【イソフラボンの効果】医師のおすすめは「蒸し大豆」栄養成分は?食べる量は?

美容・ヘルスケア

大豆は、たんぱく質35%、脂肪19%、炭水化物28%と、3大栄養素をバランスよく含んでいます。ほかにも人体によい働きをする多彩な成分を含み、病気予防や老化の抑制、健康増進に役立つ「機能性成分」の宝庫といえるほどですが、その筆頭に挙げられるのが「イソフラボン」です。【解説】済陽高穂(西台クリニック理事長)

解説者のプロフィール

済陽高穂(わたよう・たかほ)
西台クリニック理事長、外科医。1970年、千葉大学医学部卒業。73年、アメリカ・テキサス大学外科教室に1年間留学。91年、東京女子医科大学助教授。94年、都立荏原病院外科部長。2003年、都立大塚病院副院長。08年、三愛病院医学研究所長、トワーム小江戸病院院長。同年11月、西台クリニック院長。17年、西台クリニック理事長に就任。消化器手術4000例を執刀するも、手術に成功し、抗がん剤、放射線治療を経ても約半数が再発し亡くなる現実に気づき、食事療法にがん撲滅の活路を求め、「済陽式食事療法」を確立。その治癒率は60%を超える。

肥満や高血糖を予防する大豆

大豆は、日本では古くから食されてきたなじみ深い食品です。

大豆の品種名に、「借金なし」という面白いものがあります。埼玉県秩父地方で大正時代から栽培されてきた在来種で、「借金がなくなるほど多く採れる」のが名前の由来とか。戦前の小作農は、与えられた農地以外に、あぜ道で大豆を作って苦境をしのいだともいわれます。

大豆や大豆製品が、日本人の食卓に欠かせないことは、昔も今も変わりありません。

そのことが、日本人の栄養・健康面に、長年、大きな貢献をしてきました。大豆は、栄養素のバランスがよいうえ、健康づくりに役立つさまざまな成分を含むからです。

大豆は「畑の肉」と呼ばれるほど、たんぱく質が豊富です。しかも、大豆のたんぱく質は、その「質」においても動物性食品に負けていません。

たんぱく質はアミノ酸が集まってできています。そのうち、人体に必須な九つのアミノ酸(必須アミノ酸)のバランスを「アミノ酸スコア」といいます。その最大値は100で、人体に適切であるほど高くなります。

大豆のアミノ酸スコアは、卵、肉、魚などと同じく最大値の100です。食べれば、筋肉が作られるので、基礎代謝が上がり、脂肪燃焼効果が期待できます。

また、大豆は、たんぱく質35%、脂肪19%、炭水化物28%と、3大栄養素をバランスよく含んでいます。

大豆の脂質は、大部分がコレステロールを下げるリノール酸やリノレン酸、オレイン酸などの不飽和脂肪酸で、高脂血症(血液中にコレステロールや中性脂肪が増えすぎた状態)の改善に役立ちます。

3大栄養素のほかにも、ビタミンB群・E・K、鉄、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛など、多くのビタミン・ミネラルを含みます。また、肥満や高血糖などを防ぐ食物繊維も豊富です。

老化の抑制に役立つ機能性成分の宝庫

さらに大豆は、人体によい働きをする多彩な成分を含んでいます。病気予防や老化の抑制、健康増進に役立つ「機能性成分」の宝庫といえるほどです。

その筆頭に挙げられるのが「イソフラボン」です。イソフラボンは、健康効果の高いポリフェノールの一種で、豆類全般に含まれますが、特に大豆には豊富です。

女性ホルモン(エストロゲン)に似た構造と作用を持つイソフラボンは、更年期などに女性のホルモンバランスを整えるのに役立ちます。

同時に、イソフラボンにはがんのリスクを下げる効果があります。

京都大学名誉教授・家森幸男先生の研究によると、大豆や大豆製品によって十分なイソフラボンを摂取していると、女性の乳がんや男性の前立腺がんなどの抑制効果が得られることがわかっています。

大豆のイソフラボンは、乳がん・前立腺がんの抑制効果が特に強いのですが、そもそもすべてのがんの抑制に役立つ抗酸化作用(有害な活性酸素を除去する作用)をもっています。大豆を常食することにより、がんの種類を問わず、抑制効果が期待できるのです。

米国立がん研究所(NCI)では、さまざまな研究の成果として、植物性食品によるがん予防を図る「デザイナーフーズ計画」を発表しています。この中で大豆は、最もがんの予防効果が高いとされるトップグループに位置しています。

私の提唱するがんの食事療法でも、毎日1回は大豆・大豆製品をとるよう指導しています。

その大豆製品の中でも特に、イソフラボンが豊富に含まれているのが「蒸し大豆」です。

蒸し大豆は、文字どおり、大豆を蒸した食品ですが、成分が水に流れ出ずに凝縮されることから、大豆の栄養素や機能性成分を、効率よくとれるとして人気が高まっているようです。

下の表からもわかるように、イソフラボン以外にも、蒸し大豆の主な栄養成分は、ほかの大豆製品に比べて、同等またはそれ以上の数値であることがわかります。

《大豆製品100g中の栄養成分比較》

データ:蒸し豆プロジェクト調べ ※イソフラボンはアグリコン換算

イソフラボン以外で、特に数値の高い成分に、どのような健康効果が期待できるかをご説明しましょう。

●オリゴ糖
オリゴ糖は炭水化物の一種で、少糖類と呼ばれるものです。人の消化酵素では消化・吸収されにくいため、食物繊維に似た働きをします。

腸内細菌のバランスを整え、特に善玉菌の代表であるビフィズス菌を増やす働きがあることがわかっています。甘味がありながら低エネルギーで、血糖値を上げないという特長もあります。

●レシチン
レシチンは脂質の一種で、細胞膜の材料になります。また、脳で働く重要な神経伝達物質であるアセチルコリンの材料でもあります。

そのため、十分なレシチンを摂取することは、記憶力や集中力の維持、認知症のリスク低減などに役立つといわれています。

●GABA(ギャバ)
GABA(ギャバ)は、「γ‐アミノ酪酸」の略語です。アミノ酸の一種ですが、脳や脊髄で神経伝達物質として働いています。

主な作用は神経の興奮を鎮めることで、気持ちを落ち着かせて、リラックスさせる「抗ストレス作用」に優れています。特に、ストレスの多い生活をしている現代人にとっては重要な成分です。

このほかにも、大豆の苦味成分である「サポニン」には、血圧を下げ、コレステロールを減らす働きがあります。さらに、肝臓の機能を高める作用もあることがわかっています。

食事の最初に食べると効果的

以上のように、蒸し大豆には豊富な栄養成分が含まれており、さまざまな病気の予防や健康効果が期待できます。

では、その蒸し大豆を、どのような形でとるのがよいでしょうか。

基本的には、大豆本来のうま味が凝縮されているので、そのまま食べてかまいません。また、素朴な味わいを生かして、ヒジキの煮物、サラダ、カレー、スープなど、いろいろな料理にアレンジするのもお勧めです(記事「蒸し大豆」レシピで紹介しています)。

食べる量は、1食に20~30粒ほどを目安にしていただければと思いますが、食べすぎて健康を害するような食品ではないので、お好みの量を召し上がっていただいてかまいません。

食事の最初に食べれば、糖質や脂質の多い食事の食べすぎ防止になり、高血糖予防にもなるでしょう。

手軽にとれる蒸し大豆を、がんや生活習慣病の対策として、毎日の食生活に積極的に取り入れてください。

この記事は『安心』2019年1月号に掲載されています。

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