栄養素を脳に運ぶのは血液であるため、血液の質が悪くなると脳に栄養がいきわたらず、脳内神経伝達物質もきちんとつくられなくなります。心の不調と関係性の深い項目をピックアップして、血液検査の結果から分かることを解説していきます。

解説者のプロフィール

画像: 解説者のプロフィール

那須由紀子(なす・ゆきこ)

管理栄養士。プレ・ニュートリション 日本栄養士会認定栄養ケア・ステーション 代表。日本臨床栄養代謝学会NST専門療法士。特定保健指導実践者。一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所認定ONP。東京都自転車競技連盟普及委員会専門委員・管理栄養士。海老名市歯科医師会オーラルフレイル特別委員会外部委員。FM湘南ナパサ「おしゃべりマンデー」準レギュラー。病院管理栄養士として臨床経験を積みながら、分子整合栄養医学を学ぶ。独立後、精神疾患における栄養療法も行う管理栄養士として、栄養指導、うつ病による休職者の復帰プログラムに取り組んでいる。特定保健指導、歯科における栄養療法、スポーツ栄養、乳幼児栄養、また、講演会、セミナー、メディア出演、執筆など、多岐にわたり活動している。著書に『疲れた心がラクになる食べ方大全』(永岡書店)などがある。
▼プレ・ニュートリション(公式サイト)
▼@yukiko_nasu(Instagram)

血液検査から自分に足りない栄養素をチェック!

健康診断などでおこなわれる血液検査の結果を、皆さんはどんな風に見ていますか? 平均値と比べて、高くなければ安心だと思い込んでいませんか?

栄養素を脳に運ぶのは血液であるため、血液の質が悪くなると脳に栄養がいきわたらず、脳内神経伝達物質もきちんとつくられなくなります。血液はそれほど大事な存在なのです。

私が学んだ分子整合栄養医学では、数値から栄養状態を読み取り、その人に不足している栄養素を予測することができます。なぜなら血液検査の結果は、栄養素による化学反応の結果だからです。

ビタミンやミネラルの不足も、血液検査の数値にすべて現れます。ここでは、心の不調と関係性の深い項目をピックアップして、検査結果から分かることを解説していきます。ぜひご自身の数値と照らし合わせてみてくださいね。

画像: 血液検査から自分に足りない栄養素をチェック!

AST(GOT)、ALT(GPT)

【理想値】

22〜24 U/L

肝細胞でつくられる酵素の数値で、GABA合成の縮図ともいえ、腸内環境も反映している。

また、電子伝達系(食べ物からエネルギーを得るためのシステム)、ミトコンドリアの働きにも関わっている。

AST、ALTの数値はほぼ同じになるのが理想だが、精神疾患を持つ人は差が開く傾向がある。

脂肪肝や肝機能障害があると数値が高くなる。理想値よりも低い場合はビタミンB群が不足している可能性大。

画像: AST(GOT)、ALT(GPT)

総コレステロール(T-cho)

【理想値】

200〜240 mg/dL

コレステロールは脳や肝臓、神経組織に多く含まれている細胞膜の主要な構成成分であり、理想値より低い場合は、神経がつくられない状態。

コレステロールは副腎皮質ホルモンの材料にもなるため、低すぎるとホルモンバランスが乱れて精神症状が出る場合が多い。精神疾患を抱える人は低い傾向があり、とくに170以下の人は要注意。

ビタミンDやコエンザイムQ10の合成にも関わっており、コレステロール値が低いとこれらが不足する場合も多い。

画像: 総コレステロール(T-cho)

LDH(LD)

【理想値】

180 U/L前後

LDHは、体内で糖がエネルギーに変わる時に働く乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)という酵素の数値。

LDH値が低い人は糖新生(糖質以外からエネルギーをつくりだす働き)が苦手な体質なので、糖質依存になりやすい傾向が。

また、LDHは肝臓、筋肉、血液などに含まれており、脳内神経伝達物質をつくるのに必要不可欠な補酵素。ナイアシンが不足するとLDHがうまく働かなくなるため、筋肉に乳酸がたまって疲労や精神症状を招く。

画像: LDH(LD)

中性脂肪

【理想値】

100〜130 mg/dL

中性脂肪は体内でエネルギー源に変えやすい脂肪のため、頭脳労働をする人ほど消耗が激しく、低くなる傾向がある。

慢性的に低い場合は脳にエネルギーが適切に供給できていないため、うつ状態と同じ症状を招く。逆に、高すぎても高血糖からのうつ病に転じるリスクが増大する。

画像: 中性脂肪

血糖値(BS)

【理想値】

空腹時
85〜95 mg/dL

血糖値は血中に存在する糖質の数値のことで、食事内容や空腹状況によって変動する。

食品から摂取した糖が体内で正常に代謝されているかの目安であり、低血糖は脳が飢餓状態にあるということ。

糖質過多や暴飲暴食によって血糖値が乱高下すると、血糖コントロールが乱れてメンタルバランスが崩れる。

画像: 血糖値(BS)

尿酸(UA)

【理想値】

4〜4.5 mg/dL

尿酸とは、体内でつくられた「プリン体」というエネルギー物質が体内で分解されてできる燃えかすのこと。

高いと痛風になることでよく知られている。たばこや肉など酸性の強い食事中心の食生活、ストレス、便秘などで数値が上がってしまう。

人間が体内でつくれる抗酸化物質でもあるため、この数値が低いということは、体が酸化しやすい状態ということ。

画像: 尿酸(UA)

総タンパク(TP)

【理想値】

7.0〜8.0 g/dL

総タンパクは、血中のタンパク質量のこと。

数値が低いとタンパク質不足や炎症などが起きていると考えられる。逆に高いと体は脱水状態にあるので、こまめな水分補給を心がけて。

画像: 総タンパク(TP)

ヘモグロビン(Hb)

【理想値】

13.5〜15.0 g/dL

ヘモグロビンとは赤血球中のタンパク質の一種であり、貧血の指標となる。

生命の維持に関わっていることで、数値が落ちづらいため、実際は貧血なのに検査の結果上は「貧血ではない」と診断されることが多々あるので注意。

数値が1桁だとかなりの貧血。脱水・肥満でも上昇する。

画像: ヘモグロビン(Hb)

MCV

【理想値】

93〜95 fL

MCVは、赤血球1個あたりの平均的な大きさのこと。

理想値より低いと鉄、ビタミンEなどが不足している可能性あり。ヘモグロビン値が正常値の場合は、MCVを小さくして何とか調整している「隠れ貧血」かも。

数値が高いとビタミンB12・葉酸不足、胃の異常が疑われる。

画像: MCV

MCHC

【理想値】

31~33 %

MCHCは、赤血球1個あたりの平均ヘモグロビン濃度のこと。

ヘモグロビン値が標準内でもMCHCが低いと鉄欠乏が疑われる。鉄、タンパク質、ビタミンB群の不足で低くなるため、菜食主義の人は低め。

MCHCが不足すると体の組織に酸素が運ばれなくなるため、赤身肉など吸収率の高いヘム鉄を積極的に摂って。

画像: MCHC

フェリチン

【理想値】

男性
100 ng/mL以上
女性
50 ng/mL以上

一般的に貧血かどうかはヘモグロビン値で判定されるが、血清フェリチン(貯蔵鉄)の数値も重要。

貯蔵鉄の量が理想値以下だと、疲労感や意欲減退の症状を招く。女性の場合は生理で血液と一緒に鉄が体外に出てしまうので要注意。

立ちくらみ、うつなどがあったらフェリチン低下を疑って。脂肪肝や炎症でも上昇する。

画像: フェリチン

ALP

【理想値】

男性
180〜190 U/L

ALPは、胆道から出る酵素のひとつ。

アルコール摂取量が多い人、過去に大きな怪我や手術をした経験がある人は下がる傾向がある。数値が150以下の場合は、亜鉛とマグネシウムの不足が考えられる。

慢性的な亜鉛不足が続くと、うつ病を発症するリスクが増大する。

画像: ALP

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※この記事は書籍『疲れた心がラクになる食べ方大全』(永岡書店)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。知りたい情報の全文がコンパクトにまとまっています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

画像: 【血液検査で分かる栄養状態】数値を見て「足りない栄養素」をチェックしてみよう!
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