対処法は2つあります。「自分が日々を暮らしやすくするための準備をすること」。そして「すぐ疲れてしまう自分へのセルフケアをこまめに行うこと」です。自分を大切にしたり、いたわることは甘えやわがままではなく、生きづらさを減らすために必要な行為だといえるでしょう。本稿は『敏感すぎて生きづらい人の 明日からラクになれる本』(永岡書店)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。

敏感すぎる自分と、どう向き合う?

ここまでは「HSPとはどのような性質を持つか」をお伝えしてきました。その敏感さは人によって違いがありますが、自分自身をコントロールすることさえできれば、日々がずっと過ごしやすくなります。

気をつけるべき対処法は、2つあります。
自分が日々を暮らしやすくするための、準備をすること」。

そして、
すぐ疲れてしまう自分への、セルフケアをこまめに行うこと」です。

1つめの対処法「準備」では、自分が敏感さを刺激されてしまう出来事をあらかじめ避けること、過ごしやすい環境を整えること、身近な人にHSPを理解してもらうことが挙げられます。

2つめでは、次の段階として「セルフケア」を実践します。刺激をブロックしていても、どうしても避けられずにマイナスの感情に触れたり、不快な場所に入ってしまったりすることはあるはずです。

HSPは頑張り屋さんで、さらにいつも自分を責めてばかりいるため、セルフケアが苦手な人が多いように感じています。

自分を大切にしたり、いたわることは甘えやわがままではなく、生きづらさを減らすために必要な行為だといえるでしょう。

画像: 敏感すぎる自分と、どう向き合う?

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「どうせ私なんてダメな人間…」と、いつも自分を責めて否定してしまう

画像1: 【HSPの対処法】生きづらい自分編:自責で否定しがち、マイナス思考、気にしすぎへの対策

HSPは「私のせいなのかも…」と、自分を責めてしまう傾向が強いです。いつも相手のためを考えてなんとかしなきゃという責任感が強いので、何かあると仮に相手に原因があったとしても自分が悪いのだと感じてしまうのです。

「あなたにとって、一番の味方は自分自身。」

HSPは相手に共感しすぎて、相手の苦しみや悩みなどの背景にあるマイナス感情に影響されやすいのです。親か周囲の人が問題を抱えていると、それを解決するのが自分の責任だという気になる無意識の癖を持っています。

相手を癒せないのは自分が足りないからだとか、自分がいけないんだと自分を追い込んでしまうのです。自責感や罪悪感、無力感がいっぱいになり、自己評価が下がり自分を肯定できなくなってしまいます。

自分のマイナス感情の中に没頭せず、そこから抜け出して遠くの視点から今の自分や過去の体験を視覚化してみてください。

自分に距離を置いた視点から自分を客観的に見つめ、よし悪しの判断をせずにすべてが必要なことだと肯定してあげるのです。ありのままの自分を客観視するだけで感情が変化していきます

「どうせ自分なんて……」と思ってしまう時には、責めることをやめ、その自信のない状態も自分と認めてしまいましょう。ずっと自分を責め続けてきた人は、自分をありのまま認めてあげるだけで、大きな肯定感につながります。

画像2: 【HSPの対処法】生きづらい自分編:自責で否定しがち、マイナス思考、気にしすぎへの対策

セルフケアのコツ
離れた視点から自分を眺め、自分と距離を置く
物事を「よい」・「悪い」の2つで判断しないようにする
「このままで大丈夫」と言葉に出し、まるごと認める

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「気にしすぎ」「マイナス思考」を変えることができない

画像3: 【HSPの対処法】生きづらい自分編:自責で否定しがち、マイナス思考、気にしすぎへの対策

友人や家族から、「いつも気にしすぎだよ!」「マイナス思考だね」などと言われたことはありますか? HSPは不安や恐怖にとらわれて、自分の考え方をなかなか変えることができないという特徴があります。

「プラス思考よりプラスの感情を大切にしよう。」

「細かいことに気づく」「なんでも慎重に考える」ということは、とても貴重な感覚です。しかし、本人からすると不安や恐れが強く、細かくて後ろ向きのため、プラス思考になりたいと考えている人が多いかもしれません。

長い間クヨクヨ悩んだり、落ち込んだりすることは神経系を消耗させて疲れ果ててしまうので、苦しい気持ちでいる自分を責めないことが大切です。

一方でHSPは、物事を冷静に客観的に見ることが苦手です。もし、「失敗してしまった」と気にやむことがあったら、自分から距離を置き、第三者の視点で見てみましょう。自分のせいだと思っていたことも、実は誰もが失敗する要因があったからかもしれません。

「こうあるべき」などと、無理にプラス思考になる必要はありません。不安や恐れは消すのではなく、そこにあることを認めましょう。その上で楽しさやうれしさを感じ、自然と笑顔になれることを生活に取り入れてみましょう。

また、姿勢を正して胸を張り、箸を口に横にくわえて笑顔を作るだけでも脳は笑っていると判断し、プラスの感情を持つことができます。

画像4: 【HSPの対処法】生きづらい自分編:自責で否定しがち、マイナス思考、気にしすぎへの対策

セルフケアのコツ
自分の好きなことをして「プラスの感情」を作る
おもしろくなくても胸を張り、笑顔を作ってみる
「大丈夫」などの魔法の言葉を口に出して唱える

Plus+ 1
見えない自分を知る4つの方法

人は自分の性格や能力、容姿、すべてにわたって自分なりのセルフイメージを持っています。自分の潜在意識はそれに従って行動させようとします。でもそれが常に正しいとは限りません。本来の自分がわからず、思い込みや刷り込みで成り立っているのかもしれません。

自分を客観的に調べてみる

知能検査や心理検査、エゴグラムやエニアグラム、各種セルフチェックリストを病院やクリニック、あるいは本やネット上などで探して受けてみることです。人間の能力や性格には客観的に評価できるものもあるので、個人内の凹凸を見つけてみましょう。

他人の意見を聞いてみる

自分では当たり前になっているために気づかない特徴や癖、思考パターンなどが数多くあるものです。日常身近に接している人に自分をどう見ているのか具体的に聞いてみるとよいでしょう。

自分が嫌いな相手の姿を見る

自分では見ないようにしている自分の隠れた影の部分や過去の感情は、他者の姿の中に投影され、それが自分の影の姿とは思えず、嫌悪したりイライラしたりするものです。相手は鏡であり、自分の影の部分を映し出していると考えてみましょう。

親との関係を知る

今まで生きてきた自分の歴史を振り返り、親が自分をどう受け止めていたか、自分はどう影響を受けたかを考えて書き出してみましょう。

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小さな音が気になって仕事や勉強に集中できない

画像5: 【HSPの対処法】生きづらい自分編:自責で否定しがち、マイナス思考、気にしすぎへの対策

HSPは雑音や、小さな音が気になってしまうことがよくあります。時計の針が動く音や、雑踏で人々が行き交う時の音、カフェで食器がカチャカチャする音などが気になって、集中できなかった経験はありませんか?

「雑音やノイズをブロックして、過ごしやすい環境を整える。」

HSPは他の人たちよりも敏感な感覚を持っており、神経も高ぶっているので音の刺激をより強く受け止めます。

この世界の感じ方が非HSPとはかなり異なっており、繊細に音を聞くことができる一方で、不快な音に対するストレス反応も大きくなってしまいます。

無意識に小さな音に気づいたり、高い周波数の音を不快に感じる傾向にあり、自分でも気づかないうちにキャパシティーを超えて思考停止に陥ったりします。

もしもこのような状態であったとしてもおかしなことではありません。雑音やノイズをブロックする方法を試してみましょう。

具体的には、雑音や小さな音が気になりすぎる時は、雑音を消すことできるノイズキャンセリング(消音)機能付きのイヤホンを使うことで過ごしやすくなります。また、ラジオやBGMなどの音をあえて流すなどマスキングすることで、他の雑音が気にならなくなるという方法もあります。

前庭感覚(重力や回転などを感じる感覚)や固有受容覚(筋肉や関節などを動かした時に感じる感覚)、触覚など身体的感覚に意識を集中するのもよいです。

画像6: 【HSPの対処法】生きづらい自分編:自責で否定しがち、マイナス思考、気にしすぎへの対策

セルフケアのコツ
ノイズをカットできるイヤホンなどを使う
ラジオやBGMをかけて、雑音を打ち消す
他の感覚の刺激に集中する

■イラスト/森下えみこ

■本稿は『敏感すぎて生きづらい人の 明日からラクになれる本』(永岡書店)から一部を抜粋・加筆して掲載しています。詳しくは下記のリンクからご覧ください。

画像7: 【HSPの対処法】生きづらい自分編:自責で否定しがち、マイナス思考、気にしすぎへの対策
敏感すぎて生きづらい人の 明日からラクになれる本
HSPとは「Highly Sensitive Person」を略したもので、「とても敏感な人」の意味です。ふとしたことで敏感に反応してしまうため、生きづらさを感じたりすることがあります。
HSPに関する知識や理解は、心の専門家たちにおいてさえ、まだまだ不十分であり、敏感すぎる自分にどう対処してよいかわからずに困っている人たちがたくさんいます。本書は、HSPの性質からもたらされる日常生活の生きづらさについて、具体的説明や対策などについて、脳科学的知識を入れてなるべくわかりやすく解説しています。

著者のプロフィール

長沼睦雄(ながぬま・むつお)

十勝むつみのクリニック院長。日本では数少ないHSPの臨床医。平成12年よりHSPに注目し研究。北海道大学医学部卒業。脳外科研修を経て神経内科を専攻し、日本神経学会認定医の資格を取得。北海道大学大学院にて神経生化学の基礎研究を修了後、障害児医療分野に転向。道立子ども総合医療・療育センターにて14年間小児精神科医として勤務。平成20年より道立緑ヶ丘病院精神科に勤務し、小児と成人の診療を行っていた。平成28年9月に開業し、HSP診療を中心に診療し、脳と心(魂)と体の統合的医療を目指している。
▼十勝むつみのクリニック(公式サイト)」
▼専門分野と研究論文(CiNii)

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