日陰や半日陰の庭は落ち着いた雰囲気を演出できます。日陰だからこそ映える植物を使い、趣のある素材を組み合わせて効果的に庭を構成しましょう。ソヨゴ、ハイノキ、斑入りヤツデ、アジサイ、インパチェンス、カサブランカ、クリスマスローズ、ベビーティアーズ、リシマキアなどを紹介しています。【解説】戸倉多未子(ガーデナー)
著者のプロフィール
戸倉多未子(とくら・たみこ)
有限会社グレイスオブガーデン代表。ガーデナー。暮らしを豊かにする緑の庭づくりをモットーに、小さな庭からエクステリア、ガーデンリフォームまでオリジナルガーデンを手がける。化学肥料に頼らない、自然の恵みを生かした庭づくりを得意としている。ガーデニング講師歴30年、ガーデニング関連の雑誌などでも活躍中。
▼グレイスオブガーデン(公式サイト)
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▼tamiko.tokura(Instagram)
本稿は『小さな庭のつくり方』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。
日陰だからこそ落ち着いた雰囲気に
日陰スペース
日陰や半日陰の庭はシェードガーデンと呼ばれ、落ち着いた雰囲気を演出できます。葉色の明るい植物や雑貨を効果的に使いましょう。
日陰の環境を好む植物や趣のある素材を組み合わせて
日あたりのよい場所でないと植物は育たないと思われがちですが、強い日差しや、暑さが苦手な植物であれば、むしろ日陰や半日陰のほうがよく育ちます。
明るい空間とはひと味違う、しっとりした趣のある庭をつくりましょう。使用する木材や石などの質感、植物の形状やカラーにこだわって、日陰だからこそ映える植物で庭を構成します。中には、じめじめしたり、逆に乾燥しやすい場所があるので、土づくりと水はけに注意するとよいでしょう。
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つぼ型のコンテナと化粧砂利で明るい印象に。レンガの目地を際立たせた日陰とは思えない素敵なコーナーです。カラーリーフがエレガントな雰囲気を演出しています。
POINT
日陰の原因とタイプを知って最適な植物を選ぶのがポイント
ひと言で日陰といっても、さまざまなタイプがあります。1日中うす暗い場所もあれば、数時間は日があたる場所も。光の入り方を観察して植栽を選びましょう。
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色使い&高低差をつけるのがコツ
日陰を生かした植栽の演出例
雑木の足元は、半日陰でよく育つ赤いガーデンシクラメンをポイントに。落ち着いた雰囲気の植栽スペースに、原色をひとつ効かせるのも素敵なアイデアです。
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グラウンドカバーのベビーティアーズが、レンガの間を埋めて足元から空間を明るくします。しっとり落ち着いた植物の愛らしさが感じられます。
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ブルーの物置と白いパーゴラが目を引きます。雑貨を飾って植栽に明るさをプラス。斑入り、ライム色、銀葉のカラーリーフの色彩が映えます。
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カラーリーフや斑入り植物を組み合わせた半日陰の植栽。小道の目地のグラウンドカバーが癒しの空間にひと役買っています。
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小さな庭の植物カタログ
日陰スペースにおすすめの植物
▼日陰でよく育つ樹木 BEST3
ソヨゴ
美しい緑色の葉で、葉の周囲は少し波打ち、風に揺れると周囲の葉とこすれ、名前の通りそよそよと独特の音を立てる。5〜6月に小さな白い花をつけ、秋には愛らしい赤い実がつく。雌雄異株なので、果実がつくのは雌株のみ。
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ハイノキ
先端が尖った葉が特徴的な常緑樹。4月から初夏にかけて可憐な白い花を樹冠いっぱいに咲かせ、夏から秋にかけて黒紫色の実をつける。成長が緩やかで大きくなりにくいため、狭い庭でも管理しやすい。ほぼ日陰のほうが育ちやすい。
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カメリア エリナ
ほんのり赤みを帯びた白い小さな花が、うつむき加減に咲く姿は優美で可憐。ツバキ類のため、花はよく見るとツバキのような形をしている。若木のうちから花つきがよく、耐寒性が強く、半日陰や日陰でも育つ。虫もつきにくい。
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▼日陰を明るく見せる植物
斑入りヤツデ 紬絞り
霜降り状に斑が入った大きな葉が特徴的。円錐状に咲く白い花は、花が少なくなる冬の庭でひと際存在感を放つ。強い西日を避けて植えるとよい。
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ホスタ
品種によって葉の色や形が、変化に富みサイズも実にさまざまな、日陰の庭には欠かせないカラーリーフ。葉の質感が美しい。
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斑入りイワミツバ
葉は明るい緑色で、クリーム色の斑が爽やかな印象。初夏にセリに似た花が咲く。乾燥すると葉が変色するため、土が乾いたらたっぷりと水を与える。
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▼過湿に強い植物
アジサイ
梅雨の時期の代表的な花。一般的な手まり型のアジサイは、ガクアジサイなどを改良して生まれたもの。さまざまな花色が楽しめる。湿り気のある土を好む。
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インパチェンス
ひと重から半八重、八重咲きまで花の咲き方も花色も豊富で、株いっぱいに咲く姿は華やか。北向きの玄関など半日陰でも美しく育つのも大きな魅力。
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アスチルベ
ほうき状に広がる、繊細な花姿が魅力。葉も美しく、ライム葉や銅葉など見栄えのする品種もある。水切れしないように水やりに気をつける。
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▼日陰で輝く花
カラー
梅雨にモダンな形の清楚な花を咲かせる。切り花として飾るのもおすすめ。春から開花期にかけては、土が乾いたらたっぷり水やりを。
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カサブランカ
オランダで作出されて一世を風靡したオリエンタル系の銘花。純白で華麗な大輪花を咲かせる。耐寒性が強く、水はけのよい土でよく育つ。
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ブルンネラ
株を覆うようにふんわりと青い小花が群れ咲く様子が爽やか。葉は丸みのあるスペード形でこんもりと茂り、斑入りや銀葉などの品種もある。
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クリスマスローズ
「冬の貴婦人」という愛称で呼ばれ、寒い冬枯れのシーズンに楽しめる花。暑さにも強く、育てやすい。梅雨どきや秋の長雨にはあてないように注意。
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▼雑草を生えにくくするグラウンドカバー
ベビーティアーズ
細い茎が地面をはうように伸び、2~3mmほどのごく小さな葉が密生する。初夏につける白い花は「世界一小さい花」と形容されるほど小さい。
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リシマキア ヌンムラリア オーレア
小さな黄金葉が愛らしい植物。茎は時々分枝しながら地面をはうように四方に広がる。湿り気のある土を好む。夏は蒸れやすいので風通しよく。
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なお、本稿は『小さな庭のつくり方』(永岡書店)から一部を抜粋して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。
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※(6)「場所別アイデア(テラス&ベランダ)」はこちら