学情報)
<注意点>
・炊事用手袋を使用する。
・他の人のマスクと一緒には洗わない。
・〈1〉の洗剤液とすすぎ水にはウイルスが含まれている可能性があるため、洗剤液が飛び跳ねないよう、流す時には十分注意する。
・〈1〉の洗剤液とすすぎ水は、1Lあたり15mlの塩素系漂白剤を加えて10分放置してから捨てる。
・マスクの繊維をいためる可能性があるため、もみ洗いはしない。
また、厚生労働省の作成した布マスクの洗い方の動画も参考にしてみてください。
フィルターの交換頻度
「HK mask」は、4時間以上連続使用した場合や、フィルターに使用したキッチンペーパー、ティッシュペーパーなどが湿ってきた際は、フィルターの交換が必要です。フィルターの長時間利用、複数回利用はマスクの効果を下げてしまいますので、注意が必要です。
マスクやフィルターの捨て方
感染拡大を防ぐためには、使用したマスクの「捨て方」も重要です。適切な捨て方を心がけましょう。鼻水等が付着したマスクやティッ シュ等のごみを捨てる際は、 「ごみに直接触れない」「ごみ袋はしっかりしばって封をする」そして 「ごみを捨てた後は手を洗う」ことに留意する必要があります。また、実際に捨てる際は環境省の提唱する捨て方の手順を参考にしてみてください。
マスク・フィルターの捨て方
(1)ごみ箱にごみ袋をかぶせます。いっぱいになる前に早めにごみ袋をしばって封をしましょう。
(2)マスク等のごみに直接触れることがないようしっかりしばります。
(3)ごみを捨てた後は石鹸を使って、流水で手をよく洗いましょう。
(出典:環境省)
キッチンペーパーを使った「簡易マスク」とは
次からは、布や裁縫道具がなくても作れる「咳エチケット用簡易マスク」を紹介します。防災アドバイザーとして活躍する高荷智也さんが紹介すのはキッチンペーパーを用いた簡易マスク。この簡易マスクは、感染防止の効果はありませんが「咳エチケット」の補助効果は期待できるので、いざという時に参考にしてみてください。
出典:ソナエルワークス「備える.jp」
解説者のプロフィール
ソナエルワークス代表
高荷智也(たかに・ともや)
「咳エチケット用簡易用マスク」の作り方
材料(マスク1枚分)
キッチンペーパーやペーパータオル…1枚
輪ゴム…4個 道具…ホチキスと針2本
作り方
(1)紙を広げて置く
(2)プリーツを作っていく
紙の端から段々に折って、プリーツを作っていきます。机の端などを利用すると素早く折れます。力を入れると裂けてしまうので、優しく折ります。
(3)マスクの端に輪ゴムを置く
紙マスクの左右に輪ゴムを置きます。
(4)マスクの端をホチキスで止める
輪ゴムをホチキスで留めて固定します。ホチキスの針を輪ゴムに刺さないように注意しましょう。
(5)紙マスクの完成
これでマスクが完成です。写真は紙マスクをひらいた状態の表側です。マスクを開く際は、端が裂けやすいので注意してください。
紙マスクを装着するとこのようになります。マスクを開いた状態でゴムを引っ張るとすぐたたまれてしまうので、輪ゴムを片耳にかけてからマスクを開き、もう片方の耳にゴムをかけると装着しやすくなります。
注意点
こちらでご紹介した簡易用マスクは、「HK Mask」と異なり、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスなどのウイルスに対して「自分に対する感染防止」効果はありません。
その一方で、いわゆる「咳エチケット」をサポートする機能、つまり「他人に感染させない」ための効果は期待できます。感染者のセキやくしゃみをブロックすれば、ウイルスを含む飛沫の拡散を防ぐことができるためです。咳やくしゃみなどの症状がある人は、感染拡大防止のため、必ずマスクを着用するようにしましょう。
その他・簡易布マスクの作り方
上では裁縫道具なしで作れる紙マスクをご紹介しましたが、最近では裁縫をせずに布マスクを作る方法もたくさんシェアされています。ここではその中でも簡単にすぐできて、自宅にある材料で簡単に作れるものをご紹介します。
バンダナを使った簡易マスク
バンダナとゴムがあれば1分で作れるマスクの作り方が滋賀県長浜市の公式チャンネルで取り上げられています。バンダナを折りたたむ際にティッシュペーパーやキッチンペーパーを入れれば「HK mask」としても使えるのではないか?と個人的に気になりました。
靴下を使った簡易マスク
こちらはなんと、靴下に切り込みを入れるだけでできてしまう裁縫道具いらずのマスクの作り方。動画の中ではキッチンペーパーをマスクの布の中に挟んでいます。フィット感等は型紙をつかった「HK mask」の方が優れているかもしれませんが、マスクの布にフィルターを挟むと言う構造は、工夫次第で裁縫をしなくとも作れるんですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?全国的にマスクが品薄になっているなか、クウォン博士が紹介するようなマスクを自宅で作ることができるのはありがたいですね。また、布や裁縫道具がない緊急の場合も、簡易用マスクを作って感染拡大防止に努めましょう。