人工関節の手術を躊躇しているかたもいらっしゃるかと思います。いちばんの原因は、手術に対する不安と恐怖ではないでしょうか。しかし、毎日痛みを我慢して過ごすくらいであれば、私は手術をお勧めします。適切な治療で一日も早く痛みから解放されて、快適な生活を取り戻してください。なお、本稿は『壮快』2020年6月号(マキノ出版)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。【体験談】舛添要一(国際政治学者)

プロフィール

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舛添要一(ますぞえ・よういち)

1948年、福岡県北九州市生まれ。1971年に東京大学法学部政治学科を卒業。東京大学教養学部政治学助教授を経て、2001年に政界デビュー。参議院議員当選後、厚生労働大臣(2007~2009年)、東京都知事(2014~2016年)を歴任。著書に『ヒトラーの正体』(小学館新書)、『スマホ時代の6か国語学習法!』(たちばな出版)などがある。

立ち上がると腰が痛み、第一歩が踏み出せない!

私は今現在、日課として、散歩やラジオ体操、筋トレなどを欠かさず行っています。これは健康のためといった側面もありますが、数年前に手術した股関節のケアを主な目的としています。    

最初から股関節に激痛がはしれば、すぐに整形外科に行って、手術を回避できたかもしれません。しかし、私の場合、痛みを感じていたのは股関節ではなく、腰でした。腰痛がひどくなったのは、国会議員になってからです。会議で座ってばかりだったことや、 度重なる会食で体重が増えたことが、腰や股関節に負担をかけていたのでしょう。

東京都知事になってからも、痛みは依然として続きました。例えばイスから立ち上がったときに腰が痛み、すぐには歩き出せないのです。知事応接室のお尻が沈むソファーに座ると、そのような症状が顕著に出てしまい、ゲストをお迎えするのが大変でした。

画像: 立ち上がると腰が痛み、第一歩が踏み出せない!

知事に就任してから半年くらい経ったころ、都内の病院を視察する機会がありました。その際、幸運にも、病院側の案内役が整形外科医だったのです。車から降りたあと、私がすぐに歩き出せない様子を見ると、股関節の異常を疑い、症状について質問してくれました。

その医師とのやり取りを経て、数日後、その病院で検査を受けました。担当医の予想どおり、左の股関節の軟骨がすり減っていることがわかりました。病名は「変形性股関節症」。視察のおかげで、 10 年近く悩んできた腰痛の原因が解明できたのです。

しかし、症状は末期であり、早晩、人工股関節に置き換えざるをえないというのが、専門医の判断でした。手術後、約1ヵ月の入院が必要だというので、1年先までの公務予定を調べて、翌年に入院 ・ 手術することを決めました。

術前と術後の筋トレで今は絶好調!

手術までの期間は、準備のための筋トレに励みました。股関節の手術後は、人工関節を周囲の筋肉でしっかりと支えなければならないからです。また、股関節に負担をかけないために、減量にも努めました。

術後は病室で都知事としての執務を再開しつつ、リハビリを熱心に行いました。平行棒を使った歩行訓練から始まり、階段の昇降訓練など、日常生活を送るうえで、さまざまな状況を想定した内容です。特に、足を内向きにすると脱臼してしまうので、そうしたことを防止する意味でも術後のトレーニングはとても大切だと思います。

画像: 術前と術後の筋トレで今は絶好調!

困ったのは、靴下を履く、足の爪を切るという動作です。これは、初めは自力では難しく、人の手を借りなければなりませんでしたが、今ではそれも問題ありません。

退院すると、セレモニーなどの公務が多く、杖を使えない日々が続きましたが、週に一度はリハビリの病院に通いつつ、自宅でもケアに努めました。足に3kg程度の重りを巻いて、イスに座った状態で足を上げ下げしたり、立った状態でイスの背もたれにつかまって足を上げ下げしたりと、とにかく下肢のトレーニングに励んだのです。

術後早期に快適な生活を送れるようになったのは、リハビリや、日々の筋トレにまじめに取り組んだたまものだと自負しています。

2年後には、右股関節に同様な症状が現れ、こちらも手術を受けました。このときは、左足のときに下肢全体を鍛えていたおかげで、一度めの手術よりも早く回復できました。

人工関節の手術を躊躇しているかたもいらっしゃるかと思います。いちばんの原因は、手術に対する不安と恐怖ではないでしょうか。しかし、毎日痛みを我慢して過ごすくらいであれば、私は手術をお勧めします。高額療養費制度を使えば、費用の面は心配ありません。民間の医療保険に入っているかたであれば、使うべきでしょう。

適切な治療で一日も早く痛みから解放されて、快適な生活を取り戻してください。

術後の筋トレが早期回復に効果的

解説:高平尚伸(北里大学医療衛生学部教授)

動き始めの痛みは変形性関節症の初期に特有の症状です。特に、股関節と腰椎 (腰の部分の 背骨)は影響し合います。手術を行う場合、術後のリハビリ、特に筋トレは早期回復に効果的で、継続して行うことで身体機能を高い状態に維持できます。

最近の人工股関節置換術は、痛みを取り除き、可動域を広げるだけでなく、生活の質を上げます。仕事復帰や健康寿命の延伸などを目的として、手術が選ばれる時代が来ているのです。

【別記事】変形性股関節症の早期のチェックポイント

なお、本稿は『壮快』2020年6月号(マキノ出版)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

画像: 【舛添要一さん】腰痛の原因は変形性股関節症だった 人工股関節置換術を決断  術前術後のリハビリに「筋トレ」が効果
『壮快』2020年6月号
[雑誌]
▼2020年4月16日発売▼定価:715円(税込)

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