終活における「資産整理」では、預金や現金、不動産や貴金属といった資産を財産目録に記録したり、銀行や証券の口座、クレジットカードを一本化したりすると、残された家族の負担が減ります。さらに、自宅や車の所有権、保険証書の保管場所などの情報も記録しておきましょう。

[別記事:【終活の生前整理とは】ポイントは取捨選択!モノだけでなくデジタルデータや人間関係の整理のポイント→

本稿は『老後とお金の不安が軽くなる 終活の便利帖』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

相続財産の対象をリストアップする

元気なうちに相続財産の対象を財産目録としてまとめておくことで、円滑に相続を進められます。下に財産目録のリストアップ例を紹介しているので、エンディングノートに記録してみましょう。

財産の種類と金額だけでなく、銀行なら銀行名や口座番号、株式や投資信託なら銘柄や株数、不動産なら場所や面積、宝石などは保管場所など、補足の情報も忘れずに細かく記しておくことが大事です。

財産目録のリストアップ例

内容メモする内容
預貯金・現金銀行名、口座番号、金額
不動産や土地所在地・所有者名義・持ち分・面積・評価額
株式・投資信託証券会社、銘柄、数量
宝石などの貴金属保管場所と評価額
会員権施設などの場所と使用期限

銀行口座や証券口座を一本化する

複数の銀行口座や証券口座を持っている人は、必要な口座を絞り込み、前もって一本化しておきましょう。

必要な口座とは、公共料金の引き落としなどに使う決済用の口座、相続や財産を管理するための貯蓄用の口座、投資などを行うための証券口座の3種類が一般的です。

不要な口座を解約する場合、銀行なら窓口での手続き、ネット銀行/証券ならオンラインで解約手続きを行えます。

画像: 銀行口座や証券口座を一本化する

財産目録には負債も忘れずメモする

財産として記録する必要があるものは、預金や不動産といったプラスの財産ばかりではありません。ローンや借入といったマイナスの財産、いわゆる負債も記録しておいた方がいいでしょう。

相続の際、被相続人しか知らなかった借金が発覚すると、もめる原因になるので注意しましょう。なお、財産よりも、負債の方が多い場合は、相続人たちが話し合って相続放棄を行うことも可能です。

また、借入だけでなく連帯保証人である事実も負債と見なされてしまいます。連帯保証人を引き受けている場合、誰が誰に、いくらの借金をしているのかも、財産目録へ忘れずに記録しておきましょう。

画像: 財産目録には負債も忘れずメモする

クレジットカードや定期購入を整理する

クレジットカードを複数持っている人は、定年などを機に所有しているカードが何枚あるのかを確認し、使っていないものを解約しましょう。クレジットカードの契約者本人なら、書類を郵送することで解約を行えます。

また、本人以外の親族がクレジットカードを解約する場合、個人情報、カード番号や期限などの情報が必要です。最後まで残しておくカードについては、解約に必要な情報をエンディングノートに残しておきましょう。

また、動画配信や食材宅配などの定期購入(サブスクリプション)も、前もって契約中のサービスをメモしておくと、忘れたまま料金の引き落としが続くことを防止できます。なお、故人の定期購入契約は親族が解約できます。

本人以外がカードを解約する場合、以下の情報が必要になる

・本人の住所、氏名
・生年月日
・死亡した日時
・手続きする代理人と本人との関係
・クレジットカードの番号
・クレジットカードの期限
・クレジットカードのセキュリティコード(カードの裏に書かれている3~4桁の数字)

画像: クレジットカードや定期購入を整理する

自宅の所有権、借地権、抵当権があるのかを情報共有する

自宅や土地などを所有している人は、その土地の所有権、借地権、抵当権などの情報を相続人たちと共有しておく必要があります。

所有権は文字どおり、その土地の持ち主が持つ権利のことです。

借地権は、借りた土地に家を建てる権利で、土地の所有者ではありません。

そして、抵当権は住宅ローンなどが払えない場合の担保として、金融機関が債権者の土地や建物を担保にする権利です。抵当権が付いた土地がある場合、借金などを返済するまで、負債と同じ扱いにされてしまいます。

例えば、自宅は父親の財産で、相続の対象だと考えていたものの、相続時に実は借りていた土地だったということが発覚してしまうなど、前もって相続人の土地の所有権を確認しておかないと、トラブルの原因になります。

土地の権利関係を調べたい場合、法務局などの登記所で登記簿謄本を取得しましょう。

登記簿謄本は、交付申請書を提出する必要がありますが、土地の所有者以外の誰でも可能で、身分証明書などの提出も不要です。なお、登記簿謄本を取得する際は、1通につき600円の手数料がかかります。

それぞれの権利の違い

内容権利
所有権土地や財産などを自由に使用できる権利。土地の場合は持ち主を指します。
借地権借りた土地に建物を建てる権利。
抵当権住宅ローンなどを借りる際に、土地や建物などを担保にする権利で、金融機関が設定します。
画像: 自宅の所有権、借地権、抵当権があるのかを情報共有する

登記簿に登録されていない場合

「登記」とは土地や建物などの持ち主を管理するためのものです。基本的に、不動産を取得して1カ月以内に登録する必要がありますが、中には登記簿に登録されていない「未登記建物」も存在します。未登記建物は現在は少ないものの、昭和以前に作られた建物などにたまに存在します。

登記を行わないままでいた場合、その建物を担保にすることができないため、住宅ローンが借りられない、相続の際に通常より時間がかかるなどのデメリットがあります。土地や建物は必ず登記簿に登録しておきましょう。

自動車の鍵、保険証書などを引き継ぐ

現金や家だけでなく、自動車も財産で相続対象です。車を所有している場合、車種、車庫の場所、鍵の保管場所などをエンディングノートに記載し、情報共有できるようにしておきましょう。

なお、自動車の所有権を引き継ぐ場合は自動車検査証(車検証)原本、戸籍謄本、新所有者となる相続人の印鑑証明などが必要になります。

また、生命保険、自動車保険などの証書も、保管場所を共有しておきます。こちらも保管場所などをしっかり記録しておきましょう。

さらに、自分が過去に遺産を相続した際の相続税申告書などの納付書類については、万が一、税務調査が入った場合などを考えて約10年程度保管しておきます。別の申告などで使用する可能性もありますので、できる限り残しておきましょう。

画像: 自動車の鍵、保険証書などを引き継ぐ

資産を現金化する際に注意すること

財産を相続人で公平に配分するなら、資産を現金化することが望ましいです。土地や建物の場合、手放して現金化すると、以降は値下がりの心配や維持費の支払いも必要なくなります。

しかし、現金化できた金額によっては、仲介手数料、譲渡所得税、引っ越し費用などにより、損をしてしまうこともあります。しっかり計算してから現金化を行いましょう。

画像: 資産を現金化する際に注意すること

買い物ポイントや電子マネーについて

買い物やサービスなどを受ける際に、電子マネーを使ったり、ポイントを貯めたりしている人も多いはず。基本的に、亡くなった人のポイントは親族であっても使用できない場合が多いです。

また、電子マネーは原則として相続の対象となります。なお、相続の際に必要な書類や手続きなどは、企業やサービスごとに異なります。公式サイトなどに明記されていないこともあるので、問い合わせてみましょう。

●本記事で紹介している情報は、2022年7月15日現在のものです。これ以降の法・制度改正等には対応しておりませんので、あらかじめご了承下さい。
●本記事で紹介している情報をもとに行動したうえで発生したトラブル・損害につきましては、一切の補償をいたしかねます。自己責任の範囲内で検討・実践してください。

■監修/小泉 寿洋(終活カウンセラー1級・ファイナンシャルプランナー(AFP))
■イラスト/宮坂希
※この記事は『老後とお金の不安が軽くなる 終活の便利帖』(マキノ出版)に掲載されています。



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