【生理痛の基礎知識&セルフケア】鎮痛剤を飲むタイミングからカイロを使ったツボ刺激まで医師が解説

美容・ヘルスケア

生涯の生理回数を100年前と今で比較すると、約9倍にも増加しているといわれています。生理回数増加の理由には、生活習慣や、妊娠を中心としたライフスタイルの変化が挙げられます。今、人類史上かつてないほど生理の回数が多くなったことで、昔とは違った子宮の悩みを抱えやすくなっています。生理痛の基礎知識やセルフケアについて、書籍『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』著者で産婦人科医師のママ女医ちえこさんに解説していただきました。

解説者のプロフィール

ママ女医ちえこ(ままじょい・ちえこ)

現役産婦人科医師として婦人科診療を行うかたわら、チャンネル登録者数13万人を超えるYouTubeチャンネルを運営。3児の母。第二子出産後、夫の転勤のための転居先で保育園が見つからず、社会復帰できないことによる喪失感から一念発起。2020年からYouTuberとして産婦人科医師としての専門性を生かした情報発信を開始する。性教育を含めた医学情報、健康情報を発信することで、産婦人科への親しみをつくる。

本稿は『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

イラスト/OGA

子宮にいいことって何?

生理や女性ホルモンに振り回されないコツ

メンタル、体調、肌、髪ツヤといった心・体・美のあらゆる調子が日によってコロコロ変わってしまって、困っている……
生理周期の影響を受けると、短期間のうちに体には激しい変化が起こります。そのような変化に苦労して、「子宮に振り回されている!」と感じ、産婦人科に相談に来る方がたくさんいらっしゃいます。

子宮は体のおおよそ中心に位置する器官。この好不調が性と健康に強く影響します。子宮に振り回されてしまうと、うんざりしたり、扱いに困ったりすることも多いでしょう。
しかし、仕組みを理解できれば、心・体・美に潤いを保つための最強の味方にもなりえるのです。
だからこそ一生モノの付き合いとなる子宮と上手に付き合うコツを、「子宮にいいこと」としてお伝えします。

私は現役の産婦人科医です。産婦人科医として外来診療をする中で、毎月の生理のたびに苦しい思いをしているのをただ我慢してしまっている方や、女性ホルモンの波に翻弄されてしまって精神的に参ってしまっている方と数多くお会いしてきました。
子宮をはじめとした婦人科領域の健康問題をもっとたくさんの方に知ってもらいたい! そして、ネガティブだけではないポジティブなパワーも知ってもらいたい
そう思い、13万人を超える方に見ていただいている、YouTubeチャンネルを運営しています。

子宮をはじめとした婦人科領域のアレコレは、「人に聞きにくい」と感じている方も多いようです。そして残念ながら現状、教わる機会の用意も不十分な分野です。
しかし、子宮と上手に付き合うためのコツは、性と健康の充実に欠かせません。
実際にチャンネルには、「誰にも聞けなかったけれど、もっと早く知りたかった」「毎日がラクになった」「自分の体をもっと楽しめるようになった」などのコメントが多く寄せられています

生涯の生理回数が約9倍にも増加

今を生きる方には、とくに子宮と上手に付き合う方法を知ってもらいたい―そう私が考えていることには、理由があります。
その理由とは、過去と今では子宮事情が大きく変化しているということです
例えば、生涯の生理回数を100年前と今で比較すると、約9倍にも増加しているといわれています。
生理回数増加の理由には、生活習慣や、妊娠を中心としたライフスタイルの変化が挙げられます。

では、生理回数が増加すると、悩みはどう変化するのでしょうか。
もともと、子宮というのは妊娠を目的にした器官です。ですから、昔は子宮にまつわる悩みといえば、妊娠・出産に関する悩みがほとんどでした。
しかし今では、生理回数が増加したことによって、生理や女性ホルモンを中心とした、日々の変化や対応に関する悩みのほうが増えているのです
また、多すぎる生理回数は、子宮や卵巣に負担をかけ、子宮内膜症や子宮体がん、卵巣がんといった病気のリスクも高めます。

今、人類史上かつてないほど生理の回数が多くなったことで、昔とは違った子宮の悩みを抱えやすくなっているのです。ですからぜひ今一度、「子宮にいいこと」を自分自身でも考えてみてほしいのです。

子宮を生き生きとさせるためのタイミングは、大きく3つあります。

(1)子宮の繁忙期、毎月の生理
(2)子宮のサイクルをつくる、日々の女性ホルモン管理
(3)子宮のそばまで迫る、セックス

子宮との付き合い方を知れば心・体・美が潤う

子宮と上手に付き合うことで、心・体が健康になるだけでなく、美を保つコツもわかるようになります
具体的には、生理周期が安定し、女性ホルモンのバランスも整うことで、自律神経の働きが安定したり、コラーゲン産生が促されて美肌が保たれたり、血管、骨、関節、脳が元気になったりします。

さらには、自分自身の性と向き合う機会にもなります。昔から、子宮や生理というと汚いもの、恥ずかしいもの、隠すもの……という価値観がありました。
子宮や生理に対して、「汚い」「穢れ」という後ろめたい意識があるうえに、さらに「痛い」「重い」……といったツラさを背負ってしまうと、「どうして子宮があるばかりにこんなひどい目にあうのだろう……」と、自分の性や体に対する肯定感が失われていってしまいます。
でも、そのように考えてしまうことは、あらゆる面でデメリットが大きいです。

自分の体の一部である子宮との付き合い方を知ることで、一生モノの自分の体と、幸せな形で向き合えるようになってほしいのです。

本稿は『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

鎮痛剤はためらわずに飲む

鎮痛剤はためらわずに飲む

「慣れる・クセになる」はウソ!

鎮痛剤に頼りすぎるとクセになったり、効きづらくなったりする」という話がありますが、「誤り」です!
用法・用量を守って服用すれば問題はありませんから、安心してくださいね。

生理中は痛みの原因となる「プロスタグランジン」という物質が子宮内膜から分泌されます。
この物質は子宮や血管の収縮を促して、経血を外に押し出すために必要な物質なのですが、分泌量が多すぎると重い生理痛の原因になります。
鎮痛剤はこの「プロスタグランジン」の分泌量を抑えてくれるので、生理痛に効くのです

鎮痛剤は飲むタイミングが重要

鎮痛剤は必ず飲まなければならないもの、というわけではありません。けれど、持っておくだけでも安心するものです
飲まなくても、つねにポーチに入れて持ち歩いておくといいでしょう。

また、鎮痛剤は服用するタイミングが重要です。痛みのピークまで耐えてから服用すると効果を実感しにくくなってしまいます。
痛みを我慢して服用を遅らせるのではなく、痛みが強くなってしまう前に早めに服用しておくのがオススメです
痛みを感じ始めたらすぐに服用しましょう。それでも痛みが強いと感じる方は、例えば朝・昼・夕など、薬の用法・用量に従って定期的に服用してみてもいいと思います。

本稿は『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

生理痛がつらいときのセルフケアは?

使い捨てカイロのツボ刺激で痛みを緩和

WHOも認めるツボ治療の有効性

痛みが強いときは、女性の不調に効くツボを刺激してみましょう
ツボを刺激する鍼治療については、WHO(世界保健機関)も有効性を認めている病状や疾患があります。生理痛もそのうちの1つです。

自分で鍼を行うのは難しくても、ツボに温熱刺激を加えることなら、1人でもトライしやすいのでオススメです。
最もお手軽なのは、ツボがあるところに使い捨てカイロを貼っておく方法
貼ってしまえば、あとはただ放っておくだけです。じんわりとした温熱刺激が生理痛を和らげてくれますよ。

冷え対策にも効果的

使い捨てカイロによるツボ刺激は、鍼やお灸のようにツボの正しい場所をピンポイントで捉える必要がないので、一般の方でも手軽に行いやすい方法です。
使い捨てカイロが体を温めてくれるので、女性の不調に効くだけでなく、冷え対策にも効果的
風邪の症状があるときや、なんだか体調が優れないな……と感じるときにも、試してみるといいでしょう。

使い捨てカイロには肌に直接貼れる製品や、レンジで温めて繰り返し使える製品などがあるので、使いやすいタイプを選んで、低温やけど等には気をつけて使用してみるといいですね。

※低温やけどに注意。貼ったまま寝ないでください

本稿は『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

生理不順や生理痛は放っておいて大丈夫?

生理の不調を放っておかないで!

生理不順や無月経は子宮の発育に悪影響

「生理不順も自分の個性!」「生理の痛みや影響は我慢するべきもの」と思って放っておかないでください!
生理の不調があるときは、一度、産婦人科で相談してみましょう。

通常は初経を迎えてからの数年間と、閉経までの数年間だけが、生理不順が起こることのある期間です。
それ以外の時期では、生理がある程度規則的に来るのが正常です
とくに10代後半の無月経は子宮の発育に悪影響が出るおそれがあります。
妊娠しやすい子宮を保つためには、子宮がしっかり発育していることが大切。放っておかずに治療しましょう!

病気でなくても産婦人科で気軽に相談を

きっとみんなも我慢しているものだから大丈夫! と考えるのではなく、生理のことで悩んだら、我慢せずにぜひ気軽に産婦人科で相談しましょう

生理が来ない、生理がツライ、生理で何もできなくなる……などの当たり前だと思っているかもしれないその症状にも、実は何かの病気が隠れている可能性があります。
病気ではない場合も、不快な症状が日常生活に支障をきたしている場合は治療対象になります。
産婦人科ではそんなあなたの症状を理解し、一緒に解決方法を考えることができます。婦人科不調について気軽に相談できる場所として、ぜひもっと気軽に使ってみてください

◇◇◇◇◇

なお、本稿は書籍『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。メンタル、体調、肌、髪ツヤといったあらゆる調子が日によってコロコロ変わって困る……。ホルモン変動による変化にただ身をゆだねているのは、もったいない。自分の体にしっかりと向き合っていくことで「振り回される」から「コントロールする」に変えていくことができます。子宮と上手に付き合うためのコツは、性と健康の充実に欠かせません。自分の子宮のこと、性器のこと。毎日顔を鏡で見て、お手入れしたりお化粧したりするのと同じように、自分の体の一部として見たり触れたりすることを後ろめたく思う必要はありません。本書は「人には聞きにくい」悩みとその対処法を、最新のアイテム活用法も織り交ぜて紹介しています。

子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア
¥1,540
2022-03-17 10:06

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